- まえがき
- 小1担任の言葉 〜基本的な心構え〜
- 第1章 日常の場面で使える言葉
- 基本の言葉
- 1 ありがとう。
- 2 うれしいな。
- 3 力がつく。力を使う。
- 4 がんばっているね。/がんばったね。
- 5 すてき! すごい! かっこいい!
- 登校
- 6 おはようございます! がんばってよく来たね。
- 7 おはようございます。いいあいさつだなあ。
- かばんの片付け
- 8 うわっ! 動きが速い!
- 9 えっ! もうできたの? 早っ!
- 健康観察
- 10 わあ,いい声だね。
- 11 よく響いたね。
- 12 校長室まで届いているよ。
- 13 一番目はどきどきするのに,お手本をしてくれてありがとう。
- 14 いい姿勢だね。腕がぴんと伸びててかっこいい。
- 15 すごい! 友だちの方を見ているね。友だちを大事にしているんだね。
- 16 えっ! 次の人を覚えているの?本当に友だちを大事にしているんだね。
- 17 がんばって来たね。
- 18 早く元気になるようにパワーを送ってあげて。
- 19 がんばって好き嫌いしないで食べていたからだね。
- 給食
- 20 この後,おしゃべりすると,どうなると思う?
- 21 お腹すいた人! 早く食べたい人!当番さん,よろしく!
- 22 〜を食べると〜ですよ。
- 23 すごい! 背が伸びるよ! 今夜,早く寝るんだよ。
- 24 すごい! 背が伸びるよ! 先生を越しちゃうかも。
- 25 へへ〜ん。怖くないもんね〜。食べられるもんなら食べてみ,あっ。
- 26 さあ,次にゴールするのは誰だ?おおっと,○○選手,勢いがすごい!
- 掃除
- 27 見て! 床が鏡みたい!
- 28 どうしてこんなに早くできたのかなあ。
- 29 どの人がかっこいいですか?どこがかっこいいと思う?
- 下校
- 30 今日がんばった人。楽しかった人。明日も元気に来てくれる人。
- 姿勢
- 31 あら,足がしっかり床についてる。これはいい字が書けそうね。
- 32 わあ,背中がぴんと伸びているよ。もっと大きくなりますよ。
- 33 あら,いい姿勢だね。この頃字がきれいだと思ったら,それでだったんだ。
- ほめる(全員)
- 34 わあ,かっこいい。写真撮らせて。
- 35 先生だけ見るのはもったいない。
- 36 失礼しました……あれ? ここ1年○組だよね……6年教室に来たかと思った。
- 37 花丸をプレゼントしましょう。はい! 構えて! それっ!
- 38 すごいなあ,先生も見習わなくちゃ。
- ほめる(個人)
- 39 そこで拍手する○○さんもすてきだね。
- 40 親切な友だちがいてうれしいね。
- 41 この○○,好きだなあ。
- 42 ○○さんの言い方
- 指示・注意
- 43 はい。巻き戻しをします。どうしてでしょう。
- 44 何のお話でしたか?
- 45 〜します。何に気をつけたらいいですか?
- 46 〜します。次のうち,どれを選びますか?1番〜,2番〜,3番〜。
- 47 〜します。問題です。かっこいい1年生は,どんな風に〜するでしょうか。
- 48 〜します。先生が言いたいことは何でしょう。
- 49 先生が言いたいことがわかるなんて,小さな先生が頭の中にいるんだね。
- 50 スピード違反です。歩こうね。
- 51 免許を返しますか? それともやり直しますか?
- 52 〜になあれ!☆
- 字の練習
- 53 わあ,きれい。将来,うれしいチャンスがいっぱいありますね。
- 54 美しいなあ! どうしたらこんなきれいな字が書けるの?
- 55 わあ,きれい! ちょっと,みんな見て!
- 56 払いが見事だなあ。お部屋に気をつけると,完璧!
- 発表・話し合い
- 57 あっ! すごい! 話す人を見て聞いていますね。○○さん,どう?
- 58 手を挙げて発表した人。あなたのおかげですごい勉強ができたんだね。
- 59 話す人を見て聞いた人。あなたがいたから,みんな発表してくれたんだよ。
- 音読
- 60 いいなあ。もう1回聞かせて。
- 61 苦手な人にもわかるように声をそろえて読んでみて。
- 62 職員室まで聞こえたよ。
- 63 本当に○○が言ってるみたい。
- 64 残念……。でも,いい声だったね。
- 65 自分たちで勉強を始めたんだよ。かっこいい!
- 66 先生1人で聞くのはもったいない!
- 何でもないとき
- 67 みんなと一緒にいられて幸せだなあ。
- 第2章 特別な場面で使える言葉
- 入学式前日練習
- 1 クラスのみんなには,ないしょだよ。
- 入学式の朝,最初の出会い
- 2 会いたかったよ。
- 入学式待機中
- 3 かっこいい! 座り方がすてき! さすが1年生!
- 入学3日目の朝
- 4 ○○さん,□□さんに教えてあげて。
- 国語の「読むこと」の学習
- 5 文章の中から証拠を見つけよう。
- カウンセリング
- 6 あなたのおかげで〜。気づいてる?
- 夏休み前
- 7 金の夏休み,銀の夏休み,銅の夏休み,どうにもならない夏休み,どれがいい?
- 運動会
- 8 遠くから見ているおうちの人によく見えるように大きく踊ろう!
- 9 運動会でつけた力を捨てますか? 使いますか?
- マラソン大会
- 10 マラソンをがんばるといいことがいっぱい!
