- まえがき
- Chapter1 話す力・聞く力を身に付ける活動・5つのポイント
- 1 パブリックな「話し手」及び「聞き手」になれるような活動を構想する
- 2 年間指導計画に位置付け,多様な単元の中で指導する
- 3 相手や目的に応じた多様な活動のパブリックな「場」で練習する
- 4 話すこと・聞くことの構成や記述力を高めるようにする
- 5 ルールに基づく活動プロセスに基づいて構想する
- Chapter2 音声力と音読力を育てるエクササイズ18
- 1 しりとりを作って声に出そう
- 2 きりなし歌を音読しよう
- 3 早口言葉ゲーム
- 4 アクロスティックを作って発音しよう
- 5 単語の1文字を変えながらリレーしよう
- 6 これが言えたらあなたもアナウンサー
- 7 同音異義語・同訓異義語ゲーム
- 8 繰り返しのある言葉(畳語)を集めて発音しよう
- 9 やまびこさんと話そう
- 10 登場人物で交替して役割読みをしよう
- 11 物語の読みたいところだけで勝負
- 12 同じ台詞を演じ分けてみよう
- 13 内容を伝えることに重点化するアナウンサー
- 14 登場人物に感情移入して俳優・声優読み
- 15 おたがいに声をかけ合う詩を読もう
- 16 紙芝居を演じよう
- 17 物語を覚えて音読するストーリーテリング
- 18 内容に応じて声や表情を変えて話そう
- Chapter3 話す力を育てるエクササイズ18
- 1 お話サイコロの目に合わせて話をしよう
- 2 2文を1文に,1文を2文に書き換えよう
- 3 話し言葉らしい原稿にしよう
- 4 1分間300字にチャレンジ
- 5 お話飛び石ゲーム
- 6 絵や写真を見て話そう
- 7 話す内容の視点を転換して話そう
- 8 聞き手を変えて話してみよう
- 9 目の前の動きを実況中継しよう
- 10 考えの原因・理由・根拠を追加しよう
- 11 人や物を紹介しよう
- 12 地図を見ながら道案内
- 13 自分の感想を言おう
- 14 作り方や食べ方,使い方等の説明ゲーム
- 15 問題提起文を作って発表しよう
- 16 自分の考えをはっきりさせて発表しよう
- 17 かっこよく調査リポートをしよう
- 18 時間を短くしたり長くしたりしよう
- Chapter4 聞く力を育てるエクササイズ17
- 1 声や音を当てよう
- 2 話し手はどこから
- 3 聞いた内容を短くして他の人に伝えよう
- 4 話したことをそのまま復唱しよう
- 5 聖徳太子にチャレンジ
- 6 出てきた数値を覚えているかな
- 7 テーマに沿った主張文を聞き取って,短くまとめよう
- 8 足りないものを見つけよう
- 9 何でも答えよう
- 10 ニュースのヘッドラインを聞き取ろう
- 11 発表者と記者に分かれて記者会見
- 12 インタビューアーは,インタビューイー!
- 13 正解が分からない! YesーNoゲーム
- 14 理由は5回インタビュー
- 15 引用を探そう
- 16 引用のためのコメントを付けよう
- 17 役に立つかな?
- Chapter5 話し合う力を育てるエクササイズ17
- 1 司会者になろう
- 2 分かりにくい発言を分かりやすくしよう
- 3 話し合いの順番を考えよう
- 4 話し合いが行き詰まった! どうしよう
- 5 話し合いで対立したらどうする?
- 6 時間内にまとめよう
- 7 幸せになろう
- 8 考えをはっきりさせよう
- 9 アイデアを大事にしながら複数でまとめよう
- 10 付箋を使ってブレーンストーミングしよう
- 11 みんなで納得! 桃太郎を助けよう
- 12 何でもランキング
- 13 座標軸を動かそう
- 14 プラス面とマイナス面,どちらが多い?
