- はじめに
- 第1章 「深い学び」に導く新発問パターン 理論編
- 「そもそも」から始めよう
- 「発問」を知ろう
- 「浅い学び」と「深い学び」
- 「深い学び」に導く発問
- 「開かれた問い」で「深い学び」に導こう
- 第2章 「深い学び」に導く新発問パターン 話すこと・聞くこと
- 1 ○○さん(相手)に/場面や目的に合わせて (低学年/ア) 話したいことは何かな
- 2 話題を決める場面で (中学年/ア・知識及び技能(2)ア) 話したいことはどれかな
- 3 場や条件(時間)などを踏まえて (高学年/ア・知識及び技能(2)イ) 伝えた方がよいことと,伝えなくてもよいことはどれかな
- 4 話の構成を考えるときに (低学年/イ) どんな順序で話せば,相手に伝わりやすいかな
- 5 話して伝えるときに (高学年/イ) 聞く人に納得してもらうために,話の構成のどこに自分の考えを入れたらよいかな
- 6 説得力のある構成を考える場面で (高学年/ウ) どのように工夫しようとしたのかな
- 7 ○○を相手に提案するために (高学年/ウ) この資料で,本当によいかな
- 8 相手の話を落とさず聞くために (低学年/エ) 相手が知らせたいことを落とさず聞くには,どうすればよいかな
- 9 スピーチを聞く場面で (中学年/エ) どんな質問をすると,話が引き出せたかな
- 10 インタビューのときに (高学年/エ) どんな質問から始めると,相手が答えやすくなるかな
- 11 よりよい話合いについて検討するために (中学年/オ) 話合いでうまくいかないときって,どんなときかな
- 12 話し合うことの学習場面で (高学年/オ) 何のために話し合うのかな
- 第3章 「深い学び」に導く新発問パターン 書くこと
- 1 集めた情報の中から,伝えたい情報を選ぶときに (中学年/ア) ○○さん(相手)が知りたいことは何かな
- 2 集めた情報の中から,伝えたい情報を選ぶときに (高学年/ア) 〜のためには,どの情報を伝えるとよいかな
- 3 構成の検討をするときに (低学年/イ) 〜のために,どの順番だとよいかな
- 4 大体の構成ができた場面で (中学年/イ) どのつなぎ言葉を使うとよいかな
- 5 記述をする前に (低学年/ウ) どちらの書き方がよいかな
- 6 記述をする前や,下書きをした後に (高学年/ウ) 〜のためには,どこを詳しく書くとよいかな
- 7 単元の導入時や,下書きが終わった後に (高学年/ウ) この部分は事実かな,意見かな
- 8 下書きをした段階で (高学年/エ) 何のために,この資料を文章の中に入れるのかな
- 9 推敲する項目を共通理解するために (低学年/オ) 文章を読み返すときにどこを確認すればよいかな
- 10 相手や目的を意識した推敲にするために (中学年/オ) どんな相手に対して,どんな目的で書いた文章かな
- 11 文章のよさが具体的に見えていないときに (中学年/カ) どの部分に,どんなよさがあるかな
- 12 工夫を見つけるだけになっているときに (高学年/カ) なぜ,その書き方が使われているとよいのかな
- 第4章 「深い学び」に導く新発問パターン 読むこと
- [説明文]
- 1 説明文の基本形を学習するときに (低学年/ア) 問いの文がなかったらどうかな
- 2 問いと答えの関係を学習するときに (低・中学年/ア) どこに,どんな問いを入れたらよいかな
- 3 事例の順序を学習するときに (低・中学年/ア) 説明の順序が違っていたらだめなのかな
- 4 カギことばを学習するときに (低・中・高学年/ウ) 何度も出てくる言葉は何かな
- 5 要点を捉える学習をするときに (中学年/ウ) この段落で,最も大切な一文はどれかな
- 6 筆者の考えを読む学習をするときに (中学年/ア) 筆者の考えは,どのようにして見つければよいかな
- 7 構成を捉える場面で (中学年/ア) 筆者は,どうして「はじめ」と「終わり」に自分の考えを書いたのかな
- 8 段落の果たす役割や意味を考えたいときに (中学年/ア) この段落は,どうして必要なのかな
- 9 「原因」と「結果」の関係を捉えるために (高学年/知識及び技能(2)ア) ○段落がなかったらどうかな
