ミドルリーダーが身につけたい
教師の先輩力10の原理・100の原則

ミドルリーダーが身につけたい教師の先輩力10の原理・100の原則

好評2刷

若手と先輩双方の思いが双方に届くための原理・原則を伝授

「ハラスメント」という概念が浸透し後任育成に躊躇する教師が増えた…そんな現状をどう打破するか? 本書は学年主任などの立場になった際に若手教師にどのようにかかわればよいか、先輩教師の在り方を解説します。チームとしての教育活動が求められる今、必読の一冊!


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PDF EPUB
ISBN:
978-4-18-293712-5
ジャンル:
教師力・仕事術
刊行:
2刷
対象:
小・中・高
仕様:
四六判 208頁
状態:
在庫あり
出荷:
2024年6月25日

Contents

もくじの詳細表示

まえがき
第一章 教師の先輩力一〇の原理
1 プライオリティの原理
2 フューチャー・ヴィジョンの原理
3 ミニマム・エッセンシャルズの原理
4 リフレクションの原理
5 フォロワーシップの原理
6 スリング・アウトの原理
7 エスタブリッシュメントの原理
8 キャラクターの原理
9 チェック&バランスの原理
10 メイク・マイ・チョイスの原理
第二章 教師の先輩力一〇〇の原則
つつしむ──常に「自戒」とともに
1 若者の人生にかかわるのだと自覚する
2 人を見る目にはバイアスがかかっている
3 バイアスは悪影響をもたらす
4 悪しきバイアスの回避はメタ認知から始まる
5 〈教師力ピラミッド〉で自己をメタ認知する
6 〈教師力ピラミッド〉はチームとして機能させる
7 チームを重視することがそれぞれの個性を認識させる
8 自分の不備不足を補う人たちと仕事を機能させる
9 人間的資質の違いを評価規準にしない
10 自分の人間的資質を自覚して付き合う
みきわめる──多面的・総合的な人間として
1 どの程度付き合うかを決める
2 公務には「仕事」と「実践」とがある
3 総合的な力量を評価する
4 力量には二つの方向性がある
5 マトリクスを用いて大きく四分類で把握する
6 多くの若手教師は「複合型」と認識する
7 得意分野と苦手分野を把握する
8 他者の指導・助言を受け入れる姿勢があるか否か把握する
9 孤独に耐える力があるか否か把握する
10 本人が最も大切にしていることを把握する
よりそう──「依存型」の若者と出会ったら
1 「言葉にされないもの」は存在していない
2 「以心伝心」は完全に捨て去らなければならない
3 時間と労力を費やさねばならないと覚悟する
4 子ども・保護者に被害が及ばないよう配慮する
5 成長や力量形成を先送りにする
6 成長させられていないという自責の念をもつ
7 〈共依存〉に陥っていないか自己点検する
8 「笑い」を頻繁につくる
9 「決して一人にしない」と宣言する
10 「自分らしい教師像」をつくることを勧める
いましめる──「軽薄型」の若者と出会ったら
1 「軽薄型教師」が増えていく
2 「軽薄型」はやる気に満ちている
3 「挫折と再生」をモデルとする
4 「分析と再構成」がキモである
5 「できなさ」を自覚させる
6 「意図」が機能させられていないことを指摘する
7 〈リフレクション〉で子どもへの機能性を検討する
