- 序章 質の高い「問いかけ」には力がある
- 第1章 子どもたちの手で学級を築いていくための問いかけ
- 学級開き[学級開きで一年の抱負を分かち合うとき] 「いいクラス」ってどんなクラスだと思う?
- 教室づくり[新しい教室のリフォームを考えていくとき] みんなが使いやすいように置いてもらえるかな?
- 学校で学ぶ意義[学校で学ぶことの意義を話し合うとき] 私たちは、どうして学校で学習をするのだろう?
- ポジティブ志向[ポジティブな考え方や過ごし方を増やしていきたいとき] どんなモンスターがそばに遊びにきていると思う?
- 年間の活動計画づくり[クラスでの年間の活動を計画していこうとするとき] これまでのクラスでは、学活でどんなことをしていた?
- クラスの文化・ルール[クラスの中で新しい文化やルールに取り組もうとしているとき] 新しいやり方を決める前に、お試し期間をつくるのはどう?
- オーナーシップ[子どもたちのオーナーシップを育みたいとき] クラスで、先生でなくても自分たちでできるよってことはある?
- ICT[ICTとのよりよいつき合い方を身につけさせたいとき] みんなにとってはもう当たり前の道具? それともまだ特別な道具?
- 自由[教室の中での自由について考える場面が訪れたとき] 自由って、どういうことを言うんだろうね?
- 自己選択・自己決定[自分で選択や判断をしない子どもに自己決定を促すとき] あなたはどうしたいんだっけ?
- 髪型・服装[新しい髪型や服装で登校してきた子どもに気がついたとき] あれれ、もしかして…?
- 子どもの異変[顔色や様子がいつもと違う子どもを見かけたとき] あれっ、どうした? 気のせいかな?
- 心と体の健康[体調不良を訴えてきた子どもの容態を案じるとき] いつもの元気なときが10、一番よくないときが0として、今どれくらい?
- 欠席明け[朝、前日に欠席した子どもと出会ったとき] また後で声をかけてもいい?
- トイレ・水飲み[授業中、トイレや水飲みに行きたいと申し出があったとき] トイレや水飲みは…?
- 行事への取組[行事に取り組む意図をもたせたいとき] みんなはどんな行事にしていきたい?
- 一年の節目[一年の途中に成長の節目を設けていきたいとき] 節をたくさんもっている植物って知ってる?
- 学級納め[一年の最後に自分たちの成長を振り返り、次への展望を抱かせたいとき] 今の自分にどんな言葉のプレゼントをしてあげようか?
- 第2章 自律的な学習者を育むための問いかけ
- 授業開き[授業開きで学習に取り組む目的を子どもたちと確かめ合うとき] どんなメガネで見ることができるかな?
- めあて[自分で決めためあてに向かって取り組むことの大切さを確認するとき] 自分のコントローラーを手放さずに取り組めたかな?
- 目標設定[自分に合った目標設定の仕方を取り入れるとき] スマートなめあてができた?
- つまずき[課題に行き詰まり、まわりに助けを求められない子どもがいるとき] まわりの友だちのことも気にかけているかい?
- 授業への集中[別のことに気が散り、自分の課題が疎かになっていることに気づかせるとき] お互いのためになっているかな?
- 振り返り[本時を終えて取組を振り返り、次につなげようとするとき] 今日は3分間で何行書いちゃうのかな?
- 取組のペース配分[終わりの時間を意識して課題に取り組むことの大切さを伝えるとき] いつゴールが来るのかわからないマラソン大会があったら、みんなはどうする?
- 丸つけ[テストやドリルの丸つけに挑戦させていきたいとき] 自分のがんばりの結果をすぐに知りたいでしょう?
- 家庭学習[家庭での学習の必要性を子どもたちに訴えたいとき] みんなはおうちで学習に取り組むとき、どこで取り組んでる?
- 忘れ物[忘れ物が続いてしまう子どもと次に向けての工夫を考えるとき] 明日の自分のためにしてあげられることはどんなことかな?
- テスト[単元のテストを終え、これまでの学習への取組を振り返るとき] これまでの学習のどんな取り組み方が点数に表れているのだろう?
- 第3章 子どもたちの力で学校生活をよりよくしていくための問いかけ
- 感情のコントロール[泣いたり怒ったり興奮している子どもに声をかけるとき] 自分を落ち着けるには何をしたらいいか知ってる?
