- はじめに
- 第1章 教材を分析・解釈する力を高めよう
- 1 読者として教材と出合おう
- 2 教材「モチモチの木」を読み解こう
- (1)主人公「豆太」の設定を読もう
- (2)豆太の変容を読もう
- (3)対人物「じさま」の人物像を読もう
- (4)場面構成から読もう
- (5)語りと表現の工夫を読もう
- 3 学習の目標を設定しよう
- (1)教材の特性から目標を考えよう
- (2)「モチモチの木」から指導目標を設定しよう
- 第2章 指導方法を構想する力を高めよう
- 1 学級の実態と教師の力量に応じた指導方法を設定しよう
- 2 教材の特性に応じた活動を設定しよう
- (1)音読、朗読
- (2)日記
- (3)手紙
- (4)劇・動作化
- (5)書評
- (6)他の物語を読む
- 3 単元を構想しよう
- (1)子どもたちの実態を捉えよう
- (2)学習のゴールである「目指す子どもの姿」を明確にしよう
- (3)学習課題と学習活動を設定しよう
- 第3章 板書と思考の流れで展開がわかる 実践!「モチモチの木」の授業
- 〈第2次〉課題について話し合いながら、豆太の変容を読んでいき、手紙を書く。
- 第1時 「なぜ豆太はおくびょうなのか」について話し合い、豆太への手紙を書く。
- 第2時 「もし、自分がじさまだったら、豆太をせっちんに連れて行くだろうか」について話し合い、じさまへの手紙を書く。
- 第3時 「豆太は、なぜ勇気ある人になったのか」について話し合い、豆太への手紙を書く。
- 第4時 「豆太は、最後になぜ弱虫にもどったのか」について話し合い、豆太への手紙を書く。
- おわりに
- 〈注〉本書で使用している教科書は、すべて、令和2年度版光村図書三年下です。
- 出典:『モチモチの木』斎藤隆介作 (岩崎書店)
はじめに
平成二十九年改訂の学習指導要領では、「主体的・対話的で深い学び」の視点からの授業改善を通した各教科等における資質・能力の育成が求められています。
子ども一人一人の「主体的・対話的で深い学び」を実現していくためには、まず何よりも教師の教材分析・解釈力が必要です。その教材にはどのようなことが書かれているのか、子どもたちにその教材で今学ばせる意味は何か、その教材にはどのような指導内容が含まれているのか、学習者である子どもたちはどのように反応するのか(それはなぜか)、子どもたちをどのように指導内容に迫らせていくのかなどの視点で分析・解釈していく必要があります。
教師が、教材について子どもの読み誤りの予測までを含めた深い分析・解釈を行っておくことで、子どもたちが解決したいと思う課題や活動を構想したり、子どもたちの様々な反応に対応したりすることが可能になるとともに、子どもたち自身では気付けない方向へと学びを導くことができます。
このように、「主体的・対話的で深い学び」の実現には、教師の教材をたしかに「読む」力が必要なのです。
現在使用されている国語の教科書には、長い間掲載されてきた文学教材が数多くあります。
なぜ、これらの文学教材は、多くの教師や学校現場で支持され続けてきたのでしょうか。それは、その教材で子どもたちを学習させる「価値」を多くの教師が感じてきたからに他なりません。そして、多くの先達が、その「価値」に子どもたちを迫らせるための読ませ方を研究・実践してきました。
本シリーズでは、それらのような教材を国語科における「重要文学教材」と位置付け、教材分析・解釈を通してそれらの教材の「価値」に迫るとともに、どのようにしてその「価値」に迫る読み方を子どもたちにさせていくか、授業づくりのステップに合わせて構成しています。
本シリーズは、基本的に次のような三つの章で成り立っています。
第一章 教材を分析・解釈する力を高めよう
第二章 指導方法を構想する力を高めよう
第三章 板書と思考の流れで展開がわかる授業
資質・能力は、言語能力を発揮する課題解決的な学習過程を、発達段階に応じて「繰り返すこと」によって育まれていきます。本シリーズでご紹介する教材分析・解釈の仕方、授業づくりの方法や教師の指導の一端を通して、読者のみなさんにもいっしょに考えていただくことで、今後の授業づくりの一助になれば幸いです。
/立石 泰之
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- 明治図書
- 豊富な実績例2024/3/2440代・小学校教員