8 ミニマム・エッセンシャルズを指導する
9 仕事の一つ一つに早めに取り組ませる
10 「自分の頭」で考えることを促す
はげます──「実務型」の若者と出会ったら
1 多くの若手教師には資質がある
2 若手教師は確認事項をイメージできない
3 決定事項の意味・意義を確認する
4 指導の言葉の意味・意義を確認する
5 「なぜ」と指導とを結びつける
6 〈HOW〉の問いではなく〈WHY〉の問いをもつ
7 自力でできることは自力でやらせる
8 早い段階で「一芸」をもたせる
9 一番の励ましは学校教育の意義を語ることである
10 「前に進むための基礎体力」を考えさせる
ほっとく──「創造型」の若者と出会ったら
1 「創造型」の若者は生意気であることが多い
2 若者に「自分以上」を想定する
3 若者のやることをおもしろがる
4 最低限の基準を満たしている者に文句は言えない
5 「自分に見えていないもの」に自覚的になる
6 〈熟考〉は外からは見えない
7 同僚との軋轢はフォローする
8 若手に対する「配慮」の視座をもたせる
9 味方でいると宣言しつつ、結論は任せる
10 〈制度を超えるもの〉に美徳を感じる
つたえる──こんな時代でも伝承すべきは
1 一歩立ち止まって考えることが必要になった
2 時代が変わっても変わらない普遍的な構造がある
3 普遍構造に基づいて指導事項を選択する
4 「全体像」を把握するために多くを経験する
5 自分の「全体像」をもつ者だけが他人の「全体像」を知る
6 常に〈WHY〉と問い続け背景を探る
7 〈満足解〉ではなく〈最適解〉を選ぶ
8 〈制度を超えるもの〉を想定する
9 自分を許してあげられる
10 「失敗してもいい」というメッセージを送る
つながる──こんな時代の信頼関係とは
1 一緒に成果を上げたという思いが人を結びつける
2 飲み会とは同調圧力による私的時間の搾取である
3 「つながる」ことの意味が変容していく
4 「つながる」ことのハードルが高くなった
5 「全人的な信頼関係」を結ぶことは幻想である
6 「公的な信頼関係」を築く
7 下の世代に教育係の具体を担ってもらう
8 「つながり」は時空を超える
9 さりげない日常のやりとりが「つながり」をつくる
10 日常にパターンをつくることは実は稀有なことである
きたえる──私的な場で若者と出会ったら
1 責任を伴わない私的な場では本気で育てる
2 人間関係の基本は「GIVE & TAKE」である
3 個性に応じてコンテンツを開発させる
4 提案性の高いコンテンツを開発すれば結果はついてくる
5 「批判」こそが礼儀である
6 自分の「提案」のみに集中する
7 研究理念を一つに絞ってはいけない
8 十年の時を経ずして見えてきたものはすべて幻想である
9 先の見える方でなく先の見えない方を選ぶ
10 実践研究なんて結局は「道楽」である
いただく──かつて受けた恩を
1 つかめるはずのものを見失わないようにする
2 かけ離れた二つの事象をかけ合わせてみる
3 思いつきを自分なりに咀嚼できるまで追究する
4 教師はいつも上機嫌であるべきである
5 いかなる壮大な理念も「機能」させないと意味がない
6 教育実践史を渉猟する
7 必要なのは抽象化ではなく、具体化である
8 「明後日の思想」で考える
9 殊更若い時代のことを語る必要などない
10 「父性」的指導よりも「母性」的支援が受け入れられる
あとがき

