特別支援学校&学級で学ぶ!
「特別の教科 道徳」とライフキャリア教育
生きる力をつけて生きる意味と生き方を学ぶ

特別支援学校&学級で学ぶ!「特別の教科 道徳」とライフキャリア教育生きる力をつけて生きる意味と生き方を学ぶ

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世の中をどうやって生きていくかを考える支援のヒント

時間軸に沿って将来のライフサイクルや人生設計を考えていくキャリア教育と、空間軸で今生活している集団や社会とどう関わりどう折り合いを付けていくかを考えていく道徳教育を融合させ、障害があってもどんな生き方がありどうやって生きるかを探るユニークな1冊。


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PDF EPUB
ISBN:
978-4-18-269714-2
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
小・中・高
仕様:
A5判 136頁
状態:
在庫あり
出荷:
2019年11月13日
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もくじ

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はじめに
第1章 道徳教育とキャリア教育
人間性と個性の伸長をめざして
1 生きている意味と生きていく実践
互いに尊重され安心して生きていける社会をつくる
2 人間個人を育てる教育
支援を受けながら自立して生きていく
3 社会人・職業人を育てる教育
可能な限り社会参加して生きていく
第2章 自分自身に関する道徳教育
自己理解・自己管理能力を活用して
1 善悪と行動調整
身を守る力と我慢する力をつける
2 健康と時間,ものの管理
生活リズムと身辺自立の力をつける
3 勇気と努力
チャレンジする力と頑張る力をつける
第3章 人との関わりに関する道徳教育
課題対応能力を活用して
1 親切と感謝
思いやる力と支援を受ける力をつける
2 礼儀と言葉遣い
挨拶とTPPOをわきまえる力をつける
3 信頼と相互理解
はっきり言う力とやりとりする力をつける
第4章 集団や社会との関わりに関する道徳教育
人間関係形成・社会形成能力を活用して
1 ルールとマナー,エチケット
応じる力と折り合う力をつける
2 役割と協力,集団づくり
進んでやる力と助け合う力をつける
3 愛着と多文化共生
受け入れる力となじむ力をつける
第5章 生命や自然,崇高なものとの関わりに関する道徳教育
キャリアプランニング能力を活用して
1 生存と人権
大切にする力と全うする力をつける
2 愛護と感動
愛する力と感じる力をつける
第6章 重度重複の児童生徒への道徳教育
生きている存在それがキャリアそのもの
1 かけがえのない社会的な存在である
毎日を懸命に生きていること自体が道徳的実践
2 人や社会の常識や思い込みを変える使命がある
優しい社会づくりと経済成長になくてはならぬ存在
3 違いを強みにして堂々と生きていけばいい
QOLの向上を図ることがキャリア教育
障害者基本法(抄)
参考文献
おわりに

はじめに

 (  )教育は「生きる」あるいは「生き方」の教育である。


この(  )に当てはまる語句は,次の選択肢のどれでしょう。


 @道徳  A人生  Bキャリア  Cライフキャリア


 実は,この文は,小寺正一・藤永芳純編『四訂 道徳教育を学ぶ人のために』(世界思想社,2016)という本の160ページに出てくる一文を問題にしたものなので,一応正解は@の「道徳」です。しかしどれを正解にしてもいいような気がします。なぜでしょう。それらはみな密接な関係にあるからです。


 そもそも「キャリア教育」は,アメリカで用いられていた本来のニュアンスを誠実に反映するならば,「人生教育」「生き方教育」と訳せます。しかし20世紀の終わりの頃,日本の学校教育には,「進路・進学指導」に代わる言葉として,あえて訳さずに取り入れられました。ニート・フリーター対策として,出口での指導ではなく,小学校段階から就職を意識させる教育が必要だという経済界からの要請が強く働き,「キャリア教育とは,端的にいえば,児童生徒一人一人の勤労観,職業観を育てる教育である」と恣意的に定義づけをされた経緯があります。そうなると,本来のキャリア教育の意味は消え去り,「お仕事教育」「職業選択教育」という側面ばかりが強調された形で,日本語として徐々に根付いていきました。


