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特別支援教育 新学習指導要領を踏まえたキャリア教育の実践

特別支援教育サポートBOOKS特別支援教育 新学習指導要領を踏まえたキャリア教育の実践

新刊

総合32位

新学習指導要領で求められる「キャリア教育」を充実するために…

特別支援教育・キャリア教育第一人者の著者が、新学習指導要領で求められている、意識、主体性、意欲などの内面を伴う行動やスキルを身につけ、地域・職場・社会で生きて働く力を育成するためにはどうしたらよいのか、主体的な学びをつくる学習についてまとめました。


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ISBN:
978-4-18-309228-1
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 160頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年12月9日
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もくじ

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まえがき
第1章 今までの教育とこれからの教育
1 日本の障害児教育の変遷
(1) 分離教育と統合教育
(2) 分離教育の指導内容
(3) 教科学習の限界
(4) 生活学習の取り組み
(5) 生活単元学習の導入
(6) キャリア教育の導入
(7) 新学習指導要領への対応
2 キャリア教育の本質の理解
(1) キャリア教育とは
(2) 生活の質を高める指導がポイント
3 特別支援教育に求められているキャリア教育
4 教育課程の3本柱の見直し
(1) 自立
(2) 社会参加
(3) 就労
(4) 人生の質
第2章 人生の質を高める学校教育
1 子どもの存在に注目する教育の推進
2 地域や職場で存在価値を高める
(1) 地域学習の導入
(2) 現場実習の充実
3 人生の質を高める(存在価値を高める)生活とは
(1) 自分を知る生活
(2) 自分の存在を実感できる生活
(3) 自ら努力する生活
(4) 本物を学び,本物を提供する生活
4 人生の質を高める(存在価値を高める)授業とは
(1) させられる学習でなく自らする学習
(2) 教えるよりも自ら学ぶ学習
(3) 人間性を育てる学習
(4) 生活に適応できる学習
(5) 脳を活性化する学習
第3章 人生の質の向上と教育課程の3本柱
1 3本柱の基本的な考え方
2 3本柱の関連性の理解
3 基本行動の導入の背景
4 日常生活の指導と基本行動
(1) 基本行動の指導方針
(2) 指導目標
(3) 小・中・高の指導の違い
5 生活単元学習と基本行動
(1) 指導目標
(2) 小・中・高の指導の違い
6 作業学習と基本行動
(1) 指導目標
(2) 中・高の指導の違い
7 これからの生活単元学習
(1) 小学部の授業改善のポイント
(2) 中学部の授業改善のポイント
(3) 高等部の授業改善のポイント
8 これからの作業学習
(1) スキルの向上
(2) 働くための基本資質の確立
第4章 新学習指導要領を取り入れたキャリア教育の実践
1 地域社会に密接にかかわる学習活動の展開
(1) 小学部の学習活動
(2) 中学部の学習活動
(3) 高等部の学習活動
2 主体的・対話的な深い学び
(1) 小学部の学習
(2) 中学部の学習
(3) 高等部の学習
3 キャリア教育の一層の充実
4 連続性・一貫性の重視
5 教育評価の活用

まえがき

 特別支援教育は大きく変革のときを迎えています。学校は教育課程を中心とする教育目標,教育内容,教育方法の認識の変革を迫られています。教師には質の高い専門的な授業の追求と子どもを主体とした学習方法の改善が求められています。

 長く,熱心に積み上げられてきた特別支援教育が変わらなければならないのはどうしてでしょうか。今までの教育の一体どこに問題があり,これからは,何を,どのように変えていかなければならないのでしょうか。まず,このことを理解した上での教育実践でなければ,求められている成果を得ることができないことは言うまでもありません。

 本書は,わたしが50年近くにわたって,この教育にかかわり,積み重ねてきた教育実践をもとに,これからの特別支援教育の在り方,方向性と教師として,どうしても改善,見直しをしなければならない指導方法,対応方法を具体的に示したものです。今までと違った質の高い教育を実現し,一人一人に応じた指導の充実を図ることを目的にまとめています。

 この教育が大きく変わるきっかけとなったのがキャリア教育の導入です。

 キャリア教育は,言うまでもなく,生きる力,働く力を育てる教育と言われています。これは,特別支援教育が,教育課程の中核に位置付け指導を積み重ねてきた「日常生活の指導」「生活単元学習」「作業学習」が目標としてきた教育そのものです。であるならば,特別支援教育にキャリア教育を取り入れる必要があるのか,と疑問を持つ人もいるでしょう。

 特別支援教育は昔からキャリア教育を取り入れ,生きる力,働く力を育てる教育を積み重ねてきました。しかしながら,我々が積み重ねてきた,生きる力,働く力を育てる教育が,どれだけの成果を上げたかを検証してみると,生きる力,働く力を育てることを目指して実践してきたはずだったのですが,実は意外にも,生きる力,働く力が育っていないことが分かってきました。原因を探ってみて,今まで行ってきた指導内容,指導方法に課題が見つかり,見直しを迫られたのです。