- 10 「双括型」の構成を捉えたときに (高学年/ア) 「はじめ」と「終わり」で,どうして書き方が変わったのかな
- 11 文章を書いた筆者に意識が向くように (高学年/オ) 一番すごいと思った筆者の書き方はどれかな
- 12 文章と資料を結びつけた後に (高学年/カ) この中で最も重要な資料はどれかな
- [文学]
- 1 場面の様子や登場人物の行動を把握するために (低学年/イ) どのように音読すればよいかな
- 2 登場人物の行動を具体的に想像するために (低学年/エ) 登場人物は,なぜ○○したのかな
- 3 一人一人が感想をもつために (低学年/オ・カ) ○○のおもしろいと感じた場面はどこかな
- 4 登場人物の行動の背景に迫るために (中学年/イ) 何がきっかけで気持ちが変わったのかな
- 5 より具体的に登場人物の性格を思い描くために (中学年/エ) 登場人物は○○(優しい・おくびょう・強い)な性格だといえるかな
- 6 物語をどのように捉え,理解したかを確かめるために (中学年/オ) 場面と場面を比べて読んで,何か気づくことはあるかな
- 7 文章を読んで考えたことを共有し,考えを広げるために (中学年/カ) この物語のおもしろさ(魅力)はどんなところかな
- 8 登場人物の相互関係を捉えるために (高学年/イ) ○○の心情が変化したのは誰の影響が大きいのかな
- 9 描写をもとに登場人物の心情を捉えるために (高学年/イ) ○○(行動や会話,情景描写)から,登場人物のどのような心情がわかるかな
- 10 登場人物の人物像を捉えるために (高学年/エ) 登場人物の○○(行動・セリフ・服装・容姿)から,どんな人だといえるかな
- 11 表現の効果を考えるために (高学年/エ) ○○という表現が◇◇という表現だったら,何が変わるかな
- 12 作品の全体像を捉えるために (高学年/エ・カ) この作品からどのようなメッセージが受け取れるかな
- 執筆者一覧
はじめに
発問には,2種類あります。「浅い学び」につながる発問と,「深い学び」に導く発問です。また発問には,2種類あります。「確かさ」を生み出す発問と,「豊かさ」を生み出す発問です。
言葉は違っても,二つの区分けには共通点があります。「浅い学び」につながる発問と「確かさ」を生み出す発問には,多くの場合,明確な答えがあります。問われているのは,これまで身につけた知識であり,短時間の思考で済まされます。いや,反射的に答えられるときには思考を伴っていないのかもしれません。このような発問を記憶発問ということがあります。
それに対し,「深い学び」に導く発問と「豊かさ」を生み出す発問には,思考を巡らす時間が必要です。記憶発問に対し,思考発問ということがあります。
本書では,「深い学び」に導く発問を以下のように定義づけました。
(1)子供が思考を巡らす発問
@ある程度の時間,考え続ける必要がある
A簡単に結論が出ず,思考が渦巻きのように何回転もする
Bこれまでに習得した知識や技能を結びつける(活用する)
C友達の考えなどの情報を自らの考えに生かす
(2)新たな発見や新たな認識が生まれる発問(考えていなかったことを考える)
(3)自らの考えの変化や,それによる自らの成長を実感できる発問
*考えの「変化」とは,以下のような思考の揺らぎを指す。
@新たな事実や考えを取り入れ,考えが広がる
A新たな事実や考えをもとに再考し,考えが変化する
B新たな情報をもとに確信を得,考えが固まる
上記のような「深い学び」に導く発問で,子供たちと学び合ってみたくありませんか? 子供がこれまで身につけた知識や友達から得た情報をもとに思考を巡らし,考えを広げたり変えたり固めたりする。その結果,新たな発見や新たな認識が生まれ,自らの成長を実感する。そんな子供の姿を見たくありませんか?
本書では,「深い学び」に導く発問を,話すこと・聞くこと,書くこと,読むこと(説明的文章・文学的文章)の4領域に分け,それぞれの領域で厳選した12発問を紹介します。あなたが子供に投げかけたくなる発問が見つかることを願い,本書を世に送り出します。
/茅野 政徳
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- 明治図書