まえがき

 こんにちは。堀裕嗣(ほり・ひろつぐ)です。

 前著『教師の仕事術一〇の原理・一〇〇の原則』(明治図書・二〇一八年七月)から四年半が過ぎました。年を取ると月日が流れるのが早いもので、「仕事術」を上梓したのはついこの間という感じがしていました。本書の依頼は前著刊行直後にいただいていたのですが、まさか五年近くもほったらかしにしていたとは、我ながら呆れているところです。

 本書の「先輩力」という概念は、若手をどう指導しどうアドバイスするかということなのですが、実は以前に似たような本を書いています。『若手育成 一〇の鉄則 一〇〇の言葉がけ』(小学館・二〇一六年二月)です。こちらは言葉がけの本でしたので、先輩教師としての指導やアドバイスの「台詞」の本でした。従って、本書は「言葉がけ」の裏にあった思想を、「仕事術」の体裁に再構成するという趣の本になっています。


 「ハラスメント」という概念が世の中に流布してから三十年が経ちます。本格的に現場に浸透してからでも二十年は経っているでしょう。

 しかし、「ハラスメント」という概念は当初、「セクシャル・ハラスメント」を中心に論じられていました。多くの男性の「セクハラ」が報道されもしました。加害者が常に、「そんなつもりはなかった」と同じ言い訳をしていたのが印象的でもありました。しかし、それに対しては、言った側の意図がどうあろうと、言われた側が「ハラスメント」と受け止めればそれは「ハラスメント」である、という論理が展開されました。それはちょうど、いじめられる側が「いじめ」だと思えば、いじめる側の意図がどうであろうとそれは「いじめ」である、という論理と同様の構図です。

 学校現場を考えると、この論理は、「セクシャル・ハラスメント」においては、割と容易に受け止めることができます。被害者の人権を考えればこの論理は当然のこととして受け止めることができますし、何より「セクハラ」という行為・発言は仕事上の必要性とは無関係だったからです。セクハラ行為もセクハラ発言もせずに仕事を進めることは、誰にとっても難しいことではありません。それをやめられないのは、いわゆる「ビョーキ」の人たちだけでしょう。

 しかし、「パワー・ハラスメント」という概念が登場して、状況は一変しました。若手に対する命令・説教・指導・説諭を現場からなくすことが、一般には考えられないことだからです。それ以前は管理職研修の一部で取り上げられていたこの概念が、二〇一〇年代の前半から半ばにかけて強力に浸透する中で、職員室が目に見えてその様相を変えてきました。先輩教師が若手教師に指導することを躊ちゅう躇ちょするようになったのです。若者のためを思ったら言った方がいいのだが、最近の若者はよくわからないし、パワハラだなんて言われたらとんでもないことになるからやめておこう、そうした選択肢を取る先輩教師が増えたのです。そして、若者を直接的に指導するのは学年主任と管理職だけという、「縦組織」の構造が如実に顕在化してくることとなりました。

 「パワハラ」と認定されずに若者を指導・援助するということは、その若者の難点をよく分析し、何が必要かを検討し、どのように言えばその若者に伝わるかまでよく吟味しなくてはなりません。そんな面倒くさいことをやらされるには、仕事としてその若者を育てることを課せられている人、即ち直接の上司である「主任」か「管理職」か、そのどちらかの立場にある必要が出てきたのです。俺はあの若者を育てる責任を課せられていない、良かれと思って指導してもそれがあだになる可能性があるなら自分は手を出す必要はない、意識的・無意識的にそう考える先輩教師が猛烈に増えたのが二〇一〇年代であったと僕は感じています。時代は「働き方改革」真っ盛り、それでいて「学校の危機管理」の観念も具体的に導入された時期でもありました。それらの機運が「面倒なことにはかかわらない」という方向に拍車をかけた側面もあります。

 行政が「教師のバトン」を鳴り物入りで導入したのは、二〇二一年春のことです。本来は教師による教職に対するポジティヴな発言を集めることを期待して立ち上げた「教師のバトン」が、結果的にネガティヴ発言の集積に陥ったことが話題になったのは記憶に新しいところです。

 二〇二二年になってTwitter上では、初任者の「何も教えてもらえずに担任をもたされた」「仕事があふれんばかり押し寄せてくるのにどう処理していいかわからない」という投稿が目白押しです。彼ら彼女らは夏休みに解放感から休みまくり、遊びまくり、夏休み後半には泣きの入った「二学期どうしよう」投稿であふれました。初任者は夏休み中にある程度二学期の準備をしなければ間に合わない、そんな先輩教師なら誰でも言えるような言葉がけをほとんどの先輩教師がしなかったのだということです。たまにそれを言った先輩教師を「うざい」と投稿している初任者を見ることもありましたから、この現状では仕方ないのかもしれません。

