- まえがき 〜語り合うクラスを目指して〜
- 序章 現実は甘くなかった
- 〜「話す・聴く指導」に悩んだ若手時代
- 理想と現実のギャップ
- なかなか話を聴かない子どもたち
- 「学習を進めねば」という焦り
- 甘さが残る「話す・聴く」指導
- COLUMN 何のために「語り合える」を目指すのか
- 1章 子どもが語り合う教室には、何が必要か
- コロナ禍で見えた子どもの変化
- うまくいく指導、通じない指導
- 心理的安全性でつくる話しやすい教室
- 「脱正解主義」から始めよう
- 語り合いを生む「熱量」の3条件
- 「ルール」ではなく「習慣」をつくる
- COLUMN あの子が語り始めた日
- 2章 「聴く」からすべてが始まる
- 「聴く」は相手を大切にすること
- 没入体験で「聴く」を育てる
- 聴く必然性を生み出す
- 質問が対話を育てる
- 建設的な質問と議論の作法
- 「聴く力」を伸ばす習慣づくり
- COLUMN とあるセミナーで11時間語り合った経験
- 3章 「問い」があるから語り合える
- AI時代にこそ育てたい「対話力」
- 「対話」と「議論」の違いを知る
- 「一問一答」から抜け出す
- 対話が生まれるクラスの柔らかい雰囲気
- 対話力を育てるミニゲーム
- 対話に慣れるポイント制ゲーム
- 対話力を育てる一斉指導のコツ
- 対話力を育てるプレゼン指導のコツ
- 対話を豊かにするツール活用の工夫
- COLUMN 語りはニュアンスを纏う
- 4章 「対話」が教室を育てていく
- 子どもの中に「問い」はあるのか?
- 教師の発問が子どもの「問う力」を育てる
- 自分事になる問いが語りを引き出す
- 失敗しない問いづくりの原則
- 問いづくりと教材研究の関係性
- 入り口の問いはシンプルで十分
- COLUMN 対話の入り口は「おしゃべり」から
- 5章 授業での対話の風景
- 国語科における対話「ごんぎつね×ディベート」
- 学級会における対話「願いの実現が対話を生む」
- 道徳科における対話「学び方を選び対話を豊かにする」
- あとがき
- 参考文献一覧
まえがき 〜語り合うクラスを目指して〜
みなさんが「教師」として、一番幸せを感じるのは、どんなときでしょうか?
子どもが成長したとき。
行事が成功したとき。
苦手なことに向かって挑戦している姿を見たとき。
──きっと、それぞれに「幸せの瞬間」があるはずです。
私にとっての幸せは、子どもたちが授業の中で真剣に語り合っているときです。
「あぁ、この時間はなんて充実しているんだろう」と、心から幸せを感じます。
反対に、教室が静まり返り、話し合いがまったく盛り上がらないとき。
私は実力不足を痛感し、子どもたちに申し訳ない気持ちでいっぱいになります。
それほどまでに、私にとって「授業」の占めるウェイトは大きく、授業の中で子どもたちが「語り合える」時間こそ何よりも価値のあるものだと感じています。
前作『「先生、お話聞きたい!」が止まらなくなる教師の語り』では、教師の語りに焦点を当てました。
「教師の語り」は、子どもたちに考えてほしいことを伝える大切な手段です。けれど、それだけでは、子どもたちの関係性を深めることはできません。教師の語りはどちらかというと、矢印が「教師→子ども」の一方向になりがちだからです。
子どもたちの関係性を豊かにしていくためには、その先の部分、つまり、「子ども←→子ども」を意識していかなければなりません。
本書では、その「子ども同士の語り合い」に焦点を当てていきます。
私の授業を参観した方からは、こんな質問をいただくことがあります。
「どのように発問をすればよいでしょうか?」
「板書を構造的にするためにはどうしたらよいのでしょうか?」
その気持ちはとてもよくわかります。けれど、こうした問いは「授業そのもの」だけに目が向いているように思います。
本当に目を向けるべきは、「どうしたら、このようなクラスになるのか」という語り合うための「土台づくり」の部分ではないでしょうか。
私自身、授業づくりの技術を学び、発問や板書に力を入れていた時期がありました。
しかし、どれだけ工夫しても子どもたちの反応が薄く意見が出ずに沈黙が続く……そんな苦い経験を何度もしてきました。
そのときに気づいたのです。
授業技術だけでは超えられない壁があるということに。
子どもたちが「語り合ってもいい」と思える安心感、そして「語りたくなる」関係性や空気感。そうした土台がなければ、どんなに練り上げた授業技術も空回りしてしまうのです。
特に道徳科では、「語り合えるクラス」かどうかが、授業の質に大きく関わってきます。
「語り合えるクラス」では、発問や板書に過度にこだわらなくても、対話はおもしろいものになりますし、授業をしていると、毎回のように新しい発見があります。
一方で、「語り合えないクラス」では、どれほど発問や板書に工夫を凝らしても、あまり意見が出ず、学習の深まり度合いとしては浅いものになってしまう……そんな現実に何度も直面してきました。
だからこそ本書は、「語り合うクラス」になるための土台の部分に焦点を当てていきます。
クラスが「語り合うクラス」になると、授業が楽しくなり、子どもたちの人間関係が豊かになります。そして何より、教師自身も日々の授業を心から楽しめるようになります。
本書が、みなさんの「語り合うクラス」づくりの力強い後押しになることを願っています。
/森岡 健太
-
明治図書















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