 今までの教育は,子どもたちが障害を持っているということで,できることを増やしたり,新たなスキルを身につけたり,スキルアップを目指したり,さまざまな体験をさせたりなど行動面や技能面に焦点を当てた指導が中心でした。こうした指導は,子どもの行動領域,生活領域を広げる上では効果があったことは確かです。しかし,これが,どれだけ地域や職場や社会で機能する,通用する力になっていたかとなると,さまざまな課題が見えてきました。学校ではできるのに学校外ではできない,高いスキルは持っているのに,それが職場では発揮できない,さまざまな体験をしてきているのに,限定された生活の場でしか通用しないなど,具体的な課題が学校現場から示されました。指導内容,指導方法の見直しを迫られた理由がここにあります。決して,今まで行ってきた教育が間違っていたのではありません。今まで行ってきた教育を,もう一度キャリア教育の視点で見直し,生きる力,働く力を確実に身につける教育実践を見出すことが求められたのです。これがキャリア教育を特別支援教育に取り入れた最大の理由なのです。

 今までの指導がなぜ,地域や職場や社会で通用しなかったのか,調べてみると,行動や技能は身についているが,それに比べて内面が育っていないことが分かってきました。できても意欲的にできないとか,スキルは持っているが,それを主体的に発揮できないとか,体験はしていても,意識が低い体験のため,せっかくの体験が機能しないなどの実態が浮かび上がってきたのです。生きる力,働く力を育てるためには,できることやスキルの獲得も大事ですが,もっと内面に注目し,内面を伴う行動やスキルを身につける必要がある,というのが,特別支援教育で行わなければならないキャリア教育ということになります。

 では,内面はどのようにすれば育つのでしょうか。内面が育てば,本当に生きる力,働く力が身につくでしょうか。地域生活や職業生活,社会生活で機能し,通用する力になりうるでしょうか。これを具体的な実践を通して明らかにしようとしたのが本書です。

 本書を通して,内面の育ちを伴う行動やスキルがいかに子どもを育て,生きがいのある生活を生み出しているか,生きて働く力となって機能しているかを,是非読み取って欲しいと思います。

 この教育にかかわる多くの先生方が,もっと子どもの存在に注目し,子どもと真剣に向き合い,内面を育て,地域や職場や社会で機能する行動やスキルを身につける教育実践を行って欲しいと,心から願っています。

 本書では,新学習指導要領による教育実践の在り方についても整理しました。新学習指導要領も決して,新たな教育を求めているのではありません。キャリア教育を含めて,今まで積み上げてきた教育実践がさらに充実,発展し,より確かなものにするための方向性を示したものであると,わたしは理解しています。現に新学習指導要領で求めているのは,意識,主体性,意欲などの内面を伴う行動やスキルを身につけ,地域や職場や社会で,生きて働く力を育成することです。できないことができるようになればよいのではなく,また身についていないスキルが身につけばよいのではなく,生きて働く,できることやスキルの重要性を示しています。受動的な学びでなく能動的で,主体的な学びを求めています。主体的な学びでなければ生きる力,働く力に結び付かないという考えです。

 できることが多く,スキルも高いのに職場で通用しない子どもがたくさんいます。原因は人間性が育っていないためです。この人間性を育てる教育も新学習指導要領では取り上げられており,これからの重要課題です。また,応用,般化も問題になっています。学校でできることが,他の生活場面,すなわち地域や職場では通用しないことが多いからです。こうした課題にも積極的に取り組み,学校卒業後の人生が生きがいのあるものになる教育実践が,これからの教育であると理解しておかなければなりません。

 こうして述べると,課題が山積しているように思えますが,決してそうではありません。要は,すべての子どもたちの可能性を求め続け,一人一人に応じた指導を充実し,一人一人の人生の質を確実に高めていこうとしているのです。今まで最終目標としてきた自立や社会参加や就労は当面の目標に変わり,最終目標は人生の質を高めることにある,ということをしっかりと認識し,これからの教育を考えればよいのです。

 最後に,わたしは,障害を持つ子ども一人一人が地域で,職場で,社会で,生きがいを持って堂々と,輝く生活ができるようになる教育実践を実現することが特別支援教育の教師の専門性だと理解しています。本書がそのための一助になればと願っています。


   著者 /上岡 一世

著者紹介

上岡 一世(うえおか かずとし)著書を検索»

元愛媛大学教授。

1946年高知県生まれ。高知大学教育学部卒。鳴門教育大学大学院修了。

高知大学教育学部附属中学校教諭(特殊学級),愛媛大学教育学部附属養護学校教諭,愛媛大学教育学部助教授,愛媛大学教育学部教授,愛媛大学教育学部附属特別支援学校校長を歴任。専門は特別支援教育。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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