- はじめに
- 本書の使い方
- Part1 理論編 「主体的・対話的で深い学び」の視点からの英語授業改善のポイント10
- 1 新学習指導要領英語・改訂のポイントQ&A
- 2 「主体的・対話的で深い学び」の目的と定義
- 3 「主体的な学び」を促す10の工夫
- 4 「対話的な学び」を促す10の工夫
- 5 「深い学び」を促す10の工夫
- 6 「主体的・対話的で深い学び」を促すモデル(ICEモデルとBloomの思考6分類)
- 7 「主体的・対話的で深い学び」を実現するアクティブ・ラーニング型英語授業10箇条(Vol.2)
- 8 授業改善の視点1 単元を通して目標の達成を図る
- 9 授業改善の視点2 「主体的・対話的で深い学び」の評価1 パフォーマンス評価
- 10 授業改善の視点3 「主体的・対話的で深い学び」の評価2 ルーブリック
- Part2 指導編 新しい英語授業で必要な4技能統合型指導のポイント10
- 1 4技能(5領域)統合型の指導と言語活動の高度化
- 2 「4技能」の大学入試での扱い
- 3 「達人」の英語学習法から4技能を伸ばすエッセンスを学ぶ
- 4 4技能の指導法1 「聞く」指導のエッセンス
- 5 4技能の指導法2 「読む」指導のエッセンス
- 6 4技能の指導法3 「話す[やり取り]」指導のエッセンス
- 7 4技能の指導法4 「話す[発表]」指導のエッセンス
- 8 4技能の指導法5 「書く」指導のエッセンス
- 9 4技能統合型の授業デザイン1 教科書を使った「通常授業」で行う
- 10 4技能統合型の授業デザイン2 「帯学習」で継続する
- Part3 活動編 指導から評価まで丸ごとわかる英語4技能統合型の活動アイデア15
- 1 4技能統合型の活動アイデア一覧
- 2 4技能統合型の活動アイデア
- @中学1年〜/話すこと[やり取り],[発表]・書くこと
- 「ワードカウンター」を使って「即興的な発話力」を育成しよう
- A中学1年〜/聞くこと・話すこと[発表]・書くこと
- Compare & Contrast 比べよう―コラージュアプリを使った教材作成のすすめ
- B中学1年〜/聞くこと・話すこと[やり取り],[発表]・書くこと
- クラスの実態を調査・発表し,「発信力」を育成しよう
- C中学1年〜/聞くこと・話すこと[やり取り],[発表]・書くこと
- 「Picture Q&A」を通して,想定される質問事項を考えながら「対話力」を育成しよう
- D中学1年〜/話すこと[発表](+語彙・文法)
- チームで「単語テスト」!―生徒の学習意欲を高める「語彙指導」
- E中学1年〜/聞くこと・話すこと[やり取り],[発表]・書くこと
- 3つの動詞で「即興英作文」
- F中学1年〜/聞くこと・読むこと・話すこと[やり取り],[発表]・書くこと
- 英語日記!―英語日記から授業の導入へ
- G中学1年〜/話すこと[発表]・書くこと
- 教科書を使って「スキット」を作成し,場面に応じた「発話力」を育成しよう
- H中学2年〜/話すこと[やり取り]・書くこと
- 教科書に基づいて毎時間2分でできる「ディスカッション」で「対話力」を育成しよう
- I中学2年〜/読むこと・書くこと
- チャット&チャット―ペアで「紙上チャット」をして,「書く力」を育成しよう
- J中学2年〜/読むこと・話すこと[やり取り]
- 教科書本文から「対話」を深める!
- K中学2年〜/読むこと・話すこと[発表]・書くこと
- あなたの意見・考えは?―「読む」「書く」意欲を引き出す「発問」とは
- L高校1年〜/聞くこと・話すこと[発表]
- Retelling+1
- M高校1年〜/聞くこと・読むこと・話すこと[発表]・書くこと
- チェインライティング―SNS世代の新感覚英作文
- N高校1年〜/聞くこと・話すこと[発表]
- TED TALK in “●● high school” プレゼンテーションによる効果的な授業
- おわりに
- 主な参考文献
はじめに
中学校と高等学校の新学習指導要領が,2017年と2018年に相次いで発表され,英語教育の今後の方向性がはっきりとしてきました。そして今,ある言葉に再び注目が集まっています。それが,本書のテーマである「英語4技能」です。
では,なぜ今改めて「英語4技能」なのでしょうか。
2020年度,大学入試改革の一環として,「大学入学共通テスト」が実施されます。この改革の一番の目玉は英語です。外部英語検定試験の活用が始まり,これまでの「リーディング」と「リスニング」の2技能試験に,「ライティング」と「スピーキング」を加えた4技能均等試験が導入されます。
「ウォッシュバック効果」という言葉があります。これは,テストの内容から逆算して教育手法が構築されるというテストの波及効果を意味します。簡単に言うと,テストに出題される内容が,学習方法に大きな影響を与えるということです。
今後の英語教育は,この「ウォッシュバック効果」によって,全年代を通じてその指導法が見直されることになります。例えば,高校です。大学受験が4技能型になれば,今のままの2技能中心の受験対策では通用しません。これにより,2技能に偏りがちだった高校の授業は,4技能のバランスを重視したものへと変質するようになるでしょう。
もちろん,この流れは高校入試にも波及し,その結果,中学校の授業スタイルも4技能重視型になるでしょう。このトレンドは小学校にも及ぶことになります。つまり,大学入試改革の大きな目的は,4技能を測る試験を導入することによって,現場に4技能のバランスの取れた教育を促し,従来より学習指導要領が求めてきた「指導と評価の一体化」を,全年代を通じて促進・充実させようとするものなのです。
本書は,こうした流れを受けて4技能,かつ現在求められる2つ以上の技能を鍛える「統合型」についてまとめたものです。理論編・指導編は,畏友・上山晋平先生が担当しました。それを受けての活動編では,授業に対して日々惜しみない情熱を注いでいる全国各地の先生方の至極の実践例が紹介されています。
4技能試験に向けての最高の対策は,本質的な英語力を高めることではないでしょうか。本書が多くの先生方の参考となり,4技能統合型授業の充実,ひいてはグローバルな視野と資質・能力を備えた生徒の育成に少しでも寄与するものとなれば幸甚です。
2018年7月 /佐々木 紀人
少しずつマネできるところから活用しています。