- はじめに―─子どもたちと乗り越えよう
- 第1章 安心・安全な学級運営の「仕組み」
- 学級のビジョンを立てる
- 学級のビジョンを立てる重要性
- @自分の理想を明確にする
- A子どもたちと共有する
- Bビジョンを具体的な行動に落とし込む
- 教室環境で日常の仕組みをつくる
- 教室を整えることが学習や生活を整える
- ルールと日常の手順を定める仕組みづくり
- ほどよい秩序を生み出そう
- ルールを定める意義
- 子どもたちと信頼関係を築くためのコミュニケーションの仕組み
- 学級運営の中心は信頼関係
- @信頼関係を築くための基本
- Aコミュニケーションの仕組みをつくる意義
- B毎日の「声かけ」を習慣化する
- C個別のコミュニケーションの場をつくる
- D聴く姿勢を大切にする
- 朝の会・帰りの会の仕組み
- 一日の始まりと終わりを仕組み化する
- 朝の会の役割
- 安定した学級をつくる当番活動の仕組みづくり
- 当番活動で責任感と所属意識を育む
- 第2章 効果的な授業づくりの「仕組み」
- 授業デザインの基礎:ゴールから授業を考える
- ゴールがあるから学びやすさが生まれる
- @導入部分を設定する
- Aゴールに向かうための活動をデザインする
- Bチェックと振り返り
- 学習の流れを整える:導入、展開、まとめのポイント
- 三つのパーツをバランスよく設計する
- 導入のポイント
- @興味・関心を高める工夫をする
- Aゴールを明確に示す
- 展開のポイント
- @多様な活動を取り入れる
- A易から難へ
- B活動の途中に刺激を入れる
- まとめの学習のポイント
- @授業内容を振り返る
- A次の学びに続ける
- ゴールに到達するための対話の仕組み
- 教師はファシリテーターとして
- 授業中の教科書活用の仕組み
- 教科書を捉え直してみる
- 教科書を子どもたち自身で読む
- 振り返りを戦略的・効果的に活用する
- 振り返りを充実したものにするために
- 第3章 子どもたちの学習意欲を引き出す「仕組み」
- モチベーションの仕組みを理解する
- モチベーションを高めるために
- 内発の動機づけと外発の動機づけ
- モチベーションを高める三つの要素
- @自律性
- A有能感
- B関係性
- 成功体験を仕組み化する
- 成功体験を積み重ねる効果
- 成功体験の重要性
- 成功体験を仕組み化するためのポイント
- 挑戦心を育てる仕組み:見通しを効果的に活用する
- 挑戦心を育てるために欠かせない「見通し」
- 見通しを持つことの重要性
- 友だち同士で意欲を引き出し合う仕組み
- 子どもたち同士が学習し合うということ
- 友だち同士の関わりが持つ力
- 意欲を引き出し合う仕組みをつくるポイント
- 学習意欲につなげる評価の仕組み
- 子どもたちにとっての評価を見直してみる
- 成長につなげる評価
- 自己評価と他者評価のバランス
- 第4章 時間管理と仕事の「仕組み」
- 一日のスケジュールをこなしきる仕組み
- 時間とタスクをいかに知っているか
- 一日の時間を最大限にするために
- 子どもたちが集中する時間割の仕組み
- 時間割はどのように決めていくとよいのか
- 集中力のサイクルを活かす
- 道徳や学級活動をどのように配置するか
- 年・学期・月・週を見通す仕組みづくり
- 長期的な展望を持つことのよさ
- 一年間を見通すこと
- 優先順位を適切につける仕組み
- 自分の業務を整理してみる
- タスクの分類による優先順位づけ
- 仕事を振り返る仕組みづくり
- 振り返りは成長と充実をもたらす
- 振り返りの重要性
- 振り返りのタイミングを決める
- 第5章 学校のチームの一員として働く「仕組み」
- 他の先生との協力関係を築くための仕組み
- 先生たちとのコミュニケーションから得られるもの
- 傾聴するということ
- 傾聴の先へ
- 校務分掌をスムーズに達成するための仕組み
- 校務分掌をこなすには
- 自分の校務分掌の役割を知る
- 保護者との関係を効果的に築くための仕組み
- 小さな連絡の積み重ねで信頼を得る
- 定期的なコミュニケーションの確立
- 気になったときには…
- 定期的な通信などの活用
- 学校行事や委員会活動、クラブ活動を乗り越えるための仕組み
- 授業外業務を乗り越える
- 役割分担を自覚する
- 委員会活動やクラブ活動をどう乗り越えていくか
- 職員室で快適に過ごすための仕組み
- 職員室で過ごすときのポイント
- あいさつの意味を捉え直す
- 整理整頓はマナーである
- 第6章 教師として自己成長する「仕組み」
- 教師としての軸をつくる仕組み
- 自分の軸を見直してみる
- 自分はなぜ教師という職業を選んだのか
- 研修会で学び続ける仕組み
- 研修会に参加する理由
- メンターや先輩教師の配慮で成長するための仕組み
- 学校の中で学ぶ意義
- どのように教えてもらうのか
- 授業を見てもらいやすい環境をつくる
- 教室に入って気づきを探す
- 子どもたちの姿から学ぶための仕組み
- 教室にはたくさんのヒントがある
- 教室は先生も学ぶ場である
- 五年後、十年後の自分をイメージする仕組み
- 教師のウェルビーイングをいかに高めるか
- おわりに
はじめに──子どもたちと乗り越えよう
本書を手に取ってくださりありがとうございます。
本書は、学級経営に必ず必要なことを「仕組み」という視点で書かせていただきました。はじめて学級担任を持つ方に向けて書いています。
みなさんは「仕組み」と聞くと、どのような印象を持つでしょうか?
