言語技術実践シリーズ2
「視点を変える」訓練で力をつける

言語技術実践シリーズ2「視点を変える」訓練で力をつける

投票受付中

「視点を変える」訓練のための全ての教材と指導方法,子供たちの作品,添削例を掲載。視点を変えることで子供たちの認識がどう高まったか示す。


復刊時予価: 2,563円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-315411-1
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 160頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 「視点をかえる」訓練はなぜ必要か
一 「視点」とはなにか
1 認識の立場
2 「自」と「他」の区別・国際社会で必要不可欠な能力
二 「視点をかえる」訓練はなぜ有効か
U 「視点をかえる」訓練のためのカリキュラムとそのねらい
一 「視点をかえる」訓練のためのカリキュラム
二 指導のねらい
1 訓練のための四つの段階
2 教材に基礎編と応用編を作る
3 訓練のねらいは認識の仕方を鍛えること
V 教材・指導方法・作品・添削
1 第一段階 「立場の違いは認識の違い」を教える
(1) 絵本「わたし」 谷川俊太郎文/長新太絵
(2) 叙事G-01 「映画」(基礎編)
(3) 叙事G-02 「犬」(応用編)
(4) 叙事G-02B 「すいか」(応用編)
2 第二段階 「第一人称と第三人称の概念」を教える 「能動的表現と受動的表現」を教える
(1) 叙事G-31/技術@
(2) 叙事G-32/技術A
(3) 叙事G-03 「お医者さん」(基礎編)
(4) 叙事G-04 「お母さんの外出」(応用編)
3 第三段階 「第一人称視点と第三人称視点」を教える
(1) 叙事G-33/技術B
(2) 叙事G-05 「プレゼント」(基礎編)
(3) 叙事G-06 「捨て猫」(応用編)
4 第四段階 「総合的な力を鍛える」
(1) 叙事G-07 「赤ずきん」(基礎編)
(2) 叙事G-08 「とり肉きらい」(基礎編)
(3) 叙事G-09 「雪だるま」(基礎編)
(4) 叙事G-10 「つるの恩返し」(応用編)
(5) 叙事G-11 「追われる」(応用編)
(6) 叙事G-12 「ファミリーコンピューター」(応用編)
(7) 叙事G-13 「聖戦」

はじめに

 「つくば言語技術教室」の目的は、書くこと、即ち作文を中心にして言語技術を鍛えることである。そのために「教室」では小学校の六年間を対象に一貫したカリキュラムを組んでいる。「視点をかえる」訓練は、その一端を担う分野である。(カリキュラムの詳細は、拙著『言語技術実践シリーズ@・言語技術教育の体系と指導内容』/明治図書、参照)

 「視点をかえる」訓練は、ドイツの基礎学校(小学校)二年生から四年生用の作文を書かせるためのカード教材とギムナジウムの五、六年生用の作文の教科書に数例載っているのに私は着目し、導入することにした。教師用の指導書を入手できなかったため、指導方法についての情報が少なく、指導方法をめぐってもっとも試行錯誤を繰り返したのがこの「視点をかえる」訓練である。

 「視点をかえる」訓練をめぐって私が試行錯誤をした理由は大きく分けて三つある。

第一に、既に述べたように指導方法がよく分からなかったことである。

第二に、子供達の側に「視点」に関する認識が全く欠如していたことである。

第三に、ドイツの教材がその白紙状態の子供達に用いるにはあまりに難しかったことである。

本書に紹介した教材のうち、「叙事G-08」と「叙事G-11」、「叙事G-12」が、ドイツの教科書から発想を得て私が作り直したものである。私は、白紙の状態の子供達と、内容的にかなり高度なドイツの教材との間を埋める適当な教材の開発に手間取った。子供達には、言葉や絵による説明で「視点」の意味を理解させることができても、それを作文、即ち総合的な認識につなげることがなかなかできなかったのだ。

 「視点をかえる」訓練は、数年にわたる実践と失敗を経て、ようやく平成六年度になって指導の方向性と教材のあり方が見えるようになってきた。そして、平成七年度に遅まきながら体系を整え、系統性、継続性のある教材を作成できるようになった。その結果、「視点をかえる」訓練は三年生からの実施が可能になり、子供達の作文に「成果」がはっきりと認められるようになったのである。

 一度意味がわかってしまうと、子供達の柔軟な頭は吸収が非常に早い。「視点をかえる」の教材プリントを掲げ、私が今日の課題を説明しようとすると、今では子供達からはこんな声が返ってくるようになった。

 「あっ、わかった。一つの物をあっちとこっちから見ることでしょ。」

 まことにズバリと「視点をかえる」ことの本質を捉えた言葉である。これだから、子供達にかかわって作文を書かせる試みから、私は抜け出せないのである。

 本書には、「教室」で所有する「視点をかえる」訓練のための全ての教材と指導方法、子供達の作品、添削例を掲載した。ここに紹介した教材は、単に「つくば言語技術教室」の実践例にすぎない。しかし、この教材で、「教室」では大きな成果を上げることに成功した。その成果のほどは、子供達の作品を読んで頂けば、納得頂けるものと思う。

 最後に、「教室」の全教材と子供達の作品を公開することを快く承諾して下さった、「教室」の子供達の保護者の方々にここであらためて感謝の意を捧げることをお許し頂ければ幸いである。


  一九九六年一月

   つくば言語技術教室主宰 日本言語技術教育学会会員 /三森 ゆりか

著者紹介

三森 ゆりか(さんもり ゆりか)著書を検索»

1957年東京生まれ

上智大学外国語学部ドイツ語学科卒

5年間丸紅(株)勤務

財団法人英語教育協議会日本語教師養成教授理論コース修了

上智大学文学研究科前期博士課程中退(ドイツ文学専攻)

新聞社の特派員であった父親の赴任にともない中学・高校の4年間をドイツの現地校に通う

つくば言語技術教室主宰

日本言語技術教育学会会員

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • 国語教育・外国語教育を統合する新しい教育の中心を担う指導法です。学校教育のみならず、学習塾などの児童に対する民間教育としても普及が望まれます。
      2018/10/5
    • 視点についてあらためて学びたいため、復刊を希望します。
      2018/3/17
    • 視点を変えるドイツの教育について書かれた数少ない本なので、ぜひ復刊を。
      2016/10/5
    • PNの通り、年中さんの息子にずっと公的・民間問わずあらゆる機関のご助力を受けながら、家庭療育を続けております。対象年齢が小学生からになっている『論理トレーニングプリント』も進めております。パースペクティブ・テイキングのトレーニングになるであろうこの本が絶版だと知り、悲しいです。是非、一刻も早く復刊を願います。
      2013/12/18早期療育は障碍者と健常者とのwin-winモデルです
    • 社会人教育に必須です。
      2013/5/29J

ページトップへ