- まえがき
- 1章 ポジティブ行動支援を取り入れ支援を行おう!
- ポジティブ行動支援で,子どもの“ステキ”を見つける先生になろう!
- 今,学校現場で求められる教育
- ポジティブ行動支援とは?
- 問題行動ばかりに目が行く先生 vs ポジティブな行動にも目が行く先生
- 鉄則@ 問題行動に目が行きやすい自分を意識する!
- 鉄則A ポジティブ行動支援は罰に頼らない支援
- 鉄則B ポジティブな行動を増やすことで問題行動を減らす
- 鉄則C 「当たり前」は最大の敵であることを意識する!
- 鉄則D 子どもの実態にハードルを合わせて,子どものがんばりを見取る!
- 鉄則E ポジティブ行動支援は人の“行動”に焦点を当てる!
- 鉄則F 「注意・指導」は次の「承認・称賛」のチャンス!
- 鉄則G ポジティブな支援・指導が行われやすくなる学級・学校の仕組みをつくる!
- 鉄則H ポジティブ行動支援スタートのタイミングは「新年度・新学期」
- 鉄則I ポジティブ行動支援の成果を生み出す3つの要素を整える!
- 鉄則J 多層的な支援で,すべての子どものニーズをカバーする!
- 鉄則K ポジティブ行動支援は特定の教育実践やHow toではない
- 鉄則L ポジティブ行動支援は手段であり目的ではない
- ポジティブ行動支援,導入のストーリー
- ポジティブ行動支援プラクティス
- ポジティブ行動支援Q&A 1
- 2章 ポジティブ行動支援を実現する“行動のABCフレーム”
- ポジティブ行動支援の基礎的な理論を理解しよう!
- “行動のABCフレーム”とは?
- 行動のABCフレームで行動を分析し改善に向かう「応用行動分析学」
- 行動を行うきっかけ・状況となる「先行事象:Antecedent」
- 「行動:Behavior」を具体的に定義することの大切さ
- 行動が繰り返されやすくなる出来事である「結果事象:Consequence」
- 結果事象によって行動が変化する強化と弱化〜行動の機能への注目〜
- 行動の結果事象から考える「褒める」の罠〜フィードバックのすすめ〜
- ポジティブ行動支援と応用行動分析学の関係!
- ポジティブ行動支援は教師の視野と支援の幅を広げる!
- ポジティブ行動支援プラクティス
- ポジティブ行動支援Q&A 2
- 3章 ポジティブ行動支援を実現する行動支援計画シート
- 行動支援計画シートの作り方を学ぼう!
- 「行動支援計画シート」とは
- Step1 教える・高める行動を決める
- Step2 行動のきっかけ・手がかり(先行事象)を考える
- Step3 行動の記録方法について考える
- Step4 フィードバック(結果事象)の方法を考える
- データをグラフでフィードバックする
- データに基づいて,行動支援計画を見直す
- どうしても効果が見られない時は……
- 子どもとともに計画を作成することで効果的な支援を実現する
- 実践を通してポジティブな行動が生まれやすい学校環境に変えていく
- ポジティブ行動支援プラクティス
- 4章 ポジティブ行動支援を実現するための人間関係づくり
- 子ども同士のポジティブなつながりをつくろう!
- ポジティブ行動支援を学級に導入する!
- ポジティブな行動が生まれやすい環境をつくる
- Step1 仲間を紹介しよう!
- Step2 自分の感情と体調を仲間と共有しよう!
- Step3 学級で増やしたいポジティブな言葉を集めよう!〜言葉表の作成〜
- Step4 学級みんなのポジティブな関わりを増やそう!〜SSTの導入〜
- ポジティブ行動支援プラクティス
- ポジティブ行動支援Q&A 3
- 5章 ポジティブ行動支援を実現するための学級環境づくり
- ポジティブな行動が生まれる学級環境をつくろう!
- Step1 学級みんなの目標を決めよう!
- Step2 学級の目標を実現するために心掛ける行動を考えよう!
- Step3 学級で増やしたいポジティブな行動を集めよう!〜行動表の作成〜
- Step4 学級みんなでポジティブな行動を認め合おう〜ポジティブカード〜
- Step5 ポジティブな行動を可視化するトークンエコノミーシステムを導入しよう!
- ポジティブ行動支援に基づいた学級づくりの実際
- ポジティブ行動支援プラクティス
- 6章 学級におけるポジティブ行動支援手順編
- 学級における実践の手順を学ぼう!
- 学級におけるポジティブ行動支援の実践システム
- Step1 学級の課題から取り組む行動を決める
- Step2 記録方法の検討と実態を把握するベースライン調査
- Step3 行動支援計画シートを使って,ポジティブ行動支援を計画する!
- 行動支援計画を子どもたちとともに作成する
- 行動支援計画に基づいて行動を練習・確認する
- Step4 ポジティブ行動支援の取り組み開始!
- 取り組み中に大切なポジティブフィードバック
- データに基づいた行動支援計画の見直し
- Step5 「取り組んでよかった!」を実感するフォローアップ調査
- 取り組みをシステム化する
- 学級経営の負担にならない程度で取り組む
- ポジティブ行動支援プラクティス
- 7章 学級におけるポジティブ行動支援実践編
- 学級でポジティブ行動支援に取り組もう!
- 教室移動の際に「静かに整列する」に取り組む!
- スムーズに授業を始めるための「授業準備」に取り組む!
- 取り組みのふりかえりと行動表の見直し
- ポジティブ行動支援プラクティス
- 8章 個別・小集団支援を実現するポジティブ行動支援
- ポジティブ行動支援による個別・小集団支援に取り組もう!
