心理的安全性を育むサークル対話
やってみよう!子ども主体のクラスづくり

心理的安全性を育むサークル対話やってみよう!子ども主体のクラスづくり

新刊

総合16位

クラス全員・一人一人が輝く!主体的に学ぶ場づくり

イエナプラン教育の理念を参考に、子ども中心の学びをつくってきた著者によるサークル対話の実践書。サークル対話を軸にして、子どもたち自身が学びも生活もつくりだしていく、真に主体的なマインドを育てるあたたかなクラスづくりの具体が詰まっています!


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PDF
ISBN:
978-4-18-262926-6
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
四六判 192頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年10月14日

CONTENTS

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 心理的安全性を育むサークル対話
01 心理的安全性を育むサークル対話
―心理的安全性とイエナプラン教育
02 サークル対話が心理的安全性を育むエピソード
1 サークルに入るのが苦手なゆうきくん
2 家での悩みを抱えるわかさん
3 自由進度学習になかなか取り組めないたかしくんとしゅんくん
03 育てたいクラスの状態・ルール・年間計画
04 サークル対話を行う事前準備
1 試しに自分も同僚とやってみよう
2 サークル対話の内容を示す表をつくろう
3 サークルの座席について考えよう
4 ベンチのつくり方について学ぼう
5 ベンチをつくることのよさについて知ろう
05 サークル対話の種類について
06 サークル対話のスタートプログラムについて
1 初日に行うプログラム
2 2日目のプログラム
3 3日目のプログラム
4 4日目のプログラム
5 5日目のプログラム
第2章 遊びのサークル
01 遊びのサークル
02 手遊びサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
03 Kahoot!サークル・カードゲームサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
04 これは何だサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
05 リラックス遊び 〜気分上々〜
1 リラックス遊びの意義
2 代表的なリラックス遊び
3 クラスで起きたストーリー
06 遊びサークルを子どもたちに任せる
第3章 学校生活をつくるサークル対話
01 学校生活をつくるサークル対話
―私たちは民主主義をどう考えるのか
02 ペアトークサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
03 週末どうだったサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
04 クラスBOXサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
05 プロジェクトサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
第4章 豊かな学びをつくるサークル対話
01 豊かな学びをつくるサークル対話
―豊かな学びをサークル対話でつくるとは
学びの港となるのがサークル対話
02 調査サークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
03 時事サークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
04 哲学サークル
1 サークルの意義・流れ
2 クラスで起きたストーリー
05 AIサークル
1 なぜAIサークルを行うとよいのか
2 サークルの流れ
3 クラスで起きたストーリー
06 分析サークル
1 分析サークルのよさ
2 サークルの流れ
3 クラスで起きたストーリー
第5章 探究の土壌を育むサークル対話
01 探究の土壌を育むサークル対話
―探究の土壌をサークル対話で育むとは
02 読み聞かせサークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
03 感動動画サークル
1 サークルの流れ
2 クラブで起きたストーリー
04 偉人サークル
1 サークルの流れ
2 クラスで起きたストーリー
05 探究サークル
1 サークルの流れ
2 研修先で起きたストーリー
06 評価サークル
評価サークルで見せるものって何??
第6章 サークル対話で育つクラス
01 リビングルームのちゃぶ台を囲んだ一年
大日向小学校の「サークル対話」模様
昨年度の担当クラスの,サークル対話の変化
02 サークル対話でひらく子どもの心
安心できる場がすべての土台
続けるための工夫が大切
子どもたちがつくるサークル
子どもたちにとっての「サークル対話」
03 サークル対話が育む心理的安全性
新渡戸文化小学校における対話
サークル対話のありたい姿
グラウンドルール
やり方
先生の立ち位置
子どもが変わるとき
学級経営の核になる
04 「子どもたちが“やりたい”を実現できる教室」を目指して
サークル対話のよさ
COLUMN
何のためにサークル対話をするのかに立ち戻る
甲斐ア博史さんの本の遊びを全部やってみる!!
サークル対話を続けられなくなるとき
冒険的組織とサークル対話について
対話について一考
サークル対話のこれからについて
おわりに
参考文献

はじめに

 みなさん,こんにちは。長野県の茂来学園大日向小学校で教諭をしている岩本歩です。

 今回この本を手に取ってくださったのは,「サークル対話」に関心をもったからだと思います。本書では,サークル対話を行うことの意味,段階を踏んだサークル対話の進め方,具体的なサークル対話の実践例について紹介しています。

 サークル対話を行うことで,以下のようなことがクラスで起きます。


 ・子ども同士がお互いを尊重し合う

 ・心理的安全性のある雰囲気になる

 ・自治的活動が行えるようになる

 ・一人一人が安心して学びに向かう

 ・批判的思考や振り返る力がつく


 私がなぜこの本を書こうと思ったかというと,サークル対話を大事にしたクラスづくりをすることこそ,すべての実践のスタートとなるからです。

 私にとって最初に出版した著書は『イエナプラン教育を取り入れた自由進度学習』(明治図書)という本です。

 著書の中で,自由進度学習の進め方についてまとめました。その中で数ページ,サークル対話について紹介をしました。すると,著書の読者の中から,「サークル対話についてもっと知りたい」や「自由進度学習を行う上で一番大事なのはサークル対話の目的や実践なのではないか。そこを詳しく教えてほしい」という声をいただきました。

