教師のためのマインドフルネス入門
―ストレスをコントロールする力の鍛え方―

教師のためのマインドフルネス入門―ストレスをコントロールする力の鍛え方―

ストレスフルな学校現場を生き抜くための処方箋

マインドフルネスとは、“今、この瞬間に意識を集中する”ことで、ストレスを軽減するプロセスのこと。どんなに優秀な先生でも、心のバランスを崩しそうになったり、何もしたくないほどに疲れ果ててしまったり…そんなときにこそ、マインドフルネスが役立つのです。


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ISBN:
978-4-18-301724-6
ジャンル:
教師力・仕事術
刊行:
対象:
小・中・他
仕様:
四六判 144頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年4月26日

目次

もくじの詳細表示

はじめに
序章 マインドフルネスとはなにか
マインドフルネスとは:自分自身を見つめ直す
マインドフルネスの意義:今、この瞬間に集中するということ
マインドフルネスの効果:記憶力・集中力の向上
第1章 教師こそ取り入れたいマインドフルネス
教師は高ストレスな仕事である
自分の感情を大切にする
自分だけの静粛な時間を持つ
つねに頭の中をニュートラルに保つ
学校へのマインドフルネスの導入
子どもにとってのマインドフルネスとは
教室へのマインドフルネスの導入
・CASE1 暴力的な子どもへの対処におけるマインドフルネス
・CASE2 問題行動を起こす子どもの保護者への対処におけるマインドフルネス
第2章 マインドフルネスをやってみよう
STEP1 瞑想
STEP2 呼吸法
STEP3 ボディスキャン
第3章 学校で使えるマインドフルネスのアクティビティ
子どもとマインドフルネスとの出会わせ方
アクティビティを行う際の教師の心がまえと留意点
子どもたちと一緒に行うアクティビティ
・ACTIVITY1 全集中!聞いてみよう
・ACTIVITY2 1、2、3で○○になろう
・ACTIVITY3 ゾウの歩き方・ねずみの歩き方
・ACTIVITY4 四季を感じてみよう
COLUMN
保護者への対応 家庭で子どもと一緒にマインドフルネスを実践したいなら
おわりに

はじめに

 「マインドフルネス」(mindfulness)という言葉を聞いたことはありますか。


 マインドフルネスとは、簡単に言うと、“今、この瞬間に意識を集中する”ことで、ストレスを軽減するプロセスのことです。とはいえ、一言で表現するのは難しく、後ほどマインドフルネスを実施することでどのような利点があるのかについて触れていきます。教育現場ではあまり聞き慣れない言葉とは思いますが、詳しくはまず序章をご覧ください。


 Googleの社員研修に導入されたり、Appleの創設者の一人であった故スティーブ・ジョブズなどが、日々押し寄せてくるストレスと闘い、平常心でいるために、かなり早い時期から自身で主体的にマインドフルネスに取り組んでいたことは有名な話です。彼は日常生活において、日々のストレスの軽減や、心身の安定になくてはならないものだとして、毎日欠かさずに行っていたようです。

 スティーブ・ジョブズの著名ぶりが、マインドフルネスをさらに有名にしていったかどうかはさだかではありませんが、これは欧米で働く人々にのみ必要なものなのでしょうか。そうではないと私は考えます。そして、働く人々は申し上げるまでもなく、ストレス軽減や心身の安定に効果を発揮するのであれば、大人のみではなく子どもにも有効なものとして取り入れていくべきではないでしょうか。


 日本においては、まだまだマインドフルネスという言葉自体がなじみがないものかもしれません。ましてや、子どもに対しての有効性ということであれば、なおさらです。それは、大人である教師が体験したこともない、また、言葉も聞いたことがないような状態では、仕方のないことです。

 しかし、欧米ではすでに子どもたちが学校の授業の中でまったく抵抗なくアクティビティとして実践しており、効果的であることも証明されています。マインドフルネスの持つ効果は一言では表現できませんが、大人と子どもが共に実践することも可能ですし、母と子といった保護者と子どもの組み合わせで行うことも可能です。マインドフルネスとはどのようなものなのか。その効果を教師自らが体験して、その本当のよさを理解できたら、子どもたちと一緒に実践してみたいと考える先生方もいらっしゃるのではないでしょうか。


 教師という仕事は、やりがいのある仕事です。

 幸せを感じて教職に就いている先生も多いと思いますが、日々の仕事に追われ、一日のうちでの時間のコントロールができなくなってしまい、ストレスが溜まり、次第に睡眠の質にも変化が見られるようになり、人間らしさが失われ、教師としての仕事を全うできなくなり、いつの間にか教育現場を去らざるを得ないことになってしまった……という方もいらっしゃいます。そのような方は、本当は教員としてのスキルが高く、子どもたちから信頼されている優秀な人材であることも少なくありません。このような先生方が現場を去っていくことは、教育現場にとって、大きな打撃であることはここで申し上げるまでもないでしょう。


 昨今、子どもたちを取り巻く環境が目まぐるしく変化し、また教師も、未知のもの=コロナウイルス(SARS-CoV-2)と共存しながらの生活を強いられています。子どもたちもストレスを多く抱えながら生活する中で、新たな授業展開や環境を整えることなども含め、教師も同様に大変なストレスを背負いながら、教員生活を送っているのではないでしょうか。

 教師は子どもたちの前では指導者であり、子どもの大切な未来へ向かうための道しるべを探し、そして正しい方向へと進んでいけるように光をさしていかなければなりません。個々の子どもに合った道案内役を引き受けて、子どもの数だけ、その方向性を時には一緒に悩みながら探し、また時には教師としてのスキルで自信を持って未来への方向づけを試みなければなりません。大変なロマンがあり、非常にやりがいのある仕事であると同時に、気力、体力のみでは対応しきれない職業とも言えます。それゆえに、一人の人間として、どれだけの幅があるのか、その人間の深みや自身のスキルをつねに鍛えておく必要があるでしょう。

 しかし、教師とて人間です。時には疲れ切ってしまうこともあります。また、どんなに優秀な素晴らしい先生であっても、解決に時間のかかる問題が突如降りかかってきたり、日常生活において悩ましい問題、そして想定外のハプニングが重なったりすると、心のバランスを崩しそうになったり、何もしたくないほどに疲れ果ててしまったりもします。物事をネガティブに考えるようになるなど、いつもとは異なる思考パターン、そして自分さえも気がつかないような行動パターンへと変化してしまうこともあるでしょう。

 そのようなときにこそ、心身共に疲れ果ててしまう前に、マインドフルネスが役立つのです。

 マインドフルネスはまだ本邦においては認知度が低いのが現状です。本書では、教育現場で教師が子どもたちと一緒に活動してもらえるアクティビティを盛り込むことにより、実際に活用することで効果を実感していただけたらと思っています。コロナ禍の終わりの見えないときだからこそ、ご多忙な教職関係者の方々の為になればと思っています。


   /今井 真理

著者紹介

今井 真理(いまい まり)著書を検索»

四天王寺大学教授。

東北大学大学院医学系研究科・医科学専攻博士課程単位取得満期退学,立命館大学大学院先端総合学術研究科先端総合学術専攻博士課程修了,博士(学術)。

愛知教育大学大学院教育学研究科芸術教育専修修了,修士(教育学)。

Oxford Mindfulness CentreにてマインドフルネスをMark Williams,Willem Kuykenより学ぶ。専門は美術教育,アートセラピー,脳科学など。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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