新しい「言語力」育成シリーズ2
中学生の「記述力」を育てる6つの要素
すぐに使える珠玉の授業プラン19

新しい「言語力」育成シリーズ2中学生の「記述力」を育てる6つの要素すぐに使える珠玉の授業プラン19

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あらゆる機会に記述力を鍛える、一流教師の授業術を公開!

「記述力」はアウトプットを高めるだけでは身につかない。インプット→思考→アウトプットという情報処理過程全体に関わる力として捉え、それを授業の中でどう取り上げるか、そしていかに数多くこなすかが重要だ。生徒の実例満載で授業をイメージしやすい理論+実践集!


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ISBN:
978-4-18-301442-9
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
中学校
仕様:
A5判 168頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はじめに
T 6つの要素で「記述力」を育てる
1 なぜ「記述力」が必要なのか
(1) 知識基盤社会で求められる言語能力
(2) 「記述力」の重視について
(3) 「記述力」とは
2 「記述力」の6つの要素から授業を構想する
(1) 記録する力――情報を的確に記録する力
(2) 考えや意見をもつ力――情報をもとに自分の考えや意見をもつ力
(3) 説明する力――情報を整理して分かりやすく伝える力
(4) 説得する力――自分の考えの根拠を明確にして相手を説得する力
(5) 批評する力――情報を分析して評価する力
(6) 想像する力――情報をもとに条件に即して自分の想いを広げる力
3 「記述力」育成の授業10のポイント
(1) 目的・相手・場面を意識させる
(2) 記述する機会を多くする
(3) 条件を変えて繰り返す
(4) 記述するための基礎体力を身に付けさせる
(5) モデルを示すことで記述の仕方を身に付けさせる
(6) 記述する時間を工夫する
(7) 交流の場を設定する
(8) 考える力の育成を図る
(9) 自分の身に付けた「記述力」を実感させる
(10) 表記に気を配る
4 「記述力」の評価について
(1) 「活用する力」としての「記述力」の評価
(2) 「記述力」を核としたカリキュラム・マネジメント
(3) 評価問題による評価
U 6つの要素で「記述力」を育てる授業プラン19
1 記録する力
[1] [一年/ノート] 考える・書くためのノート作り
[2] [二年/インタビュー] インタビューをまとめる
[3] [三年/話合い] 課題についての話合いをもとに自分の考えをまとめる
2 考えや意見をもつ力
[4] [一年/対話] 二つの文章を比較して考える
[5] [二年/作品の分析] 作品を分析して読む
[6] [三年/再生] 要約から説明文を再生する
3 説明する力
[7] [一年/比較] 比較して説明する
[8] [二年/情報の関連] 「走れメロス」の作品の仕掛けを説明する
[9] [三年/情報整理] 効果的なプレゼンの仕方を説明する
4 説得する力
[10] [一年/根拠] 根拠を検討する
[11] [一年/論の進め方] 論の進め方のモデルを使って書き方を練習する
[12] [二年/引用] 引用して自分の考えを書く
[13] [三年/反論] 反論を考えて書く
5 批評する力
[14] [一年/分析] 教科書教材を分析する
[15] [二年/メディア・リテラシー] ドキュメンタリー番組を見て、編集の作為を見破る
[16] [三年/広告表現] 観点を決めて広告を比較する
6 想像する力
[17] [一年/続きを書く] 秘密を探りながら「秘密」を読む
[18] [二年/メッセージ] メッセージを入れて怪談を書く
[19] [三年/表現効果] 表現の特色を生かして随筆を書く
◇資料・「記述力」育成のためのカリキュラム作成例

はじめに

 記述力を身に付けるということは、これまでも国語科の指導の中の課題の一つになっていた。しかし、その割には、指導者の意識に大きな差があり、それがそのまま指導に反映されていたように思われる。そのため、書くことに力を入れている教室と、一つの学期に一度くらいしかまとまったものを書く機会のない教室では、記述力に関する生徒の学習状況に大きな開きができていた。こうした記述力の育成についての指導者の意識が変わってきたのは、PISA調査の「読解力」と関連している。