 こういった声が出てくるのも頷けます。クラスづくりがうまくいっていなければ,子ども中心の学びを実現することは難しいものです。サークル対話の考え方・方法を理解することではじめて,人間関係が豊かで自治的なクラスづくりを実現することになるのですから。

 ただ,あらかじめ言いますと,私はサークル対話の実践がとっても苦手でした。(ホントに……)

 イエナプラン教育を行う学校の時間割を見ると,朝の会,活動後,帰りの会にサークル対話が広く行われています。「イエナプラン教育で大事にされている4つの基本活動(対話,仕事,遊び,催し)の中で最も重要で基礎的な活動である」と,イエナプラン教育を日本に普及させた第一任者であるリヒテルズ直子さんは述べています。

 サークル対話を知って,春先に「今年からはサークル対話を毎日やります!!」という宣言を私は子どもたちにしたことがあります。しかし,数ヶ月すると,「先生,サークル対話やらないの?」と子どもたちが私に言います。

 「今日は,学級通信を読むから,なしでいいよ」や「今日は行事があるから,やる時間がないな」と話すようになり,だんだんサークル対話の数が減っていきました。

 サークル対話をやる意欲が私も子どももどんどん下がってしまって,気がついたら『サークル対話って何だっけ?』というような状況に……。

 こうして私のサークル対話への取り組みの終了のホイッスルは無情にも鳴り響き,実践を終えることになりました。


 そんな私にも転機が訪れます。オランダを訪れて,イエナプランスクールを視察したときのことです。どのクラスを訪れてもサークル対話を行っていました。

 あるクラスでは,「日本人が来ると聞いていたので,日本に関する質問サークルをします。ぜひ参加してほしい」と言われました。日本で有名なスポーツを教えてほしい,日本で美味しい食べ物は何だろうか,と現地の子どもたちが私にインタビューをしました。インタビュー後は,どう感じたか子どもたちが振り返りをしていました。

 あるクラスでは,一人の子どものアートに関して質問をしたり,評価をしたりしていました。

 あるクラスでは,その日が誕生日の子どもがいて,その子に向けて歌を歌っていました。そこからケーキのぬいぐるみのプレゼントをして,子どもたちはお祝いをしていました。

 あるクラスでは,片づけをしないことによって,ホームルームが汚れている問題を取り上げ,その問題を解決しようとサークル対話を行っていました。

 サークル対話を軸にして,子どもたち自身が学びも生活もつくっていく姿に私はとても感動しました。

 現地の先生から学んだのは,サークル対話の中に未来の社会があるということです。サークル対話を通して,民主主義社会の形成者へと子どもたちを育てていこうとしていく信念があったのです。

 当時の私がクラスで行っていたのは,私自身がリーダーとしてクラスに存在して,私自身を介在して問題を解決したり,心理的安全性を育んだりすることでした。また,私との豊かな関係性をベースに子ども中心の学びを実現していたように思います。

 これでは,権威あるリーダーのもとに子どもが力を発揮していることになり,民主主義社会の形成者としての資質・能力を育んでいるとは言いがたいと感じるようになりました。私というリーダーが変わると,ガラッと行動が変わってしまう子どもが少なからずいたからです。これは,リーダーが変わればなんとかなるという昨今の社会の風潮,あるいはリーダーにすべての責任を負わせたがる風潮とも似ています。

 サークル対話を真の意味でも実現して,自分たち自身でクラスをつくる,学校をつくる,地域をつくる,国をつくる,世界をつくる,そんな未来が実現できるようになるのではないかと私は思うようになりました。

 本書を読めば,サークル対話の目的,導入方法,具体的な事例を学ぶことができるようになっています。

 第1章では,「心理的安全性を育むサークル対話」について紹介します。なぜサークル対話を行うことが大事なのか,「心理的安全性」をキーワードにお伝えします。また,段階的な導入方法や環境づくりについても解説します。

 第2章では,「遊びのサークル」について紹介しています。遊びを通して,クラスの友達同士の仲を深めたり,笑い合ったりできます。その事例について紹介します。

 第3章の「ペアトークサークル・週末どうだったサークル・クラスBOXサークル・プロジェクトサークル」では,自治的な活動が行える事例を紹介します。

 第4章の「調査サークル・時事サークル・哲学サークル・AIサークル・分析サークル」では,各教科の学習とのつながりがあるサークル対話の事例を紹介します。

 第5章の「読み聞かせサークル・感動動画サークル・偉人サークル・探究サークル・評価サークル」では,総合的な学習の時間とのつながりがある事例,評価とのつながりがあるサークル対話の事例を紹介します。

 第6章の「サークル対話で育つクラス」では,サークル対話の実践事例を紹介しています。

 最後までお付き合いいただけますと幸いです。また,必要な箇所を活用していただき,みなさんの目の前にいる子どもたち,先生方が幸せになりますように。


   /岩本 歩


著者紹介

岩本 歩(いわもと あゆみ)著書を検索»

1982年生まれ。愛知教育大学教職大学院修了。3児の父。趣味はバスケットボール。日本イエナプラン専門教員資格取得。日本イエナプラン教育協会と連携して名古屋市の公立学校で研究を推進。イエナプラン教育を参考にした研究を通してテレビ出演・新聞掲載。2年間,名古屋市教育委員会事務局新しい学校づくり推進室の指導主事。現在は,日本初のイエナプランスクール,長野県の茂来学園大日向小学校教諭。イエナプラン教育を参考にした公立学校づくりの研修や校内研修支援を全国各地で行っています。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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