- はじめに /難波 博孝
- T イメージの形成と共有によるコミュニケーション授業のための理論
- 1 国語学力について
- (1) 国語学力構造の全体像
- (2) 国語学力をつけるために
- 2 国語科授業のあるべき姿
- (1) リアルな場の設定
- (2) 子どもにとって明確な学習目標の設定
- (3) 1時間の授業の大半が子どもの「活動」であること
- (4) 授業づくりのまとめとコミュニケーションの授業に向けて
- 3 コミュニケーションの力とは何か
- (1) プライベートコミュニケーションとパブリックコミュニケーション
- (2) コミュニケーションの機能
- (3) コミュニケーションの機能とPB・PR
- (4) コミュニケーションの機能と力
- (5) 学校におけるコミュニケーション授業の難しさ
- 4 基盤領域の目標としての話す力・聞く力
- 5 技能目標としての話す力・聞く力
- (1) 学習指導要領を見てみる
- (2) 学習指導要領を発展させてみる
- (3) カナダ・オンタリオ州のカリキュラムから
- (4) 本書の考える,話す・聞く技能目標
- 6 価値領域としての話す力・聞く力
- 7 イメージの形成と共有によるコミュニケーションの授業づくり
- (1) コミュニケーションの授業の目標のまとめ
- (2) 単元の構成のしかた
- (3) 「イメージ」の重要性
- (4) 「イメージ」「イメージ語」「イメージマップ」
- 8 コミュニケーションの授業の評価
- 9 コミュニケーションの授業のこれから
- U イメージの形成と共有によるコミュニケーション授業の実践
- 1 話す・聞く力の育成をめざして
- (1) 学校紹介
- (2) 研究の構想
- (3) 研究の手だて
- (4) 成果と課題
- (5) ま と め
- 2 第2学年の実践(2004年)
- (1) 第2学年単元構成図
- (2) 単元について:湯田小テレビショッピング
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動と指導の実際
- (5) 実践のまとめ
- 3 第5学年の実践(2004年)
- (1) 第5学年単元構成図
- (2) 単元について:もち米コマーシャル(ラジオ編)
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動と指導の実際
- (5) 実践のまとめ
- 4 第6学年の実践(2004年)
- (1) 第6学年単元構成図
- (2) 単元について:なるほど! と思わせる演説をしよう
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動
- (5) 実践のまとめ
- 5 第1学年の実践(2005年)
- (1) 第1学年単元構成図
- (2) 単元について:いってみたいな きょうりゅうのくに――描いた絵からお話しよう――
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動と指導の実際
- (5) 実践のまとめ
- 6 第3学年の実践(2005年)
- (1) 第3学年単元構成図
- (2) 単元について:つくってみようアイデア料理
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動
- (5) 実践のまとめ
- 7 第4学年の実践(2005年)
- (1) 第4学年単元構成図
- (2) 単元について:夢を語ろう〜仕事調べを通して〜
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動
- (5) 実践のまとめ
- 8 特別支援の実践(2005年)
- (1) 特別支援(情緒)単元構成図
- (2) 単元について:レストランごっこをしよう
- (3) 単元目標について(どのような力を育てようとしたか)
- (4) 学習活動と指導の実際
- (5) 実践のまとめ
- おわりに /世良 彰久
はじめに
それは,2004年2月のことでした。私は「国語力向上モデル事業」1年目の終わりに入ろうとする,当時,深安郡神辺町の湯田小学校に赴きました。
話すこと・聞くことの研究を真摯にやられようとしていたこの学校は,しかし,まだ手探りの段階のままで大きな壁に阻まれているようでした。けれども,実際にこの学校に行ってみて,私は全く悲観しませんでした。むしろ,「この学校は,やる。すごい学校になる」と思ったのです。
私が行ったとき,神辺町には指導主事の方が3人もおられました。その方々がそれぞれ低・中・高にはりついて,湯田小学校の先生たちと一緒に授業プランを練っておられました。
私が来る前から,Aブロック(授業作り)Bブロック(日常の場の設定)Cブロック(保護者・地域の連携)という3つのブロックをつくり,それぞれのアプローチから,学校研究をしようとしていました。
私も交えた授業研究の研修は,いつしか,果てしない討論と討議の場になっていきました。ここの先生たちは,私のつたない考えに疑問や意見をどんどんぶつけてきます。私たちは話し合いながら,本当に話し合いながら,自分たちの理論と実践を組み立てていきました。
私の思ったとおりになりました。いや,もともとそうだったのだと思います。この学校の力をご覧になりたいのなら,ぜひ児童発表をご覧ください。
教育にいいことはすべてやろう,責任はみなわしがとる,とおっしゃる校長先生。先生たちを支え続けた地域の人々。そして,子どもたちと先生たち。
みなさんに感謝しながら,この本のおはなしをはじめたいと思います。
広島大学大学院教授 /難波 博孝
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- 明治図書