 PISA型「読解力」という言葉は定着してきているが、実はPISA調査における「読解力」の定義と少し違いがある。PISA調査の「読解力」の定義は、「自らの目標を達成し、自らの知識と可能性を発達させ、効果的に社会に参加するために、書かれたテキストを理解し、利用し、熟考する能力」である。ここには表現するということは入っていない。しかし、日本においてはPISA型「読解力」といったとき、図表等のデータを読み解く力、クリティカルにテキストを読む力、読み取ったことを表現する力までも含めていることが多い。これは、PISA調査の「読解力」の結果からわかる日本の子どもたちの課題と関係がある。

 PISA調査における日本の子どもたちは、次のような問題に対して課題があると指摘されている。(文部科学省『読解力向上に関する指導資料―PISA調査(読解力)の結果分析と改善の方向―』平成一七年一二月)

   ア テキストの表現の仕方に着目する問題

   イ テキストを評価しながら読むことを必要とする問題

   ウ テキストに基づいて自分の考えや理由を述べる問題

   エ テキストから読み取ったことを再構成する問題

   オ 科学的な文章を読んだり、図やグラフをみて答える問題


 これらの問題のいくつかは、既に行われてきた学習状況調査にも通じるものである。しかし、国語科の授業においては、あまり取り上げられなかった内容でもある。こうしたPISA調査の課題を踏まえたとき、今後日本の子どもたちが知識基盤社会の中で、よりよく生きていくための力としてPISA型「読解力」という概念が生まれてきたと考えられる。

 こうした流れの中で、記述力の育成は、新しい学習指導要領への対応ということを含めて、国語科の指導においても優先的に取り組まなければならない課題の一つとなってきたのである。


 ところで、記述力については、どちらかというと情報のアウトプットの部分に関するものととらえがちであるが、本書では、情報のインプットからアウトプットに至る情報処理過程全体にかかわる力として「記述力」ということを考えている。そうした「記述力」の育成にあたり重視すべき点はいくつかあるが、重要なのは、記述することの機会を授業の中にできるだけ多く取り入れることである。それは、記述する行為そのものに慣れることと、様々な場面で活用できるような「記述力」を身に付けることを重視しているからである。

 本書では、これまでに筆者が中学校において実践してきた授業を踏まえて、「記述力」の育成を図るための方策について述べている。ここでの方策を参考にして、さらに各教室の実態に即した実践が行われることを期待したい。


 本書の構成としては、次のようになっている。


◯第T章……この本で育成しようとしている「記述力」について、6つの要素をもとに説明している。この6つの要素は、U章での授業を構想する際の基本的な考え方になる。さらに、「記述力」を育成する授業を行うための10のポイントを示した。この10のポイントは、一年間のカリキュラムの編成や一時間の授業を具体的に計画する際の視点として重要である。

◯第U章……ここでは「記述力」の6つの要素について、各学年における授業の取り組みの例を示した。ここでの取り組みは、筆者が実際に行ってきた授業をもとにしたものである。それぞれの要素を各学年で取り入れるために、発達段階を考慮して視点を設定している。また、ここでは「記述例」として、具体的な記述を示した。どのような記述をすることが求められているかをイメージしやすいようにしたからである。「さらに授業を広げる」という項目を設定してあるものもある。授業を構想する際のヒントとして使って欲しいと考えている。

◯資 料……「記述力」の育成に関するカリキュラム作成のための参考資料を示した。「記述力」を育成するためには、「記述することの機会を多く取り入れる」「条件を変えて繰り返す」ことにより、継続的に指導をしていくことが効果的である。そこで、一年間の国語科のカリキュラムに「記述力」の育成を位置付けるために、「B書くこと」だけでなく、「A話すこと・聞くこと」や「C読むこと」の領域とのかかわりを考えていく必要がある。そのための参考にして欲しい。


 「記述力」は、これまでにも求められてきたが、今後知識基盤社会の中ではさらに重要な能力になっていくことはいうまでもない。そうした「記述力」を育成するために少しでも参考になればと考えている。なお、この本をまとめるにあたり明治図書の佐保文章さんのご厚意に心より感謝申し上げたい。


  平成二二年六月   /岩間 正則

著者紹介

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鶴見大学准教授

横浜国立大学教育人間科学部附属横浜中学校副校長を経て,2008年4月より鶴見大学に勤務。

平成20年告示中学校学習指導要領国語作成協力者。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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