- はじめに
- Part1 学級経営の重要性
- 教師(先生)って何?
- 担任が行うべき学級経営って何?
- Part2 マンガでわかる!学級経営アイデア60
- ○教室環境
- 1 黒板はまず“テープ跡”はがしをする
- 2 1000冊以上の学級文庫で本と子どもをつなげる
- 3 一人にひとつ自分だけの本棚を持たせる
- 4 ひと手間くわえて教室内の水槽はきれいに保つ
- 5 ビー玉貯金で,教室を前向きな雰囲気に
- 6 「コーナー」で子どもたちの学ぶ意欲を育てる
- 7 ミニホワイトボードはグループにひとつ用意する
- 8 子どもたちが自由に使える清掃道具を増やす
- 9 教室には緑を配置する
- 10 子どもたちが学びやすいように机を配置する
- 11 時計を増やし時間を意識させる
- 12 「割れ窓理論」で整理整頓を意識付ける
- 13 子どもたちに教室運営を任せる雰囲気をつくる
- 14 掲示物の貼り方を工夫する
- 15 子どもたちの作品掲示を交流の場にする
- ○学級づくり
- 16 サークルタイムでグループからチームを目指す
- 17 学級通信は同僚や保護者への説明責任とする
- 18 学級通信のフォーマットをつくる
- 19 学級通信は手書き・手描きでつくる
- 20 学級通信に時間割を載せ,連絡帳の役割も持たせるようにする
- 21 積極的な掃除への気持ちを尊重する
- 22 当番活動でみんなのためにどんなことができるかを考えさせる
- 23 帰りの会は必要なし,子どもの定時を守る
- 24 自主学習を始めるまでの事前準備をする
- 25 自主学習は,あくまで「自主」とする
- 26 自主学習ノートを学習交流ツールにする
- 27 友達の良いところはどんどん真似をさせる
- 28 一人一冊A6サイズのミニ手帳を用意する
- 29 「子ども先生タイム」で好き・得意をシェアする
- 30 オリジナルキャラクターワッペンをつくる
- 31 ゲーミフィケーションで取り組む姿勢を変える
- 32 学級内通貨を導入し,行動の継続・改善を目指す
- 33 保護者への協力依頼には行動経済学の考え方を取り入れる
- 34 教室内の仕事をゼロベースで見直す
- 35 給食のときはまず「量を減らす時間」をつくる
- 36 配膳のコツを使って10分以内に終える
- 37 互いの「好き」を尊重する
- 38 集会は聴く力をのばす機会にする
- 39 学級納めは「担任の手を離れてから」を意識する
- 40 学級納めで掲示物を子どもたちへプレゼントする
- 41 学級納めは徹底教室掃除で完全リセット状態にする
- ○学習指導
- 42 ライティングワークショップで自己決定の機会を保障する
- 43 リーディングワークショップで読書家を増やす
- 44 ワークショップではどの段階にいるかを可視化する
- 45 発表中は聞いている子どもの顔に注目する
- 46 花丸も進化させ子どものやる気をあげる
- 47 子どもの変化をほめる教師になる
- 48 学習のまとめの形や方法を自分で選択できるようにする
- 49 「傾聴する」を学ばせる
- 50 協同学習コーナーをつくる
- 51 協同学習では,自己評価のものさし「ルーブリック」をつくる
- 52 ハードパワーからソフトパワーへ転換する
- 53 オンラインでゲストティーチャーと教室を結ぶ
- 54 英語の学習はバラエティー型授業構成で行う
- 55 教室に学習の足跡を残す
- ○行事指導
- 56 行事では衣装チェンジで一緒に盛り上がる
- 57 学芸会でプロジェクションマッピングをする
- 58 学級内行事「クラスパーティー」で学級自治力を向上させる
- 59 マルチプルインテリジェンスで,自分の「好き」「得意」をのばす
- 60 学級納めの会では「10年後映画」を作成する
はじめに
○「なぜ」この本を書こうと思い立ったか
2019年1月,それまでニックネームだったTwitterを本名に戻して活動を開始。全国の先生方と交流する中,自身の実践を「サンプル」としてTwitter上に提示することで「新しいアイデアが生まれました!」「是非もっと話を聞いてみたい!」など反響がありました。そこで,140文字では表現しきれない私の実践の詳細を電子書籍でまとめ始めました。そんな中,明治図書の中野さんに声をかけられ,Twitter上で反応のあった内容を中心に本にまとめることになりました。
○「誰に」読んでもらいたい,届けたい本なのか
