- はじめに
- 第1章 発達障害のある子どもの困難さを理解しよう
- 1 発達障害のある子とは
- 2 読み書きの困難
- 3 落ち着いて学ぶことへの困難
- 4 コミュニケーションに困難がある子どもを理解する
- 第2章 学習上の困難さを支援しよう
- 学習上の困難とは
- [話す・聞く]
- 1 考えを整理して話すのが苦手
- 2 指示が最後まで聞けない
- 3 聞いたことを忘れてしまう
- [読む・書く]
- 4 逐次読みになり,教科書の音読が苦手
- 5 筆圧が強くひらがなや漢字を書くのが苦手
- 6 作文や日記が書けず,白紙で提出してしまう
- [計算]
- 7 いつも1から順番に数え「5,10,15…」と数えることが苦手
- 8 九九が覚えられない
- 9 繰り上がり,繰り下がりが苦手
- 10 筆算が苦手
- [不器用さ・体の動き]
- 11 指先を使った細かな動作が苦手
- 12 コンパスなど道具を上手に使えない
- 13 疲れてすぐに姿勢が崩れてしまう
- 第3章 コミュニケーションの困難さを支援しよう
- コミュニケーションの困難とは
- 1 クラスメイトとトラブルになる
- 2 要求が苦手
- 3 音声言語によるやり取りが苦手
- 4 感情表現が苦手
- 5 問題行動で表現してしまう
- 6 会話が一方的になってしまう
- 7 声の大きさが調整できない
- 8 同じことを繰り返し尋ねてくる
- 9 距離感を調節することが苦手
- 10 指示待ちになっている
- 第4章 どの子にもやさしい教室の中のICT活用
- 1 学びを支えるICTの可能性
- 2 教師がICT機器を「使いこなす」ポイント
- 3 視覚支援に最適「電子黒板」「プロジェクター」
- 4 もっと使おう「実物投影機」
- 5 音声読み上げ等メリットいっぱい「デジタル図書」
- 6 法整備でこれからに期待の「デジタル教科書」
- 7 授業記録に役立つ「デジカメ」「ICレコーダー」
- 8 書くことの困難を軽減できる「ワープロ」
- 9 思考の整理ができる「マッピングソフト」
- 10 コミュニケーションを支援する「アプリ」
- 11 算数・数学の困難を支える「電卓」「ソフト」
- おわりに
はじめに
発達障害のある子どもたちの学びを支える上では,丁寧な教え方や分かりやすい授業をすることは大切なことです。ところが,それだけではなかなか学びにつながらない子どもたちがいます。そういった子どもたちへは,これまでの教科書とノートだけでなく,様々な教材や教具を使った指導の工夫が必要です。その中でも最近注目されてきているのがICT(情報通信技術)と呼ばれるものです。ICT機器を活用することで,読みや書きに苦手さを持つ子どもたちが学びに参加できるようになった事例も増えてきています。
また,ICT機器のような高度なものだけでなく,鉛筆を持ちやすくして,字を書くことを支援する補助具のようなものもあります。これらのことを支援機器,支援技術(AT:アシスティブ・テクノロジー)と呼んだりします。
こういった支援機器をちょっと用いることで,子どもたちの学びはぐっと深まります。障害者差別解消法やインクルーシブ教育システムなど,世の中が大きく変わってくる中で,文部科学省でも積極的にそういった機器を活用して個々の子どもたちをサポートすることを推奨しています。
そこで,小中高等学校の先生方が苦手さのある子どもの指導をするにあたって,どのような機器やグッズをどのように指導の中で取り入れたらよいのか,基本的な考え方について,分かりやすく理解するための本をつくりました。
「困った子ども」ではなく「子どもたちは困っている」と考えてみてください。先生も苦手さのある子どもを目の前にしてどう支援してあげられるか…と「困っている」でしょうか。本書を参考に,先生のそんな「困っている」ことが少しでも解決すれば何よりです。
2019年10月 著者を代表して /金森 克浩
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- 明治図書
- 仕事上のヒントを得ることができました。2022/12/2840代・中学校教員