- はしがき
- T くらしをつくる堀川の子ども
- 自分の未来を自らの手で切り拓く堀川の子ども
- 夢を追い求めていく子ども
- 1 堀川の子どもは今!
- ―自分らしさを思う存分発揮する子ども―
- 1年生編
- 2年生編
- 3年生編
- 4年生編
- 5年生編
- 6年生編
- 知障・言障・院内学級編
- 2 自分の手で学習を創り上げる子ども
- 他に役立つ自分を目指し、探求心旺盛に調査活動を進める子ども
- 教材を契機として自らの兄弟の絆を見つめていく子ども
- それぞれのよさを生かしながら物語劇を創り上げる子ども
- 自己表現の手段としてコンピュータを積極的に活用していく子ども
- コンピュータを通して友達との絆を強めていく子ども
- 納得いくまで自分を追い求める子ども
- 互いの見方・考え方に学び合う子ども
- 3 くらしの中でひとり立ちをする子ども
- “育てられてきた”自分から“育てる”自分へ
- チーム内で確かな信頼関係を育む
- 子どもの自立をうながす「立山登山」
- 自立を後押しする学年運営
- ひとり立ちを強める「校外学習」
- U 子どもに学ぶ
- 1 私たちが直面している課題
- どの子も自らを高めていこうとする授業を目指して
- 心のつながりを求めてやまない子ども
- 純朴な子どもの思いが他に広がる
- 子どもに開かれた学校 ―子どもの願いの実現と学校―
- 家庭や地域に生きる学校でのくらしづくり
- 保健室で心と体を癒す子ども
- 2 子どもをどのようにとらえることが必要か
- 3 これから求められる“授業”とは?
- くらしをつくる子どもと共に
- 子どもの学びはくらしを基盤に総合的に進められている
- 4 教師はどう変わらなければならないのか?
- 子どもが育つ教師の構え
- V 子どもと授業(実践事例)
- 学級の中で居場所を求め,学ぶことの意味を見いだしていく子ども
- ―第1学年 生活科「どろんこあそび」の実践より―
- 自分に挑戦していく子ども
- ―第1学年 道徳「モンスターボール」の実践より―
- 命を守りはぐくむ中で自分を見つめていく子ども
- ―第1〜3学年の3年間にわたる鶏の飼育活動の実践より―
- 自由に遊んでいく中で、自分の楽しさを見いだしていく子ども
- ―第2学年 生活科「つくってあそぼう しゃぼんだま」の実践より―
- 地域社会とのかかわりを通して自信を深め,自らの可能性を切り拓く子ども
- ―第3,4学年の2年間における社会科の実践より―
- 揺れながら自分の読みをつくっていく子ども
- ―第4学年 国語科「おじいさんのハーモニカ」の実践より―
- 自分の演奏をつくり上げようと意欲を高めていく子ども
- ―第4学年 音楽科「チキチキバンバンを演奏しよう」の実践より―
- 自分への気付きを深めていく子ども
- ―第5学年 算数科及び学級活動「くらしの提案」の実践より―
- 自分の命をみつめる中で,自他を尊重していこうとする子ども
- ―第5学年 理科「わたしの命」の実践より―
- 人とのかかわりの中で自分を見いだしていく子ども
- ―第5学年 家庭科「これが100点!わたしの朝食」
- ―第6学年 家庭科「こんなのいいな わたしの休日」}の実践より―
- 学級集団の中でよりよい自分らしさを追い求める子ども
- ―第6学年 体育科「ダンスパート2」における瀬山さんの歩みより―
- 自らを大切にし、豊かに自己表現していく子ども
- ―第6学年 図画工作科「これがぼくわたしのまち“堀川”展に向けて」の実践より―
- あとがき
- 研究同人・転出者名簿
はじめに
現在,教育改革の進む中,平成14年度から全面実施の「新学習指導要領」が告示され,平成12年度から移行措置が実施されます。まさに,新しい教育への転換期と言わなければなりません。本校では,「ひとりひとりの子どもの考えには,それぞれに根拠がある」「指導とは,子どもの考える力の内からなる発展・成長を助長し,促進することに他ならない」(『授業の研究』1959刊)との授業観に立って研究に取り組み出してから,既に40年の歳月を重ねてまいりました。その間,著書も8冊を数え,その時その時の子どもの生きる姿をとらえ,授業研究,学校教育の在り方について問題提起をしてまいりました。そうした歩みをふまえて考えてみますと,本校の子どもの自主創造を目指した教育理念の具体化が,新学習指導要領のねらいである『自ら学び自ら考える力を培う』ことの具体化とが,今,奇しくも一致しているように思えてなりません。本校の歩みの中で,第6の著書『自立性の開発』を世に問うたのは,前々回の学習指導要領の移行措置が行われる前年の1978年(昭和53年),今より遡ること21年前でありました。その前文で「子どもには,もっと,じっくり考える余裕をもって,学びとっていく自由が必要だ」と指摘しています。このことは,子どもの自立性に焦点をあて,子どものひとりひとりの生き方を探究することから得た貴重な指摘であります。時が巡り,今日この指摘が,子どもにとって主体性のあるくらしづくり,自分づくりとして,新たな意味合いをもって響いてまいります。それと相まって,近年子どもの個性,心のもちようをとらえることにこだわり,子どもの立場に立ってそのすばらしさが顕在化されるよう,個と歩み,実践に努めてまいりました。本事例の中には,「そのようなことは当たり前であり,日常茶飯事である」「今さらそのような主張なんて…」と一笑に付されるかもしれません。しかし,そのひとつひとつが本校で営まれている教育活動における子どもの事実であります。子どもの見せる姿は様々であり,どれひとつとして同じではありません。それゆえ,尊いものと思われます。事例ひとつひとつの中には,子どもの友だちや身近な人,生き物,ものに心を寄せる一途さ,温かさに,涙を抑えることができない場面の多いことに驚いています。このようなすばらしい子どもと出会い,くらしを共にした幸せをかみしめています。ここに登場する子どもたちの,子どもたる所以のすばらしさと真摯に向き合って,その様をしっかりと見つめ,受けとめてやっていただければ,この上なくうれしく存じます。また,拙いわたしどものささやかな教育実践,あるいはその考え方に矛盾点や問題点が多々あろうかと思います。読者の皆様の厳しいご批判とご指導を賜りますよう,切にお願いするものであります。最後になりましたが,この書の出版を快くお引き受けくださった明治図書と第一編集部長の樋口雅子氏に対し,深甚の謝意を表するものであります。
平成12年3月 富山市立堀川小学校 校 長 /松村 健一
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- 明治図書