国語科新単元学習による授業改革8情報創造に開く新単元学習

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子供と笑いを共有しようとする精神が高谷単元の基盤。特に語彙指導を系統的に育て,情報創造に取り組む子どもたちからは発信する教室が見える。


復刊時予価: 2,706円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-318514-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 180頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
T 子どもの育ちと評価
一 発想の転換
二 単元学習の手応え
三 単元の具体
四 評価の観点と方法
U ことばにひらく新単元学習
一 「ことばの花をさかせよう」(1年生)
二 「ひらがなとなかよし」(1年生)
三 「温かい言葉」(2年生)
四 「季節みつけ」(2年生)
五 「ことば遊び歌」(3年生) 〜ことばへの意識を育てる〜
六 「しゃれ名人になろう」(4年生)
七 「ぼく詩・わた詩」(4年生)
八 「方言博士になろう」(4年生)
九 「畳語辞典を作ろう」(5年生)
一〇 「わたしを表す言葉」(5年生)
V 情報創造にひらく新単元学習
一 「わたしの絵本を作ろう」(2年生)
二 「むかしばなしとなかよし」(2年生)
三 「スイミーのまね話を作ろう」(2年生)
四 「冬物語を作ろう」(2年生)
五 「豆新聞記者になろう」(3年生)
六 [ニュース解説者になろう」(4年生)
七 「わたしにとって時間とは心とは」(6年生) 〜「モモ」を表現しよう〜
八 「戦争と平和について考えよう」(6年生)
初出一覧
解説 /浜本 純逸

まえがき

 平成九年四月一日、神戸大学附属明石小学校から、二〇年ぶりに温かい雰囲気いっぱいの加古川市立陵北小学校に赴任しました。現在、先生方とともに単元学習の実践研究に取り組みつつあります。

 わたしと国語科新単元学習との出会いは、浜本純逸先生との出会いから始まりました。先生が一九七九(昭和五四)年に神戸大学に赴任され、大学と附属学校国語部との合同研究会が発足しました。当時のわたしは、受動的に参加していました。

 その頃、附属明石小学校では、昭和五一年〜五三年に文部省の「研究開発学校」の指定を受けた後も「幼稚園と小学校のよりよい連携の在り方」を求めて、「総合学習」の実践研究に取り組んでいました。子どもたちの生活や遊びを大切にした活動や体験を重視する学習ですから、子どたちは大変意欲的に取り組むわけです。わたしは、「総合学習」に取り組む中で、子どもの学習意識のとらえ方、単元の組織の仕方、環境や場の設定の在り方、具体的な支援の在り方などを学びました。

 ところが、国語科学習といえば、わたしに限っていえば従来の教え込む授業を行っていたわけです。わたしの支援がまずいためですが、物語文の読取りの時間に子どもの顔に「先生まだやるの」という懇願に近い表情を読み取るたびに、何とかしなければという焦りがありました。「総合学習」のように子どもが生き生きと取り組む国語の授業にしたいと願っていた時に浜本先生との出会いがあったわけです。

 先生の印象に残る激励の言葉を忘れません。「野ばら」(当時5年生:光村図書)の主題論を懸命に書いた指導案を浜本先生のご自宅まで持っていき相談にのっていただいた時のことです。指導案をお読みになり、「高谷さん、主題論はもう古いよ……。」とおっしゃいました。大変なショックでその後、どのように帰ってきたかは覚えていません。そもそも、教材研究に子ども研究が抜けていたわけです。読者や学び手である子どもを度外視した教材論をもっとも大事にしていたわけですから。


 しばらくして、附属明石小学校国語部内で学期ごとに一つの単元を作り、実践を始めました。学部・附属合同研究会に実践資料を持っていくと、浜本先生は、拙い内容にもかかわらずそれを意義付けてくださったり、今後の在り方を示唆してくださったりしました。また、井上一郎先生をはじめ、附属住吉小・中学校、附属明石中学校の先生方、大学院生の方々からも温かい助言をいただきました。この研究会後は、いつもすがすがすがしさでいっぱいでした。徐々に自主的に研究会に参加するようになりました。


 単元学習を始めると、国語科でも子どもが目的意識や問題意識をもって取り組める学習ができるという喜びを感じました。教科書べったりではなく、子どもの実態に応じた学習材を集め、教師の願いを含み込ませた単元を作り上げるやりがいも感じました。単元がなかなか構想できずに苦心した経験もあります。そして、少しずつ実践例を増やし、研究同人と協力して、一〇数年後にやっと全学年の単元試案を仕上げました。

 また、他の教科や領域でも国語科と同じような発想にたって「単元学習」が組織できるのではないかと考え、試行実践を重ねるようになりました。


 今回、わたしの拙い実践例をまとめることになりましたが、次のような構成を考えています。第T章では、わたしの感じる国語科新単元学習の手応え、単元例、評価について触れます。第U章では、学部・附属合同研究会で初めて学んだ語彙研究の発展としての「ことばにひらく単元」の例を紹介します。第V章では、自分から情報を発信する「情報創造にひらく単元」の実践例を紹介します。

 これらの単元は前掲の先生方や神戸大学附属明石小学校の先輩諸氏のご支援やご助言のもとに実践できたものです。この場をお借りし、改めて先生方に感謝の意を表します。また、兵庫県姫路市立網干小学校、揖保川町立神部小学校、吉川町立上吉川小学校等の先生方には、単元学習の学びの場を開いていただきました。心よりお礼申し上げます。


 最後に、多大なご配慮をいただいた浜本純逸先生、明治図書企画開発室の江部満氏に深謝いたします。


  一九九八年一二月   /高谷 秀

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      明治図書

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