- まえがき
- T なぜ「主題」単元学習か
- 一 「自己主張」が「生きる力」となるとき
- 1 はじめに
- 2 「静寂」の中にあるもの
- 3 「真摯」へと導く道
- 4 「主張」が輝く単元
- 5 「主張」の変革を自覚し合う
- 6 おわりに
- 二 「意見」を創る――主題単元学習を通して――
- 1 はじめに
- 2 ききひたる
- 3 確かめる
- 4 深める
- 5 反極注意
- 6 おわりに
- 三 「教材」にする力
- 1 はじめに
- 2 「作品」の価値を透視する力
- 3 焦点化された一語の価値
- 4 彙としての緊張体系の評価
- 5 単元構築の中での位置づけ
- 6 おわりに
- 四 「きい」たものを「つなぐ」力
- 1 はじめに
- 2 「きい」ているか
- 3 「きく」力
- 4 「つなぐ」力
- 5 「きく」が「つなぐ」
- 6 おわりに
- U「主題」がことばを発見させる
- 一 ことばを通して
- 1 はじめに
- 2 価値としての豊かさ
- 3 構築の中で
- 4 比較する
- 5 教材開
- 6 おわりに
- 二 彙としての習熟
- 1 はじめに
- 2 三つの目標
- 3 価値としての彙
- 4 深化と拡大
- 5 深化と創造
- 6 おわりに
- 三 語彙を豊かに
- 1 はじめに
- 2 語を彙において学習する
- 3 語は主題の下に彙をなす
- 4 表現と理解との統合による展開
- 5 語彙を豊かにする主題単元学習
- 6 おわりに
- V「主題」が単元を創る
- 一 青春はことばをどう輝かすか
- 1 はじめに
- 2 ことばを「きき分ける」
- 3 ことばに「ききひたる」
- 4 価値の深化
- 5 表現の場の設定
- 6 教材を越える
- 7 おわりに
- 二 なぜ人が恋しいのか
- 1 はじめに
- 2 教材透視力
- 3 「彙」のねらいどころ
- 4 「彙」の系統性
- 5 「主題」に即した系統性
- 6 おわりに
- 三 もっと手紙を書こう
- 1 はじめに
- 2 「表現」生活
- 3 〈私のひと言)
- 4 技能学習と価値学習
- 5 価値学習の深化
- 6 主題意識の質
- 7 おわりに
- 四 戦争をなぜ止められなかったのか
- 1 はじめに
- 2 主題意識と教材開発
- 3 主題文の確認
- 4 教材の体系化
- 5 「表現」の力
- 6 新たな目標
- 7 おわりに
- W これからの「主題」単元学習
- 一 異文化に目をひらく
- 1 はじめに
- 2 壁を破る
- 3 アリサの葛藤
- 4 「汝の隣人」
- 5 人間愛
- 6 ジュロームへの愛
- 7 表現読み
- 8 おわりに
- 二 国際理解に生きる
- 1 はじめに
- 2 主題意識の確認から、相互理解が生まれる
- 3 相互理解は、表現によって確かめ深められる
- 4 教材開発が、自己学習力をつき動かし合う
- 5 主題意識の深化と創造が、相互理解を支える
- 6 おわりに
- 三 確かな「学力」、明日への「評価」
- 1 はじめに
- 2 評価する心
- 3 評価することば
- 4 評価する関係
- 5 評価の行方
- 6 おわりに
- 初出一覧
- 解説 /浜本 純逸
まえがき
「ことばを通して生きぬく力」――学習者に、今こそ、この「学力」をつけたい。「表現」と「理解」との「統合」、「主題」(学習指導の価値目標)による「統合」でと、それを求めつづけてきた。求めえたか。
否、と学習者の「ことば」に心改めて「ききひたり」・「ききわけ」てみると、「きこえ」てきたものがある。通すべき「ことば」の焦点が、いかにも定まっていないではないか。今まで、すでに「理解語彙」でもあり、「表現語彙」でもあるとのみ自負していた「ことば」が、学習を通して、思いもよらない重い「価値」をもっているのに気づいて、自己変革を迫られる。そのような「実の場」へと、学習者を導いてきたか。色褪せた「ことば」に安住し合うことで、よしとしてはこなかったか。「主題」単元学習の深化を求めて、私はこう省みた。
本音は、『高校文章表現指導の探求』(渓水社 一九八八年刊)・『高等学校 私の国語教室――主題単元学習の構築――』(右文書院 一九八八年刊)を、右の反省に立って突きつめてきた足跡である。すでにすでに過去のものである。それでいて、この三つ目の観点は、「新しい学力観」や「生きる力」、さらには「総合化」の要求に応えようとするとき、避けては通れない。さらに、先師・先学に導かれ、実践を積み重ね、検証しつづけたい。
一九九八年師走 西の小京都の寓居にて /加藤 宏文
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- 明治図書