- はじめに
- Chapter1 学びを深める!社会科授業の必須スキル16
- 1 問題意識を高めるスキル
- @ 問題意識を高める資料の提示と働きかけ
- A 情報収集活動後にゆさぶる
- B 思考が深まる学習問題を教師から
- C 問題意識を共有化する
- 2 話し合い活動を充実させるためのスキル
- @ 話し合い活動に見られるいくつかの課題
- A 話し合いを深めるために
- 3 ペア学習・グループ学習を活性化するスキル
- @ ペア学習・グループ学習の意図するところ
- A 目的を明確にする
- B 話し合いを焦点化するスキルを育てる
- C ペア学習・グループ学習だからできる全員参加型の学習
- 4 資料を読み取る技能を伸ばすスキル
- @ 基本項目は題に注目させる
- A 特徴を読み取らせたい場合には視点を与える
- B 気づきに考えや予想を加えさせる
- C 作成者の意図を考えさせる
- 5 資料活用構想・資料作成で子どもの気づきを深めるスキル
- @ 教科書の資料活用の構想のポイント
- A 資料作成および様々な資料活用のポイント
- 6 考えを深める発問をつくるスキル
- @ 場面に応じた発問の種類を意識する
- A 考えを深める発問づくり
- B 発問例を収集し,有効なものを記録する
- 7 黒板の特長を生かした板書スキル
- @ 黒板の特長とは
- A 黒板の特長を生かした板書スキル
- B 板書における留意事項
- 8 ノートに授業スタイルを組み込むスキル
- @ 授業スタイルに応じてノートスキルを育てる
- A 授業スタイルの組み込み例
- B スキルを活用することの意味づけを行う
- 9 「振り返り」を充実させるためのスキル
- @ 振り返りがマンネリ化していないか
- A 1時間を振り返る観点
- B 単元を振り返る観点
- C 不足や課題も振り返らせる
- 10 子どもたちが教科書を活用する方法を教えるスキル
- @ 教科書の2つの役割
- A 教科書を活用する具体的な方法
- B 教師の教科書活用の質が子どもたちに反映する
- 11 クイズ・ゲームを効果的に取り入れるスキル
- @ 組み入れたいが続かないという問題
- A 繰り返しできるクイズ・ゲーム例
- B 子どもたち自身がクイズ化・ゲーム化に取り組む活動例
- 12 子どもたちが学習用語を身につけるスキル
- @ 学習用語の扱い
- A 学習用語を身につける取り組み
- B 覚え方を教える
- 13 見学活動を充実させるスキル
- @ 見学活動の意義
- A 事前の指導を充実させるスキル
- B 事中・事後の指導を充実させるスキル
- C 教師の調整力の必要性
- 14 ゲストティーチャーから学びを深めるスキル
- @ ゲストティーチャーをコーディネートし役割を明確にする
- A 学びを深めるためのポイント
- 15 地図帳の使用率を高めるスキル
- @ 地図帳をすぐに使用できる準備が基本
- A 地図帳使用率向上のためのスキル
- B 地図帳にさらに親しむ
- 16 一味違う授業にするための教材研究のスキル
- @ 教師が「学習する」教材研究
- A 学習指導要領で「できること」を確認する
- B 子どもたちの実態に合わせた資料を準備する
- C 学習資料集では「違う情報」に着目する
- D 教科書プラス・アルファは子どもたちにとってもプラス
- Chapter2 このスキルで授業が変わる!社会科授業デザイン はじめの一歩
- ―教材追究と多様な学びの生かし方―
- 1 写真資料をもとに授業開きをするスキル
- @ 写真資料をもとに授業開きをするスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!写真資料をもとに授業開きをするスキル
- 2 多様な学び方を生かすスキル
- @ 多様な学び方を生かすスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!多様な学び方を生かすスキル
- 3 教師の教材追究力を生かすスキル
- @ 教師の教材追究力を生かすスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!教師の教材追究力を生かすスキル
- 4 ユニバーサルデザインの考えを生かしたスキル
- @ ユニバーサルデザインの考えを生かしたスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!ユニバーサルデザインの考えを生かしたスキル
- 5 学習意欲を高め,気づきを深める資料提示のスキル
- @ 学習意欲を高め,気づきを深める資料提示のスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!学習意欲を高め,気づきを深める資料提示のスキル
- 6 子どもたちの地図資料作成力を伸ばすスキル
- @ 子どもたちの地図資料作成力を伸ばすスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!子どもたちの地図資料作成力を伸ばすスキル
- 7 子どもの問いを深める授業づくりスキル
- @ 子どもの問いを深める授業づくりスキル はじめの一歩
- A こんな場面で使える!子どもの問いを深める授業づくりスキル
はじめに
私が初任で赴任した小学校で最初に行った研究授業は社会科でした。同じ地区に採用された初任の教員が参観する授業でした。事前に校内で他の先生に指導を受けたり,時には自分が先輩教員の社会科授業を参観したりしました。
その準備の過程で痛感したのは「自分には授業技術(スキル)が不足している」ということです。発問,板書,ノート指導といった基本的なことはもちろん,資料の読み取りや地図帳の使い方といった社会科ならではの指導法も未熟だということを,研究授業を通じた先輩方からの指導から感じざるを得ませんでした。
ただし,初任者にとって一気に様々な授業技術(スキル)を身につけることは無理です。まずは授業で毎時間準備をしていた「発問」から取り組むことにしました。初任当時の1980年代は教育雑誌や書籍等で発問研究がテーマになることが多く,様々な発問を試みました。その結果,資料に応じた発問や思考を深める発問のスキルが少しずつ身についてきました。
やがて,「板書」,「ノート指導」,「資料活用」というようにスキルの対象も広がりました。初任から40年近く過ぎた現在も,社会科の授業に関する様々なスキルは研究中です。
このような経緯から自分が学び続けたり,実践したりしたものを「子どもたちの学びを深めるスキル」という視点からまとめたものが本書です。
第1章では,社会科授業での学びを深めるために不可欠なスキルを16項目リストアップし,それぞれ4ページにまとめています。先に述べた発問や板書,ノート指導といったスキルはもちろん,「問題意識を高めるスキル」,「『振り返り』を充実させるためのスキル」,「子どもたちが教科書を活用する方法を教えるスキル」というように,社会科授業の質が高まる16項目のスキルについて記しました。
第2章では社会科の授業デザインの視点から,「教師の教材追究力を生かすスキル」,「ユニバーサルデザインの考えを生かしたスキル」といった7項目のスキルを示しました。具体的な授業例をもとに各項目8ページにまとめましたので,授業の様子とその背後にある授業観を読み取ってくだされば幸いです。
なお,どちらの章でも最も自分が必要としている部分から読むことをお勧めします。「今自分が知りたいのは話し合いの力を伸ばすスキルだ」ということであれば,その項目から読んでいただきたいと思います。それが子どもたちに必要な力をすぐに伸ばすことになると考えるからです。本書から得られた情報が,皆様のこれからの社会科授業の参考になればと願っています。
本書を出版するにあたっては編集担当の及川誠さんに大変お世話になりました。執筆過程で困難にも直面しましたが,無事出版にこぎつけることができました。心から厚くお礼申し上げます。ありがとうございました。
2024年1月 /佐藤 正寿
これは最高です