- はじめに
- T章 学習者・子どもの論理に立つ
- 学校は楽しくなくちゃ
- 1 楽しい学校像が見えない
- 2 なぜ学校は必要なのだろうか
- 3 学校は物を教うる所にはあらず
- 4 知的好奇心をつむのはだれか
- 5 学校を変えるのはだれか
- 6 学校は楽しくなくちゃ
- 7 校舎が変わる、学校が変わる
- 8 先生にもっと自由を
- 9 人権の神髄は「自己実現」
- 構成主義の教育
- 1 構成主義の教育と教授主義の教育
- 2 構成主義の国語教室
- U章 活動単元学習の構成と展開
- 文化伝達の授業から文化的実践の授業へ
- 1 「生きる力」の糧となるよう「表現」への重視を
- 2 文化づくりの論理で授業の論理を活動
- 3 ワンパックとしての「正確に理解し適切に表現する」能力の育成を
- 4 言語活動力としての基礎・基本のとらえを
- 5 言語活動力を学習共同体にも育てることを
- 「活動を通して」論から「活動をこそ」論へ
- 1 コンピュータが迫る基礎・基本の理解と定着のみの教育から自己表現・自己創造への教育へ
- 2 受容的享受から自己表現としての文学への読みへ
- 3 生涯学習へ
- V章 言語文化づくりとしてのもの・ことづくり
- 音読・朗読・群読づくり
- 1 平和集会を開こう◆「わたしが一番きれいだったとき」
- 2 朗読詩集から朗読劇へ◆「のはらはうたう」「そこまでとべたら」
- 劇づくり
- 3 狂言に挑戦◆「雷」「柿山伏」「附子」
- 4 歌舞伎に挑戦◆「平家物語一足揩」
- 映像づくり
- 5 紙芝居「竹取物語」◆「蓮菜の玉の枝」
- 6 電子紙芝居◆「白ねずみ」
- 7 報道特集「三年五組」
- 対話づくり
- 8 討論◆「走れメロス」
- 9 シンポジウムでつくる◆「比喩の世界」
- 10 文学ディベート学級歌合わせを楽しもう◆「短歌」
- 11 学級俳句会をしよう◆「俳句への招き」
- 作文
- 12 修学旅行記をつくろう◆「短歌とその世界」
- 13 連句で遊ぶ、遊んでつながる◆「俳句とその世界」
- 14 意見文を書く◆学校図書館を利用して
- ゲームづくり
- 15 漢字ビンゴ
- 16 ロールプレイニングで生きて働く敬語を身につけよう◆「敬語のはたらき」
- コンピュータ活用
- 17 言語感覚を磨くー英語科との連携で
- 18 故事成語の電子紙芝居をつくろう
- 19 熟語の達人になろう◆四字熟語総合学習ソフトの活用
- 20 コンピュータを利用した文章分析
- 21 「ごたくどず」クイズ問題作成
- おわりに
はじめに
本書は、『「活動単元」による新しい単元学習の展開――小学校国語科・算数科』(明治図書 一九九七年三月刊)の続編である。続編であるから、本書のT章「学習者・子どもの論理に立つ」、U章「活動単元学習の構成と展開」は、当然のことだが、前書をふまえたうえでの論述となっている。したがって、本書が、どういう子ども観、どういう学び観、どういう学力観、どういう評価観などに立ち、「新しい単元学習」の行く末をどう方向づけ、どこに定位させようとしているかについては、ご面倒でも前書の序章「これからの単元学習」及びT章「活動単元学習の原理」を一読いただくとありがたい。
既に告示された新学習指導要領は、「これからの子どもたちに必要なのは、いかに社会が変化しようと、自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力」(一九九七年一一月一七日『中間まとめ』による)の育成をめざしている。この資質や能力というものは、教えれば育つ、教えれば身につく、というものではない。子ども自身がまさに「自分で課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し」てこそということがあって、そこではじめて資質や能力として結実するものである。そこで、そのためには授業はどう変わればよいか、である。
本書は、ご覧のように長崎県と福岡県の中学校の先生方の国語教育研究サークルである凧の会(長崎市)、苫の会(佐世保市)、麦の会(福岡県糟屋郡)が、年来、相互に刺激し合い、磨き合いしつつ進めてきた研究実践活動の成果の一つの集大成である。編集に当たっては、三つの会の代表者によって、各学年ごとにできるだけ多様な言語活動づくりとなるよう、また、創意工夫の面においてもできるだけこれまでにない言語活動づくりとなるよう綿密な打ち合わせがなされた。そのうえ、原稿の上梓に当たっては、三つの会合同による合宿研究において厳しい検証もなされた。そういう意味でも、本書の刊行が、これからの新しい研究実践のありようが教育最先端の場に芽吹くことのきっかけともなれば、嬉しいかぎりである。
本書の刊行にあたって、今回もまた明治図書の石塚嘉典氏に、本書の企画・その他細かな手続きについて、いろいろお世話いただいた。心よりお礼申し上げる次第である。(中略)
一九九九年一月 長崎 浦上河畔にて /安河内 義己
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- 明治図書