 それから20年近い歳月が流れて世の中は変わり,労働界は「働かない」対策から「働きすぎ」対策へと課題がシフトしてきました。新学習指導要領では初めて「仕事と生活との調和」いわゆるワーク・ライフ・バランスという言葉が登場しました。過労死,過労自殺を背景に,働き方改革という政策も出現してきました。これはまさに「転勤・残業・休日返上」など,労使ともに当たり前だと思っていた勤勉な日本人の勤労観・職業観を覆し,「無理をしてまでも働かなくてよい」「一人ひとりのライフスタイルに応じて働けばよい」という,これまでの日本では考えられなかった働き方へと政府主導で変革していくものだといえます。このように,日本の労働界は急速に「人間らしさ」や「人権」重視の勤労観へと変化してきていますが,これはかつて,公害問題を経験して環境重視へ,消費は美徳の時代を経験してエコや省エネ重視へ,原発事故を経験して再生可能エネルギーへと,世の中の価値観が大きく転換してきた経緯とよく似ています。


 この数年,私は,仕事一辺倒で語られる「キャリア教育」の前に,あえて「ライフ」を付けて「働くだけが人生じゃない」「職業人である前に社会人であれ」「生きる力さえつけておけば親亡き後に備えられる」などと持論を提唱してきましたが,「ライフ」をわざわざ付けなくても,「キャリア教育」=「人生教育」「生き方教育」という本来の意味へ,これを機に立ち返らねばならないのです。


 一方で「特別の教科 道徳」が施行され,ここでは「よりよく生きる」ための基盤となる道徳性とか,自己の「生き方」についての考えを深める学習を通してといった,まさに「人生教育」「生き方教育」が語られています。また施行当時は「主として自然や崇高なもの」となっていた文言が,「主として生命や自然,崇高なもの」という表題に改正され,人権教育として最も大事な「生命」という視点が冒頭に明確に示されました。


 こう考えてくると,これまで多くの知的障害特別支援学校では,特設されることなく,合わせた指導,含まれる指導として,割と軽めに取り扱われてきた「道徳」が,キャリア教育と一体をなすものとして指導されることで,ぐっと重みを増してきます。つまり,単に将来のライフサイクルや人生設計を考えていくといった時間軸で指導するキャリア教育と,今生活している集団や社会とどう関わり,どう折り合いをつけていくべきかといった空間軸で指導する道徳教育をうまくリンクさせて指導することで,「世の中をどうやって生きていくのか」「どんな生き方があるのか」といった命題を,支援さえすれば彼らなりに整理して考えられるのではと思うのです。


 「生きる力」をつける教育は,将来生きていくためにも必要ですが,同時に今を生きていくのにも欠かせません。そしてそれは障害の有無や種類や程度と関わりなく,みなに必要な教育です。なぜなら誰でもがみな「社会的存在」だからです。その社会の中で,みんなで支え合い,一人ひとりが自分に与えられたり選び取ったりした役割を担いながら,それぞれの立場で,精一杯,意味のある人生を生きていくわけです。この世のすべての人々がそれぞれかけがえのない生命をもつ独立した存在であり,たった一度きりの人生なのです。この世界観こそが,最大の道徳的価値であるとともに,キャリア教育の原点でもあります。


 さらに新学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」いわゆるアクティブ・ラーニングも明記されました。言われたままに言われたとおりにしか動けない従順な指示待ち人間ではなく,自分なりに考えて,やりとりを通じて他者に自分の思いを伝達・表現できるような,主体的で対話的な人間にして社会に送り出さなければ,変化の著しいこれからの世の中を渡っていけません。そのためにも,道徳やキャリア教育が,受け身の学習ではなく,行動やコミュニケーションが伴ったものにならねばなりません。本書では,キャリア教育の視点を取り入れることで,たとえ障害が重くても主体的に取り組める道徳の授業のヒントを紹介していきたいと思います。


   /渡邉 昭宏

著者紹介

渡邉 昭宏(わたなべ あきひろ)著書を検索»

1955年東京生まれ。都立石神井高等学校,中央大学商学部卒業後,神奈川県立平塚盲学校,県立伊勢原養護学校,横浜国立大学附属養護学校,川崎市立田島養護学校,県立武山養護学校,県立みどり養護学校教頭を経て県立金沢養護学校副校長。2013年3月後進に道を譲り退職。

35年間特別支援教育に携わり,うち10年間進路専任に従事。

現在,認定NPO法人 横浜移動サービス協議会評議員。

日本リハビリテーション連携科学学会会員。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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      明治図書
    • 特別支援学級での指導だけでなく、通常学級における配慮が必要な生徒への指導にも大いに役に立ちます。考え方から具体例まで本当に参考になりました。続編を期待します。
      2019/11/250代・中学校管理職
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