- 11 最後までがんばった人には,見えない金メダルが心の中に輝くんだよ。
- 学習発表会
- 12 あの〜におうちの人がくっついていると思ってせりふを言ってみよう!
- 6年生を送る会・卒業式
- 13 6年生が中学校で寂しくなったり,どきどきしたりしたときのために。
- 修了式
- 14 1年間ありがとう。みんなと一緒にいられて幸せでしたよ。
- 第3章 ピンチの場面で使える言葉
- 入学式,泣いて保護者から離れない
- 1 涙が出るのに,がんばって来たんだね。
- 入学式,席で大泣きしている
- 2 背中で応援してあげて。
- 入学式に欠席連絡が……
- 3 元気になられてから,プチ入学式をしましょう。
- 「お母さんがいい」と泣いている
- 4 そうだよね。泣きたいときは泣いていいよ。
- 「いつ帰れますか」と泣いている
- 5 大丈夫。〜と〜と〜をしたら,帰るよ。
- 保護者が帰ってから泣きやんだ
- 6 大丈夫ですよ。
- 「行きたくないと言うので休みます」
- 7 放課後に手紙を取りに来られませんか?
- 暗唱に失敗した
- 8 すねてもしかたないのに,すねてない! みんな,どう思う?
- やめてほしい行動があった
- 9 みなさんは3,4歳の子の仲間ですか? 校長先生の仲間ですか?
- 互いに「ごめんね」が言えない
- 10 大人のけんかがしたいですか?子どものけんかがしたいですか?
- 休憩時間に1人でいる
- 11 誰を誘っていいかわからなくて困っている人はここへ。
- おしゃべりが止まらない
- 12 聞いてください。
- 「今度から〜する」と約束した
- 13 〜したら,先生に教えてね。
- 今話したのに,聞いてきた
- 14 どうやったらいいか,言える人。○○さん,教えてあげて。
- 物を壊してしまった
- 15 大丈夫? 怪我はない?
- 頭痛を訴える割には休憩になると元気
- 16 今日は1日静かに過ごそうね。
- 「知ってる」と言いたがる
- 17 大人は,黙ってうなずいて聞くんですよ。
- みんなが落ち着かない
- 18 体のどこが落ち着いているか,証拠を探して。
- 「エ〜ッ」と言わずにがんばってほしい
- 19 いや,さすがに無理でしょう。
- 不調の波におぼれそう
- 20 頭から元気になる薬を出してみよう!
- 「僕が私が」が止まらない
- 21 先に譲ってあげるのは,誰かな?
- 提出しなかった
- 22 遅れても,あきらめないでやりとげるのって,どう?
- 保護者が相談してきた
- 23 知らせてくださってありがとうございました。
- いよいよ困った
- 24 ピンチです。助けてください!
- 落ち込んでいる自分に
- 25 よし! 子どもの気持ちがわかる!またひとつ力を手に入れたぞ!
- あとがき
まえがき
冒頭から,身も蓋もないことを言います。
「この言葉さえ言えば大丈夫!」というような魔法の言葉は,ありません。
例えば,「ありがとう」という言葉を例に考えてみましょう。この言葉はかなり万能に近い,意識的に使いたい言葉です。しかし,この温かい言葉でさえ,言い方1つで全く違う様々なニュアンスに変わってしまいます。
試してみましょう。思い切り,皮肉を込めて,嫌味っぽく言ってみてください。意地悪な人物がヒロインに言っているイメージで。次は女王様になったつもりで,高慢に,冷たく,見下す感じで。今度は,うんと軽く。ありがたいなんてちっとも思っていない,口先だけの言い方。それから,いらいらして,早くあっちへ行って!と思いながら。最後は,相手を馬鹿にしてふざけた感じで。他にも試してみましょう。どんな言い方ができますか?(ちゃんと声に出してやってます? あ,ごめんなさい,声を出せない状況もありますね……。本屋さんで立ったままやったら,もう二度とそのお店に行けなくなりますね。失礼しました。帰ってから,ぜひ実験してみてくださいね。)
いかがでしたか? 「ありがとう」という美しい言葉でさえ,言い方次第で,いくらでも相手を傷つける言葉になってしまうのです。
言葉に力が宿るのは,そこに伝えたい思いがあるからです。思いがないまま言葉だけ言っても,何も伝わりません。それどころか,「ああ,めんどくさいな」「はあ? 何言ってんの?」「うるさいな,うんざりだ」といった思いを抱いていると,いくら立派な言葉を言っても,恐ろしいことに心の声はにじみ出して,何となく相手に伝わってしまいます(自分が言う側のときはわかりませんが,言われる側に立つと,わかると思いません?)。
もう1つ実験を。言葉が全く通じない宇宙人に,「ありがとう」の気持ちを伝えようとしているつもりで「ありがとう」と言ってみましょう。まだしゃべれない,ふにゃふにゃの赤ちゃんを抱っこしているのを思い浮かべて,その子に伝わるように,「ありがとう」を言ってみましょう。最初の実験の「ありがとう」とはまるで違う言葉になりましたね。そして,きっと,まなざしや,物腰や,声の調子,相手に触れる手に,抱く腕に,精一杯の思いを込めたのではないでしょうか。それらは,口から出る言葉以上に,たくさんの思いを伝えると思います。
言葉は,相手を傷つけもすれば,救うこともできます。思いを届ける道具だからです。まず,自分は子どもたちにどんな思いを伝えたいのかをはっきり意識しましょう。その思いが届くよう願いを込めて,さあ,話しましょう。
2025年1月 /吉田 温子
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