- はじめに
- 第0章 まずはここを押さえる!今の女子中学生の思春期について
- ホルモンバランスが大混乱
- 自尊心と自己肯定感の揺らぎ
- 家族から友人中心へのシフトの時期
- SNSの影響と自己イメージの形成
- クラス内のカースト、そしてそこは戦場
- 自己表現とアイデンティティ探し
- 第1章 個別対応 苦手な先生×上手な先生
- 苦手な先生はすぐに生徒の話を聞くが、上手な先生は時間を設定してから聞く
- 苦手な先生は会話を大事にするが、上手な先生は共感を大事にする
- 苦手な先生は説得するが、上手な先生は納得させる
- 苦手な先生は生徒に寄り添うが、上手な先生は生徒と一定の距離を保つ
- 苦手な先生はマニュアルで対応するが、上手な先生は経験で対応する
- 苦手な先生は感情的に叱るが、上手な先生は叱るルールがある
- 苦手な先生は生徒の言葉を疑わないが、上手な先生は生徒の言葉を真に受けない
- 苦手な先生は優しさを備えているが、上手な先生は優しさと厳しさを備えている
- 第2章 クラス対応 苦手な先生×上手な先生
- 苦手な先生は授業に集中するが、上手な先生は授業の中で生徒指導をする
- 苦手な先生は「今」を語るが、上手な先生は「未来」を語る
- 苦手な先生は私語を気にするが、上手な先生は雑談を大事にする
- 苦手な先生は結果を見るが、上手な先生は努力を見る
- 苦手な先生はグループ分けを生徒に任せるが、上手な先生はグループ分けこそこだわる
- 苦手な先生はルールを守らせるのに必死だが、上手な先生はルールによる恩恵を語る
- 苦手な先生は問題に担任として取り組むが、上手な先生は問題に学年チームとして取り組む
- 苦手な先生は「苦手」と言うが、上手な先生は「学び」と言う
- 第3章 友人関係のトラブル対応 苦手な先生×上手な先生
- 苦手な先生はトラブルに対処するが、上手な先生はトラブルを予防する
- 苦手な先生はいくらでも話を聞くが、上手な先生は切り上げ方を知っている
- 苦手な先生は多様な指導を試すが、上手な先生は指導に軸がある
- 苦手な先生はSNSを否定するが、上手な先生はSNSを使いこなす
- 苦手な先生は対立を避け放置するが、上手な先生は積極的に仲介する
- 苦手な先生は白黒つけるが、上手な先生は誰が悪いと決めつけない
- 苦手な先生は自ら最善策を考えるが、上手な先生は生徒とともに解決策を考える
- 第4章 先輩後輩関係のトラブル対応 苦手な先生×上手な先生
- 苦手な先生はいつでも相談を待っているが、上手な先生は困っている生徒を自ら探しに行く
- 苦手な先生は上下関係を避けるが、上手な先生は上下関係をつくる
- 苦手な先生は先輩後輩関係を分けて見るが、上手な先生は先輩後輩関係を対等に見る
- 苦手な先生は解決に時間をかけるが、上手な先生はその後のフォローに時間をかける
- 苦手な先生は特定の生徒だけに後輩指導を頼むが、上手な先生は学年全体に頼む
- 苦手な先生は行事で自分のクラスを応援するが、上手な先生は他学年も応援する
- 苦手な先生は原因分析に力を入れるが、上手な先生は再発防止の引き継ぎに力を入れる
- 第5章 保護者対応 苦手な先生×上手な先生
- 苦手な先生は面談を注意する機会と捉え、上手な先生はプレゼントの機会だと捉える
- 苦手な先生は問題発生後すぐに連絡するが、上手な先生は日頃から連絡する
- 苦手な先生は保護者の反応を見ながら伝えるが、上手な先生は事実を正確に伝える
- 苦手な先生は連絡方法がいつも同じだが、上手な先生は様々な方法を使う
- 苦手な先生は保護者と「語る」が、上手な先生は保護者と「一緒に考える」
- 苦手な先生は生徒の頑張りを見るが、上手な先生は保護者の頑張りも見る
- 苦手な先生は問い合わせがあったらすぐ調査するが、上手な先生は日頃から情報収集をしている
- 苦手な先生は保護者の声をクレームと考えるが、上手な先生は成長の機会と考える
はじめに
中学の時から先生を目指していました。衝撃を受けたのは英語の授業、先生がペラペラ話すのです。そして、思わず唸る、なんなんだこの言語は。私は、の次に、食べる、がくる。語順が日本語と違うぞ。家に帰って聞きました。
「お母さん、すごいんだよ、英語って語順が違うんだ。なんで? なんで違うの?」
私の興奮とは裏腹に「そうなってるからしょうがないでしょ」のあっけない返事でした。それからです、英語の教師を目指したのは。生徒を育てたいなんていう大それた目標を持ったスタートではなかったのです。
新規採用通知が来たのは3月末。家から遠く離れた風の強い土地へ急いで引っ越しました。毎日暗いうちに出勤し、階段を一歩ずつ降りるように帰る日々が3年続きました。
授業はうまくいかず、生徒にからかわれ、特に女子指導には悩まされました。若い頃は距離が近すぎ、年を重ねるとしつこくなり、加減が難しかったのです。常に繊細さと柔軟さに悩みました。ただ経験とともに見えてきたものがあります。苦しんだ先生ほど、学び続ける力を持っています。私もその一人でした。
新採の学校で1年から3年まで持ち上がりを経験させてもらいました。3年経ったら見える景色が変わったのです。長い教員生活の中でもこのときの景色は鮮明です。その後教員を続けてこられたのには理由があります。教員には続けるだけの深い魅力があるのです。
悩んでいる先生方へ。「女子指導」にはやり方があります。真似できる具体例があります。私はそれを現場で学び、試行錯誤を重ね、今もSNSや講演会で発信し続けています。
本書では、多くの先生がつまずく女子指導について、実例とともに具体的な方法を記しました。一つでも「なるほど」と思っていただければ幸いです。そしてこれからも、教員としての道を前向きに歩んで行かれることを心より願っています。
2025年5月 /ちか先生
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- 明治図書