- 15 プランBできりぬけよう
- 16 パネルディスカッションで話し合おう
- 17 賛成と反対は,はっきり言おう
Preface/まえがき
「話す力・聞く力」の育成には,次のような特徴と指導上の課題があります。
○「話す力・聞く力」は,生まれた瞬間から大人まで,その年齢に応じた能力を求められます。言わば,止むことのないラーニング・スキルを要求されており,自ら向上させていくことが不可欠だという特徴をもっています。
○今後求められる「21世紀型学力」や学習指導要領においては,課題解決力とともに,一人で遂行する能力のみならず,複数の協力のもとに成就させるTeamwork力を基盤とする対話的な思考や活動能力を求めています。未来は異質で考えの違う人も含めた他者との対話をする能力を求めているのです。
○未来の学力観を入試改革にも反映させようとしています。〈複数の資料を対象とし,読解や思考を重ね最終的に記述する能力〉を具現しようとしています。言語能力は,話し言葉と書き言葉について理解と表現が相互に関連し合って高まっていくものです。「話す・聞く能力」が高まらなければ書き言葉の記述力も高まりません。英語でlisteningとspeakingの能力が重視されていることはそのような考え方に合致しています。そこで,学校教育でのカリキュラム化が必要なのですが,単元全体での話すこと・聞くことの指導だけでは,実践力が身に付かないという現状があります。
このような特徴と指導上の課題を踏まえ,短時間でできる「話すこと・聞くこと」のミニ言語活動アイデアをエクササイズとしてまとめた一冊を刊行することにします。「練習」を目標とするには,次のような表現が可能です。
○exercise:心身・頭脳などを鍛えるための練習
○rehearsal:練習
○training:能力を向上させる練習
○practice:上達のための練習
○workout:運動の試合に備えた練習
通常,本書のような活動には,トレーニングという言葉が浮かびます。辞書によれば,「エクササイズ」は,簡単かつ短時間で行う練習です。反復してもよいし,精神的な側面も含む自主的なもの。「トレーニング」は,指導者のもと,目的に応じて順序よく活動しながらアップスキルする継続的なものとして使い分けられているようです。本書は,次のようなねらいをもって編集しますので「エクササイズ」という書名を採用しました。
@10〜15分程度のモジュール,帯単元,1時間の小単元,季節に応じた活動等で取り組む活動を2ページで提案する。
A学年や系統性は,オープンに考えて取り組めるように配慮する。題材による難易によって学年に応じた活動を具体化する。
B話す力・聞く力を育成する,確かで楽しい活動アイデア=エクササイズ70を提案する。学年に合わせてアレンジメントできるように適宜アイデアを追加する。「70+70」とした理由です。
C学習指導要領の指導事項及び言語活動例も十分考慮し,本単元で行う言語活動と連携させたり,発展させたりすることができる。
Dゲームのように楽しい気持ちで反復して取り組むことによって,確実に能力を定着させていく。
本書は,次のような著作をもとに筆者がアイデアを構想しました。
『話す力・聞く力の基礎・基本』『話す力・聞く力の基礎・基本を育てる―小学校―』『話すこと・聞くことの基本の能力の育成―中学校―』『小学校国語 「汎用的能力」を高める! アクティブ・ラーニングサポートワーク』『アクティブ・ラーニングをサポートする! 小学校教室掲示ポスター&言語能力アップシート事典』『アクティブ・ラーニングをサポートする! 学校図書館活用プロジェクト 掲示ポスター&ポイントシート事典』。
アイデアをもとに「全国国語教育カンファランス会員」による実践検証も行いました。実践報告には,児童たちが喜び,何度もやりたいと要望していることが報告されています。会員には,刊行に大きな協力と支援をいただきました。深く感謝します。先生方には,本書を活用し,楽しく力の付く活動を展開してくださることを強く願っています。
2019年3月 /井上 一郎
国語の力をつけるため、帯時間などで活用しています。
この本には、どのように対話力を伸ばす方法が具体的に書いてあります。