- この本の読み方
- はじめに
- 第1章 先生の仕事は「備え」が10割
- 01 「準備」がもたらす教師の余裕と安心感
- 02 「小さな先回り」で変わる仕事の進め方
- 03 準備不足が生むトラブルとロスの正体
- 04 「準備」を可能にする時間確保のコツ
- 第2章 1学期を成功に導く「学級開き・4月まで」の準備術
- 01 新学年スタート直前に押さえたい「学年・学級」の事前準備
- 02 学級開きのプランニングと最初のインパクト
- 03 4月最初の1週間でつくる学級の空気
- 04 保護者への第一印象を高めるコミュニケーション術
- 05 学級&学校のルールをスムーズに伝える
- 06 教室レイアウトと配置でつくる「集中しやすい」環境
- 07 授業準備のスピードアップ
- 08 行事・校務の把握で先手を打つ年間スケジューリング
- 09 子ども理解を深める情報共有と観察ポイント
- 10 新学期の見通しを立てる情報発信の工夫
- 第3章 毎日が少し楽になる「授業づくり」の準備術
- 01 授業計画を効率化する時短シミュレーション
- 02 つまずかない指導案づくり ゴールと手立ての明確化
- 03 授業アイテムを活用する
- 04 ICTを取り入れた教材準備と学習支援
- 05 導入&まとめで差がつく子どもを惹きつける演出
- 06 子どもの理解度を把握するクイック評価の仕組み
- 07 授業後のフォローアップを減らす学習習慣づくり
- 08 子ども主体の学びをつくる小さな工夫
- 09 宿題・課題運用で生じるトラブルを未然に防ぐコツ
- 10 チームでの授業研究でお互いの準備をシェアする
- 第4章 長期休みを生かす「仕込み」の準備術
- 01 長期休みにこそできるカリキュラムの再点検
- 02 次学期を見据えた先取り教材づくりと計画
- 03 効率を上げる校務書類の事前作成・テンプレート活用
- 04 新しい授業アイデアのリサーチとネタ集め
- 05 行事・イベント準備を早めに進める「仕込み」の技術
- 06 リフレッシュを仕事に生かす
- 第5章 トラブルの対処がうまくなる「予想・予防」の準備術
- 01 トラブルは「予想」して、「起こる前」に対処
- 02 問題行動を未然に防ぐ観察とシグナル察知
- 03 保護者クレームを減らすための情報共有と初期対応
- 04 学級崩壊を招かない学級経営のチェックポイント
- 05 いじめや不登校への早期アプローチと関係機関連携
- 06 学校内のチーム力を高め横断的サポート体制をつくる
- 07 SNS・ネットトラブルへの先回り
- 08 放課後・休み時間・帰りの会… 「見えにくい場面」の見守り術
- 09 ルール違反を放置せず秩序を守る「再指導」を
- 10 繰り返す行動に先回りして「またあの子が…」を防ぐ
- 第6章 イベント・行事がうまくいく「計画・演出」の準備術
- 01 年間行事を俯瞰するスケジュール全体像の描き方
- 02 行事の準備と運営に生きる教師の段取り力
- 03 子ども主体のイベント運営を実現する役割分担の工夫
- 04 保護者・地域との連携を円滑にする情報発信と協力依頼
- 05 行事を「学び」に変える教師の仕掛け
- 06 行事後の振り返りと成果を次に生かす仕組み
- 07 保護者の信頼をつかむ授業参観の準備術
- おわりに
- 参考文献一覧
はじめに
教師という仕事は、いつも全力疾走が求められます。
朝の打ち合わせから始まり、授業、休み時間の対応、委員会活動の指導、放課後の会議やプリント作成。やっと一息つけたと思ったら保護者からの電話。気づけば夕方を過ぎ、明日の授業の準備に追われる……。そんな毎日を送っている先生方も多いのではないでしょうか。
でも、その忙しさの中でも、私たちは子どもたちの成長を支えたいという強い思いを抱き続けています。子どもたちが笑顔で学び、成長し、時には悩みながらも前に進む姿を見る。それは教師にしか味わえない特別な喜びであり、多くの先生がその喜びのためにこの道を選んだのではないでしょうか。
しかし一方で、授業も行事も保護者対応も完璧にこなすのは至難の業です。頼れる時間や環境が整っていないことも多く、「もっと効率よくできたら」「少しでも余裕をもちたい」と感じる瞬間は誰にでもあるはずです。
忙しい毎日を少しでもラクにするために
私が教師生活の中で強く感じたのは、「準備こそが余裕をつくる」ということです。
十分な準備ができていれば、授業中に子どもたちの表情を見る余裕が生まれ、学級でトラブルがあっても落ち着いて対応できます。逆に準備不足だと、ちょっとしたことで振り回され、気持ちに焦りが出てしまいます。
けれど現実には、「時間が足りない」「何から手をつけていいかわからない」という悩みがつきまといます。私も初任のころは、毎日深夜まで学校に残り、休日も教材研究に追われていました。月の残業時間は100時間を超え、多い月には200時間近くになることもありました。
そんな中で思ったのです。「もっと効率的に準備ができれば、子どもたちにもっと目を向けられるのではないか」と。そして試行錯誤を重ねた結果、今では毎日定時で帰り、年休も計画的に消化できるようになりました。仕事量は初任のころの何倍もありますが、それでも余裕をもって働けています。
本書で伝えたいこと
この本では、私が現場で試しながら編み出してきた「先回りの準備術」をまとめました。
・授業づくりを短時間で仕上げる工夫
・学級開きや行事を成功させる仕掛け
・保護者との信頼を深める関係づくり
・定時退勤を実現する仕事術
どれも、明日からすぐに使える内容ばかりです。そしてすべて、実際の現場で試し、効果を感じたものだけを紹介しています。
先生だからこそできる工夫がある
教師の仕事の面白さは、教科書通りにいかないところにもあります。子どもたちの反応によって授業を変え、学級の雰囲気によって対応を変え、日々進化させていく。そんな柔軟さや毎日の変化がこの仕事の魅力です。
準備があるからこそ、アドリブが生かされます。前もって計画を立て、想定しておくことで、予期せぬ出来事にも落ち着いて対応できるのです。むしろ、余裕があればトラブルさえ楽しめるのです。
また、保護者や同僚との関係づくりも、少しの工夫で大きく変わります。事前に情報を共有したり、わかりやすい資料を準備したりするだけで、信頼はぐっと深まります。
「毎日の授業や学級経営に追われて疲れている先生」
「もっと子どもと向き合いたい先生」
「新学期や行事前に準備が間に合わないと感じている先生」
この本は、そんな先生方のための味方になれる一冊を目指しました。経験年数を問わず、自分の教室に合わせて使える工夫が見つかるはずです。
この本を閉じたとき、「ちょっとやってみよう」と思ってもらえたら嬉しいです。
完璧でなくていい。少し先を見て動くだけで、毎日は変わります。忙しい毎日でも子どもたちに笑顔を返す余裕を―この本が、そのきっかけになれば幸いです。
/高森 崇史
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明治図書

















