記述式問題と思考法
PISA、全国学力・学習状況調査への対策

記述式問題と思考法PISA、全国学力・学習状況調査への対策

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読書から「記述力」を高めていくその指導法を提案

今、求められている記述力をめぐって、@知識基盤社会と記述力、A読書とかかわる書くことの問題、B読書レポートの書かせ方、C現代人とディベート的記述力、D感想文比べ、E意見文の構成、FPISA調査・TIMSS調査と記述式問題などとの関連を解明。


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ISBN:
978-4-18-303819-7
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 84頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに―今,求められる記述力―
第1章 知識基盤社会と記述力
第2章 大学の現場から
第3章 「読書」と関わる「書くこと」の問題
第4章 読書レポートの書かせ方
第5章 現代人とディベート的記述力
第6章 感想文比べ
第7章 意見文の構成
第8章 PISA調査・TIMSS調査と記述式問題
第9章 発想力を鍛える
第10章 国語学力調査問題と記述力
―埼玉県国語教育研究会の学力調査から見えること―
附録
第1章 要約とつながらない自己表現的作文の氾濫
第2章 記述式問題と国語授業の今後
主要参考文献
あとがき―ありふれた学力の底ぢから―

はじめに―今,求められる記述力―

 子どもたちの表現力が衰えているという声があちこちで聞かれます。しかし今,果たして,子どもたちの表現力は衰えているのでしょうか?

 確かに「書くことが苦手だ」という子どもはたくさんいます。また,彼らの日常生活において「書く機会」が減少しているのも事実です。しかし,彼らはただ思ったことを書き連ねるだけなら,結構やっていますし,苦手だと思っていないように見受けられます。ケータイメールや,パソコンの電子メール,それに親しい仲間同士の交換日記など,思いついたことを自由に書くのなら,彼らは充分に表現しています。私はそうした作文のことをまとめて「自己表現的な作文」と呼んでいます。もちろん,「自己表現的な作文」は前に挙げたようなものばかりではありませんが,今の時代,子どもも大人も「自己表現的な作文」は盛んに行っていると言えますし,また,けっして苦手だと思っていないように見受けられます。

 ですから,学校で行う作文指導では,それとは違う作文を取り上げて指導してもらいたいと思います。「簡潔で論理構成の整った文章」を書けるようにすること,そのことを目標にしてもらいたいと思うのです。

 今,ちまた巷ではPISA調査,全国学力・学習状況調査への対策が叫ばれています。とりわけ,記述式問題への対策が急務とされています。この本では記述式問題への対策を作文指導に課せられた課題として受けとめ,そこから子どもたちの思考力,発想力をどう鍛えるかを考えてみました。記述式問題への対策を考えたとき,作文は単なる「自由作文」「自己表現的な作文」ではなく,相手が出してくる情報をしっかり受けとめて理解し,それをもとにして自分の考えを練るというところが最も大切であると気づきました。子どもたちを指導される先生方も,そのことを意識され,「受けとめと発信」の過程で養われる思考と発想の指導に留意されると,子どもたちの記述力もアップすると考えます。

 と申しましても,一足飛びに子どもたちの記述力がアップするというのはまゆつばもの眉唾物です。読書指導と関連した「要約」の指導を徐々に高めていきながら,論理的な記述力を養っていきたいものです。ですから本書では,読書からどのようにして記述力を高めていくのか,その試案を提出しました。また,思考法には「解釈が各人の自由になるもの」(拡散的思考法。本書第9章参照)と「解釈が各人の自由にならないもの」(収束的思考法。本書第5章参照)との二つがあり,そのいずれの思考法にも習得する必要があると判断しています。しかし,本書ではどちらかと言うと後者の思考法の大事さを説きました。なぜなら,今の時代,前者の思考法が大流行で,「まとまらないこと」や「徹底しないこと」が余りにも多すぎるからです。もちろん,新たな考えを生む上で「拡散的思考法」は重要です。新鮮な考え方は人間の生活を進化させる上で不可欠であります。しかし,学校教育でこのことばかりに力を入れることに私は疑問を抱いています。そして,私たちの周囲には裁判員制度や種々の訴訟や弁護の問題が次々に押し寄せています。そういう見地から,本書では記述式問題への対策と関わらせて「収束的思考法」の重要さを説きました。

 本書を活用していただき,少しでも子どもたちの思考法が磨かれ,記述力がアップすることを期待しています。


  2009年4月   /竹長 吉正

著者紹介

竹長 吉正(たけなが よしまさ)著書を検索»

1946年10月,福井県美浜町に生まれる。東京学芸大学を卒業(1969年3月)後,大東文化大学大学院文学研究科修士課程修了(1974年3月),東京学芸大学大学院教育学研究科修士課程修了(1983年3月)。埼玉県立高校教員,東京学芸大学附属高校大泉校舎教員を経て,埼玉大学教育学部講師(1983年4月)。同大学助教授(1985年4月)を経て教授(1996年4月),現在に至る。国語科教育学・日本語教育学・日本近代文学・児童文学を専攻。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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