国語科新単元学習による授業改革7表現する自己を育てる

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森谷単元の発想の核心は「各自の生き方について深く考える物を設ける」にある。圧巻は表現指導における意見文を書く実践。森谷単元から学ぶ。


復刊時予価: 2,849円(税込)

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電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-318410-X
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小学校
仕様:
A5判 200頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

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はじめに
序章 単元学習での私の歩み
一 初めての単元学習
二 単元作りによる指導の変化
三 これからの単元作りにむけて
T 言葉の力を育てる
一 単元 「大人への第一歩――小さなことばを考える」
二 単元 「あいさつ勉強会」
三 単元 「テリー先生に敬語を」
Tをふりかえって
U 作文力を育てる
一 単元 「新入生への手紙」
二 単元 「意見文を書く――私の推敲ポイント」
Uをふりかえって
V 古典に親しむ
一 単元 「生活の笑いと知恵」
二 単元 「唐詩に親しむ」
三 単元 「古典に学ぶ――万葉・古今・新古今」
Vをふりかえって
W 生き方を考える
一 単元 「読書について考える」
二 単元 「君たちはどう生きるか」
三 単元 「アンネ・フランクに学ぶ」
Wをふりかえって
X 文学を楽しむ
一 単元 「夕鶴の世界」
二 単元 「詩を味わう」
三 単元 「夕方の三十分」
Xをふりかえって
解説 /浜本 純逸

はじめに

 教師になって四年目、私は山形大学教育学部附属中学校に勤務することになった。その附属中学校で、すでに数年前から単元学習を実践していた菊地とく先生の授業を参観し、生徒一人一人が生き生きと活動して学んでいる姿を目のあたりにした。

 教科書の文章による読解の一斉指導しか私の手の内になかったその当時は、どんなに教材研究をし、どんなに発問の工夫をしても生徒が自ら学ぶ場を組織するのが難しかった。そのため、「何とかして生徒が生き生きと学び、進んで考えを出し合う授業を。一人一人の力を伸ばす楽しい国語の学習を。」と願い続けていただけに、この時初めて解決の具体的な方策が見えた気がして、目の前が明るくなった。本書に収めた単元も、菊地先生の実践に学び、ご指導いただいたものが多い。

 新しい単元を生み出すまでの苦しみと、生徒とともに新鮮な思いで学習に向かう喜びをこもごも味わいながら、あっというまに二十年がたった。これまでの授業の資料を集めて見直してみると、単元構成や指導法の変化してきたようすがよくわかった。同時に、その時々のいたらなさもはっきり見えてきたが、課題の変遷がたどれるので未熟な単元もそのまま載せることにした。なお、研究紀要や研究協議会要項、諸研究会発表資料等にまとめたものについては、本書の項目にそって大幅に加筆した。

 序章では、単元学習を進めることで私の考えや指導法がどう変わってきたかをたどってみたい。国語の学習について友人と話し合うと、互いに共通の課題を抱えていることが多い。一つの課題が解決すると、次に見えてくる課題もまた似ているのが興味深く感じられる。折々に書いた論文をもとに課題の変遷を明らかにして、これからの課題を探ることにしたい。

 TからXまでは、二十年の間に実践した単元のうち既に発表したものを中心に取り上げた。本書に収めた単元は山形大学教育学部附属中学校(一九七七〜一九九一)と山形県上山市立北中学校(一九九二〜一九九五)での実践である。

 附属中学校の公開研究会で「単元学習は附属中の生徒だからできる」「単元学習は準備が大変で、したいけどできない」という意見をいただくことがあった。しかし、上山市立北中学校に赴任し、単元学習を続けながらわかったことは、「生徒が今できることは何かをよく知り、生徒につけるべき力を見きわめ、そこから少しずつ始める」という点においてどこで実践しても全く同じだということである。確かに、話の聞き方を初めとしてメモのとり方やグループ学習のし方、発表のし方などいろいろなことができなければ単元学習を十分に行うことはできない。だが、単元学習に必要な力は、今ある力でできることから少しずつ始めて、単元学習を通して一つ一つ育てていくのだということを実感している。

 授業の資料を読み返すと、その単元をめぐってどなたと何を話し合ったかや、教室での生徒の表情とことばがありありと思い出されてくる。これまで私を導いてくださった諸先生、共に語り合った多くの方々に心から感謝申し上げるとともに、新たな実践に向けてさらにご指導くださるようお願いしたい。

 これまでの実践を出版するという貴重な機会を与えてくださり、原稿がまとまるまでの長い間、いつもあたたかく見守って本書の内容や構成に懇切にご指導くださった浜本純逸先生に厚く御礼申し上げます。


  一九九七年十一月九日   /森谷 留美子

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      明治図書

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