働き方改革が叫ばれる中,新しい時代の学校教育に突入します。主体的・対話的で深い学びを通して「問題解決に協働できる力」「自分の考えを表現する力」「クリエイティブな思考力」を伸ばそうと大きく舵が切られました。これを機に「今までの学級経営を見直してみよう」という先生も増えることでしょう。
これから教員になる学生さん,また教員になりたての若手の先生方は,かつて自分が学んできた学校での経験をそのままなぞることをしがちです。いわゆる「古い学びの再生産」が起こります。そこから脱却するためには,目の前の子どもたちが生きることになるであろう新しい時代を想像しながら子どもたちと関わることが大切です。
どのような時代に突入しても「逞しく生き抜く力」「自己実現を通し幸せになっていく力」とは何なのか,そしてどうその力を引き出す・促進させる・伸ばすのか。アンテナを常に高く広く張り巡らせつつ,現場で働きながら考え続ける必要があります。この本がそのキッカケになればと考えます。
○「何のために」書くのか
子どもたちの前に立つ際,大人のモデルの一人として「学び続けている姿」でありたいです。
英語活動,プログラミング教育,道徳の教科化など,新しい取り組みが求められる教育現場。「不易と流行」「温故知新」とあるように,先人の教育実践を学びながら,同時に新しい取り組みにもチャレンジする。トライアル・アンド・エラーを通して,より目の前の子どもたちに合った実践を模索してきました。
インプットしたことを自分のフィルターを通してアウトプットする経験,例えば「書く」「話す」を通して自身の学び・経験等を誰かに伝えると,その中のいくつかが自分のものとして残ります。引き出しが増え,そこを引っ張り出すと,中にものが入っているイメージですね。
今まで,様々な方法でアウトプットしてきました。月に一度の教育サークルへの参加,TwitterやFacebookでの投稿,ツイキャスなどのオンライン放送,Kindleで読める電子書籍の出版といった形でアウトプットを続けてきました。
これからの時代に教師を続ける先生方と,「何のため」の教師か,「何のため」の学級経営かを一緒に考えるために本書をまとめました。
○「どのような場面で」この本を活用してもらいたいか
こむずかしいことは書いていません。教室に置いて子どもたちが開いても読める内容です。学級の経営者はあなたです。しかし,あなた一人で学級経営をする時代ではありません。落合陽一氏は著書『日本再興戦略』(幻冬舎,2018年)の中で「これからはリーダー2.0の時代」と書いています。今までの「ワンマン経営」「リーダー中心主義」のリーダー1.0から脱却し,「自分にできないことは得意な仲間に積極的に任せる」「皆でゴールを目指す」リーダー2.0がこれからの時代に生き残っていくと述べています。自身が学級の経営者であるという自覚は持ちつつ,「学級づくりって子どもたちと一緒にやるんだ」「子どもたちに自己選択・自己決定の機会を保障しよう」という学級担任2.0を目指そうというのが私の考え方です。もし共感いただけるのでしたら,どのようにして子どもたちと学級をつくるのか,本書をサンプルとしてアイデアを広げていただけたらと願います。
○「どのように」この本を使ったら良いか
一生懸命読み込む,という形の本ではありませんね。マンガのようにパラパラめくっていただき,「あ,今このページと同じ状況だ。参考になるかも」と使っていただけると嬉しいです。
また,メールアドレスも載せておきます。さらに詳しい内容,エピソードについて知りたいと思ったら,Twitter等でダイレクトメッセージをくださればすぐに返答いたします。
○「何」を書くか・書かないか
学級経営について書かれた本はたくさんありますが,まだまだ他の教科・領域に比べると少ない気がします。私は18年間の教員人生を通して自身のOSを「協同学習の考え方」に定めました。今後もアップデートされ続けるでしょう。教育実践には「正解」はありません。目の前の子どもごとに,よりベターなものを提示し続けるため,常に学び続ける必要があります。今回提示する私の実践は「サンプル」です。私が目の前の子どもたちと共に行ってきた取り組みを紹介しながら,みなさんのアイデアにつながれば嬉しいです。
子ども個人が特定されるような内容については書けません。活動中の子どもたちの写真も載せられません。そのかわり,読者のみなさんにできるだけ伝わるよう,マンガの形で紹介します。
2020年1月 /田中 光夫
PDFがiPhoneのブックアプリで上手く表示されない不具合がありましたので、改善されると嬉しいです。
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