生徒が到達度を高めていく 中学校国語授業システム

生徒が到達度を高めていく 中学校国語授業システム

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曖昧な国語の到達度を明確にし、挑戦しがいのある授業を作る。

到達度や評価規準など評価を取り巻く状況に、難しさを感じている国語教師は多い。本書は、試行錯誤をくりかえす中から目の前の生徒の学習の到達度を高めることを第一に取り組みを重ねた、国語授業システムの提案である。


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ISBN:
4-18-307217-4
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 128頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

まえがき
[T] 到達の姿を明確にして,挑戦しがいのある授業をつくる
1 はじめに
2 生徒主体の授業
3 「実の場」を意識した学び
[U] 到達度を高めるために
〜カリキュラム上の3つの工夫〜
1 領域の構成を明確にする〜「1教材1領域」の取り組み〜
2 「読むこと」の領域において,文種を連続して学ぶ
3 基礎・基本の確実な定着をめざす授業
4 年間指導計画の実際
[V] 生徒が到達度を高めていく授業の実践例
実践1 相手意識や目的意識を明確にして話すこと・聞くことの力を高める実践
《到達度を高めるための手立て》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(全6時間)
4 本時(第5時)
5 成果と課題
6 まとめ
実践2 実の場を生かし,スピーチを推敲する力を高める実践
〜異なる学年(1年生と3年生)の交流から2学級合同授業と,TTの取り組み〜
《到達度を高めるための工夫》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(1年・全5時間/3年・全4時間)
4 本時(1年・第4時/3年・第3時)
5 授業の実際
6 成果と課題
7 まとめ
実践3 文章の構成や論理を捉える能力を高めるための実践
《到達度を高めるための工夫》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(全8時間)
4 本時(第7時)
5 成果と課題
6 まとめ〜単元構成においても統一感あるものを〜
実践4 詩をまとめて学び,「実の場」によって詩の読み方の確実な定着を図る実践
《到達度を高めるための工夫》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(全7時間)
4 授業の実際
5 成果と課題
6 まとめ
実践5 書き手の表現上の工夫を捉えながら,文章の主張を捉える能力を高める実践
〜説得の手法を学ぶ〜
《到達度を高めるための工夫》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(全9時間)
4 本時(第9時)
5 成果と課題
6 まとめ
実践6 音読,群読の力を支えとして,「古典で自分の意見がもてる」実践
〜「読む力」を高める「帯」で取り組む,音読,群読〜
《到達度を高めるための工夫》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(全5時間)
4 本時(第4時)
5 授業の実際
6 成果と課題
7 まとめ
実践7 文学作品を入り口として,読書への意欲を高める実践
《到達度を高めるための工夫》
1 題材の価値と学習のねらい
2 展開の工夫
3 指導計画(全6時間)
4 本時(第5時)
5 授業の実際
6 成果と課題
7 まとめ
参考文献
あとがき

まえがき

 「これはいくら何でも無理だよね。」「でもとりあえずやってみよう!」

 「中学生には難しすぎるよね。」「たぶん難しいけれど挑戦しよう!」

 「周りの学級に迷惑がかかる取り組みだよね。」「後から謝ればいいよ!」

 「予算も日程も苦しいね。」「苦しいけれど,やれなくはないよ!」


 私たちは,教師が頭で「難しいだろうな,無理だろうな」と考えることを,とりあえず取り払った上で授業を構想してきた。もちろんその中には,やってみると,やっぱり無理だったこともたくさんある。頓挫した実践も数知れない。けれども時には,教師の予想を生徒が遥かに超えて,すばらしい展開や成果を見せる授業もあった。

 そのような実践を積み重ねていくうちに,私たちは生徒の学習の到達度を高めるのに有効ないくつかの手立てに行き着いた。

 一つは「生徒に委ねる」ことである。

 私(高橋)が生徒だった頃,教師が見せる理科の実験が好きだった。テーブルから浮かんで見えるドライアイスを,自分でも動かしてみたくてたまらなかった。しかし,私の要求は「生徒には無理だ」の一言で退けられた。けれど本当に無理だったのだろうか。それは教師の勝手な思いこみに過ぎないのではないだろうか。

 私たちの発想のスタートはそこにある。つまり,課題の設定,板書,授業の進行,まとめや振り返りなど,生徒に委ねられるものはどんどん委ね,その一つ一つを生徒が「到達度を高める」チャンスとして活用していこうと考えたのである。生徒が主体的に動くことによって,授業が進んでいくことが実感されれば,授業に対する生徒の意識が変わっていく。この変容は実に大きい。

 もう一つは,「実の場」を設定することである。

 学校の中には多くの「仮の場」がある。「〜〜のつもりで」学んでいくのである。そこに少しでも多くの「実の場」を設定していくのである。「実の場」は,学びに推進力を与え,また,知識や技能といったものを生きて働くものとするのに有効なものである。

 本書で私たちが提案する実践は,「この通りにすれば,どんな人にもうまくいきますよ」という類のものではない。授業が完成する過程で,生徒や教師,さらには学校の事情が加味されるであろう。そんな種々の条件が加味されることによってこそ,「世界で一つだけの授業」が誕生していくのだと思っている。

 目の前の生徒の到達度を高めるために,「世界で一つだけの授業」づくりをめざして,本書の中のアイデアが必ずや有効な手立てとなることを確信している。


   /高橋 伸 /市川 恵幸

著者紹介

高橋 伸(たかはし しん)著書を検索»

1964年生まれ。札幌市立の中学校教諭を経て2001年度より北海道教育大学附属札幌中学校教諭(2005年度)。2006年度より札幌市立中央中学校教諭。

市川 恵幸(いちかわ よしゆき)著書を検索»

1968年生まれ。札幌市立の中学校教諭を経て,2000年度より北海道教育大学附属札幌中学校教諭。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 特に、「あとがき」に書かれてあることが非常に共感を持つことができ、即購入しました。附属学校であることを差し引いても、そこには著者のしっかりとした教科理論に裏付けられた「授業」をみることができます。このような授業に少しでも近づけるよう、しっかり読み込み、実践していきたいと思います。
      2006/9/28いろは
    • 附属札幌の研究大会には
      毎年参加していますが、
      この本では、ここ何年かの様子が全て掲載されていて
      こうして一冊の本になると
      学びは教師と生徒が共に創りあげていくものだということが
      本当によく分かります。
      すぐにまねできるものではないですが、
      授業に取り組むエネルギーをもらえる思いがします。
      2006/9/26北海道

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