 とにかく、現在、若手教師の力量形成をめぐる環境は、完全に「負のループ」に入っています。先輩教師は「自分は直接の上司じゃないし、リスクをとってまで指導する義務はない」とだんまりを決め込み、若手教師は「苦しい。優しく教えてほしい。このままじゃだめになる」と叫ぶ。そして双方の思いが双方に届かない。現状は何も変わらない。結果的に若手教師自身とそれを指導する責任を課せられた主任・管理職だけが苦しむ。若手教師の中からは教職のやりがいも楽しさも知らないままに退職する者も出始める。そうした若者たちの声がSNSを闊歩するものだから、とうとう教員採用倍率まで目に見えて下がってきた。当然、臨時採用や講師を希望する採用試験待機者も減るので、退職者や休職者の枠を埋めることもできない。学校運営がまわらなくなる。もう、手の施しようがない状況が続いています。


 そんな状況でも、自分が学年主任を担い、その学年に若者が配属されてくるということはあります。そんなときには、さすがに指導しないというわけにはいきません。その若者が育たない限り、自分の学年がまわらなくなるわけですから。とすれば、たとえ心ならずではあったとしても、自分が若手を育てることを課せられたときにどうすればいいかという心構えだけは、最低限もっていなくてはならないということです。

 「褒めて育てる」とよく言われますが、褒めてばかりいたのでは間に合わない若者が確かにいます。かと言って、かつてのようにガンガン鍛えるという方向性では、「パワハラ」と言われかねません。飲みに連れて行って情を交わし合うという機会ももうなくなったと言って過言ではありません。先輩教師としては八方塞がり感があるのも事実です。しかしそれでも、かかわらなきゃならないときは、かかわらなきゃならないのです。

 僕は二〇〇〇年代の半ばから二〇一〇年代にかけて、学年主任として若者たちを育てなければならない立場にありました。計十三人の新採用教師とかかわりました。なぜか僕の学年には新採用教師がたくさん配属されるのです。たぶん僕が校内人事でメンバーの希望を言わないタイプの学年主任だったからだと思います。力量のある者を集めて安定的な学年運営をという感覚が僕にはなかったのです。それより力量のない若者なら育てりゃいい。僕はそう考えていました。学年に成長途中の溌はつ溂らつとした若者がいることは、子どもたちに良い影響をもたらすとさえ感じていました。そうした中で、たくさんの若者たちと出会ってきたわけです。

 いまとは少々時代も違いますから、いまでは通用しない手法があることも自覚しています。そんな中から、本書では、いまでも通用するだろうと思われることだけを抽出して構成しました。本書が若手育成に悩む先輩教師の一助となれば、それは望外の幸甚です。

 なお、第二章では、各節の最後の二項目に象徴的な「言葉がけ」の例になるだろうというものを意図的に載せました。拙著『若手育成 一〇の鉄則 一〇〇の言葉がけ』と重複する部分がありますが、御了承いただければと思います。

著者紹介

堀 裕嗣(ほり ひろつぐ)著書を検索»

1966年北海道湧別町生まれ。北海道教育大学札幌校・岩見沢校修士課程国語教育専修修了。1991年札幌市中学校教員として採用。1992年「研究集団ことのは」設立。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 職員室の多くが後輩となり,先輩としてどんなことができるのか考えさせられました。
      2024/1/2150代・小学校教員
    • なかなか人に聞くことができないことが、本に書かれていたので良かったです。
      2023/5/1340代・中学校教員
    • 後輩教員とどのように関係を築いていくかについて書かれた一冊。後輩教員と関係を築くときの心構えや気をつけたいことを考えることができた。
      また、ある程度の傾向に沿った接し方も知ることができるので、自身がいる職員室を思い浮かべながら読み進めることができるだろう。
      2023/4/30U-Tchallenge
    • 題名に「先輩力」とあるが、「年上」ということに限らず、多様な世代、人材をこれからの教職に参画させ、持てる能力を最大限活かすための「少し先を歩む存在」としての視点、観が示されている。本書を通じ、自らをメタ認知したい。
      2023/4/26げんちゃん
    • 先輩としての在り方を知れた
      2023/4/1630代教員
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