小学校の先生の仕事とは、もちろん「子どもたちの成長」が一番の大きな目的ですし、そこには「人と人とのふれあい」が間違いなく大きな要素を占めます。
人と人との仕事をメインとする小学校の先生なのですから、イレギュラーがあって当然です。だからこそ「仕組み」ではなく、そのときそのときの対応を大切にしないといけないんじゃないか……。もっと温度感のある働き方をしなければいけないんじゃないか……。
そんな声が聞こえてきそうです。
しかし、小学校の先生の現場では、子どもたちといつもゆっくりと関わることができるかというと、決してそうではありません。
先生の勤務時間に関係なく、子どもたちが学校にいる時間は、だいたい決まっています。以前勤めていた私の自治体では、「8時10分〜16時」が子どもたちの在校時間であり、当然ですが、この時間以上に子どもたちが学校にいることはできません。
つまり、
「今日は、子どもたちと過ごす時間を延ばしたい」と思ってもできない
のが、学校という場所なのです(昨今は防犯面や子どもたちの過ごし方(習い事など)の多様化もあり、子どもたちの過ごす時間もタイトになりつつあります)。
それでも、私たちは子どもたちとできるだけ豊かな時間を過ごしたいという願いを持っています。だからこそ、
良質な「仕組み化」
が必須となってくるのです。学校という場所自体が、先の子どもの在校時間のみならず、あらゆる面で「仕組み化」されています。
その中でも、一番大きな特徴が
時間がしっかり区切られている
ということです。「朝の会は8時30分〜、1時間は45分、1時間目は8時45分〜、休み時間は……、給食時間は……、掃除時間は……」といった具合に、「何を何時から何時まで行う」ということが、かなり綿密に決められているのが、学校の特徴なのです。
おそらく、ここまで毎日の「何をいつする」が決められている職場は、学校くらいなのではないでしょうか?
そのように決められている時間を過ごす中で、
最大限の効果を発揮し続けなければいけない
というのが学校という場所なのです。そのためには、「このときはこうする」という「仕組み」を持っているかどうかが大きな分かれ道となります。
学級経営は毎日の積み重ねです。だからこそ、日々、パフォーマンスを発揮するための「仕組み」が必要だといえるのです。
さぁ、本書をめくってみましょう。
本書には、教師がメインで過ごす学級での「仕組み」をふんだんに書かせていただきました。学級経営、授業どちらもしっかりとカバーしていますので、ぜひ、本書に書かれた良質な「仕組み」をみなさんの学級にも取り入れてほしいと思っています。
また、教師の仕事は、教室のみならず、学校全体の仕事も引き受けます。いわゆる「校務分掌」という仕事ですが、それについても書かせていただいています。
実は、
学級経営を安定させるためには、校務分掌が大切なカギとなる
のです。その理由は本書内に書いていますので、ぜひご覧ください。
最後の第6章では「教師として成長する仕組み」についても述べました。教育基本法第9条には、
法律に定める学校の教員は、自己の崇高な使命を深く自覚し、絶えず研究と修養に励み、その職責の遂行に努めなければならない。
とあります。これは、子どもたちにさらによりよい教育を届けることを達成するために設定された一つですが、教師であれ他職であれ「常に成長し続ける」ことは、いつまでも求められることでもあります。その「仕組み」についても言及しました。
「仕組み」を整えるから、イレギュラーなことに対応できることにもつながります。ぜひ、本書をめくっていただき、「良質な仕組み」を手に入れてください。
令和7年8月 /丸岡 慎弥
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- 明治図書