- 個別・小集団支援の実践システムと取り組みの方法
- 全体支援(第1層支援)と個別・小集団支援(第2層支援)とのつながり
- 学級の子どもたちと「ニーズに応じた支援」について共通理解する
- 「ニーズに応じた支援」を学級で一般化する「自分研究」
- Step1 第1層支援を通して個別・小集団支援のニーズを把握する
- Step2 支援する行動と取り組みを行うための合意形成
- Step3 ベースライン調査
- Step4 行動支援計画シートを使って,個別・小集団支援を計画する!
- Step5 個別・小集団へのポジティブ行動支援の取り組み開始!
- 個別・小集団支援での工夫を学級全体でも!
- 個別・小集団支援において重要な関わりの充実
- ポジティブ行動支援プラクティス
- ・参照動画の視聴方法
- 9章 学年・学校に広げるポジティブ行動支援
- 学校の中でポジティブ行動支援を広めていこう!
- ポジティブ行動支援は教師一人だけで取り組むものではない
- ポジティブ行動支援を学校全体へ広げるために必要な「データ」の共有
- ポジティブ行動支援を学校全体へ広げるために必要な「実践」の共有
- ポジティブ行動支援を学校全体へ広げる方法とは!
- どうすれば同僚の先生とポジティブ行動支援を共有できるのか
- 委員会活動で取り組むポジティブ行動支援
- 小学校児童会活動を通したポジティブ行動支援
- 学年で取り組むポジティブ行動支援
- ポジティブ行動支援プラクティス
- 10章 学校全体で取り組むポジティブ行動支援の導入
- 学校全体でポジティブ行動支援に取り組もう!
- 学校におけるポジティブ行動支援の手順
- Step1 ポジティブ行動支援チームを形成する
- Step2 学校の先生の同意を得よう!
- Step3 学校全体の“行動表”をつくろう!
- Step4 学校全体のデータシステムの構築
- 学校全体の実践システムの構築
- Step5 学校全体でポジティブ行動支援に取り組もう!
- ポジティブ行動支援プラクティス
- あとがき
まえがき
「子どもと先生の笑顔が輝く学校・学級を一緒につくっていきましょう」
私たち教師は学校で様々な子どもたちと出会い,楽しみや喜びを直に感じることができる最高の現場に勤めています。しかし,子どもたちは,状況や場面によって姿を変えます。
問題行動を繰り返したり,トラブルによって子ども同士の関係が悪化したり,学級がなんだかしんどい状況に陥ってしまう。教師をしていると,こういった子どもたちの姿を見ることは少なくありません。発達の過渡期がゆえに見られる様々な事象に対して,教師としてどう対応すればいいのかわからなくなってしまいます。そんな時に「適切な支援や指導」の方法や考え方を提供してくれるのが,ポジティブ行動支援です。
本書では,先生のポジティブな支援・指導で子どもたちのポジティブな行動を引き出し,増やしていく「ポジティブ行動支援」について,実践をする上で大切な考え方や理論に加えて,具体的な事例を交えながら実践の方法や手順を紹介します。
ポジティブ行動支援の特徴として,第一に「研究によって積み上げられた知見に基づく実践」であることが挙げられます。ポジティブ行動支援は応用行動分析学における行動を理解する基本的な枠組みである「ABCフレーム」に基づいて支援を行っていきます。子どもたちや集団の多様な行動に対する見方を提供し,ニーズに応じた適切な支援・指導と,それによる確実な成果を生み出します。
第二に「他の先生方や子どもたちと実践の方法や考え方を共有することができ,さらにともに取り組むことができる実践」であることが挙げられます。ABCフレームという行動に焦点を当てた,わかりやすく共有しやすい枠組みに基づいて,学級経営の中で子どもたちとともに実践に取り組んだり,委員会活動や児童会活動で子どもたちが主体となって学校全体の子どものポジティブな行動を増やす取り組みを考えたりします。また学年集団や学校全体で先生方と実践手法を共有しながら支援・指導に取り組むこともできます。本書では,この本を手に取った先生が,どのように学級で実践していくか,個別支援に生かしていくか,そして学校全体に実践を広めていくか,そのための方法や手順についても実際の実践をもとに整理しています。
第三に,ポジティブ行動支援は「教師としての生き方の転換を図ることができる実践」と言えます。子どもの問題行動に着目し,その問題行動をどうにかしようとネガティブに考えてしまうのではなく,ポジティブ行動支援は子どものステキな姿に着目し,その行動を引き出し,その行動の機会を増やしていく取り組みです。まさに“Don’t”から“Do”への教師としてのスタンスの転換です。ポジティブ行動支援に取り組むことで,先生の周りでは自然と子どもたちのポジティブな行動が増えていくことでしょう。それは学校だけではなく,日常にも広まっていきます。ポジティブ行動支援は先生や子どもたちの生活の質(QualityofLife:QOL)の向上を実現し,学校,そして社会の中で自分の行動を自分自身で整えることができる,主体的な姿を育んでいくことができます。
さあ,子どもと先生の笑顔が輝く学校・学級をつくっていきましょう!
/松山 康成
理論的な部分や支援の仕方など、ぎゅっと詰め込まれています。
学級経営をする中で、何度も読みたくなる本だと思いました。
ポジティブカードやソーシャルスキルトレーニングの実践は、より良い集団につながると思って取り組んでみたところ、大きな効果が生まれました。互いを認めあうサイクルが生まれ、あとはそれが自走していってくれた感じがします。温かい集団となり、トラブルも格段に減り、定時退勤や休み時間子どもと遊べるという副産物も生まれました。購入して本当によかったです。