- けんか[子ども同士のけんかの仲裁に関わるとき] じゃあまず一番大事なことの確認からするね?
- 暴言・暴力[友だちから暴言や暴力を受けたことに助けを求められたとき] 先生が助けられるのはどんなこと?
- 休み時間[いつもと違う休み時間の過ごし方をしている子どもを見かけたとき] 一緒にやらない?
- 当番活動[当番活動で役割に意義を見いだせていない子どもと言葉を交わすとき] 手と足は動いているかい?
- 係活動[係活動で役割に意義を見いだせていない子どもと言葉を交わすとき] あなたが本当にやってみたいことってどんなこと?
- 落とし物[落とし物を届けに来た子どもに感謝の気持ちを伝えるとき ところで、まわりの友だちにはもう聞いてみた?
- 言葉づかい[よりよい言葉の選び方を心がけてほしい子どもに注意をするとき] あなたのその言葉を一番そばで聞いているのってだれだと思う?
- 友だち関係[友だちとの人間関係に悩んでいる子どもを案じるとき] あなたは、自分が相手に合わせることを大切にしたいの?
- 不安・悩み[不安に押しつぶされそうになっている子どもにアドバイスを送るとき] まずは今を楽しむことから始めてみない?
- 約束・ルール[みんなで決めた過ごし方の約束を守れない子どもに注意を促すとき] どうしたの?
- 下校[下校時刻を過ぎても教室から帰ろうとしない子どもに下校を促すとき] お泊まりするためのお布団や枕は持ってきてるのかな?
- 放課後[ランドセルを背負って教室から出ていく子どもと言葉を交わすとき] 今日はこの後何があるんだっけ?
はじめに
この本を手に取ってくださり、ありがとうございます。
はじめに、大切なことを確かめさせてください。
この本は、読めば自ずとクラスの子どもたちへの声かけや問いかけがすばらしいものになる秘伝の書の類いではないということです。
この本では、私のこれまでの子どもたちとの生活の中で、実際にあった対話の場面を切り抜いて、私なりの反省や考察を加えてまとめました。
私はかつて、子どもたちとのやりとりを事前に練習したり、やり直しをしたりすることができたらどれだけ救われるだろう、と考えたことがあります。そんな過去の自分や、同じような思いをもつ仲間へのエールとアドバイスを送る気持ちを込めています。
そこで、おそらくどの教室でも、1年間や1日の生活の中で起こり得るであろう42の場面をあげてみました。どのやりとりにもその前段があります。また、私の人となりや子どもたちとの関係性もそこには作用しています。
ここで示されていることが正解なのではない。
正解なんてものがあるかどうかもわからない。
それでもこれらの事例を自分なりに読み解き、咀嚼し、吟味していったその先には、得られるものがあるかもしれない。
そう考えてこの先も読み進めていってくださるのならば、この本はその役割を十分に果たしているといってもよいのかもしれません。
「学校は答えだけ教えてくれればいいんですよ」
私がある保護者の方に言われた、今でも忘れられない言葉です。あの瞬間の悔しさと悲しさは今でも覚えています。学校とはそういう場所だと考えられているのか、と。
確かに、学校は学びを得るための場所です。しかし、本物の学びを得るためには、子ども自身がどう考え、どう動くかを決めてやってみる他にありません。
学びとは、口を開けて待つものではない。自らのために、最善の選択と決定をほどこした学びの中にこそ、本当に得られるものがある。私はそう信じると決めました。
教室のこと、子どもたちとのこと、自分自身のこと、うまくいかないことがあったり、なかなか成果が見られない日々が訪れたりすることもあるでしょう。しかし、それを近視眼的なものの見方で、失敗と見定めてしまうのは早計です。
学校や社会も、いつしか大人になる子どもたちも、教育に携わり続ける私たちも、それは長いこれからの人生の営みにおいては、通過する点のうちの1つに過ぎません。
子どもたちとみなさんの幸せを願って、この本を届けます。
2024年1月 /橋本 卓也
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- 明治図書
- 橋本先生のイズムが感じられる一冊でした。問いかけ方の具体的な言葉も載っており、そのまま使ってみようと思える一冊でした!2024/4/8シロ
- とてもわかりやすく読みやすい本でした。学級経営に大事な子どもたちとの会話について考えさせられる本です。指示ではなく問いかけ。子どもの豊かな成長のために教師として大切なことを教えていただきました。2024/2/2030代・小学校教員
- とてもわかりやすかったです2024/2/1520代・学生