- Introduction
- 第1章 「つい…」の決めつけに気づくには?
- 1 決めつけ思考とは?
- 2 学校で決めつけ思考に陥りやすいのはなぜ?
- 3 決めつけ思考に気づくチェック表 あなたの価値観は同僚と似ていますか?
- 第2章 「つい…」の決めつけをほぐす練習 日常指導編
- 1 目の前の子を「○○な子」って誰が決める?
- 2 その子は本当に消極的?
- 3 「あいさつをしない子」は反抗的?
- 4 「目を見ないで話を聞く子」は集中していない?
- 5 「集団行動が苦手な子」はわがまま?
- 6 「集団で行動する子」は協調性がある?
- 7 「先生に友達口調」は教育的によくない?
- 8 「字がきれいに書ける子」はみんな優秀?
- 9 「ドッジボールが得意な子」は運動神経がいい?
- 第2章のまとめ
- 第3章 「つい…」の決めつけをほぐす練習 個別支援編
- 1 「行動が遅い子」はいけない子?
- 2 「乱暴で暴言を吐く子」はいじわる?
- 3 「じっとしていられない子」は落ち着きがない?
- 4 「計算が苦手な子」は覚えが悪い?
- 5 「漢字が苦手な子」は練習が足りない?
- 6 「挑戦しない子」は面倒くさがり?
- 7 「給食の好き嫌いが多い子」はわがまま?
- 8 「感情の起伏が激しい子」は集団に適さない?
- 9 「学校に来ない子」はやる気がない?
- 第3章のまとめ
- 第4章 「つい…」の決めつけをほぐす練習 人間関係編
- 1 「過保護な親」はダメ?
- 2 「保護者からの連絡帳」が届いたらクレーム?
- 3 「学校公開(授業参観)」は授業の発表会?
- 4 「個人面談」は子どものいいところだけを伝える場?
- 5 子どものトラブルは「ごめんなさい」と言えれば解決?
- 6 提出物が遅れる保護者は無責任?
- 7 「子どもは親の鏡」は本当?
- 8 保護者はお客様?
- 9 学校の常識は社会の非常識?
- 10 「夜遅くまで仕事をしている人」は熱心?
- 11 職員会議は定期的に開催するべき?
- 12 「会議で発言が多い人」は偉い?
- 13 「苦手な同僚」は本当に苦手?
- 14 管理職が言うことはすべて正しい?
- 第4章のまとめ
- 第5章 「つい…」の決めつけをほぐす練習 その他編
- 1 運動会、やって当たり前?
- 2 校内研究は負担が大きいけれど、必要?
- 3 職員会議は必要?
- 4 進路選択は公立、私立だけ?
- 5 全校朝会をするのは何のため?
- 第5章のまとめ
- 「つい…」の決めつけチェックリスト
- おわりに
- 参考文献一覧
Introduction
あなたの日頃の指導は、子どもの未来への可能性を広げていますか?
もしかしたら、狭めてしまっているかもしれません。
子どもも自分も、可能性を狭めたらもったいない!
時間の使い方を疑う
毎日、朝から晩まで子どもたちのために教育をしている先生方。教材研究、授業、校務分掌、児童・生徒指導、保護者対応など時間がいくらあっても足りません。そんな先生方は、目の前の子どもたちに全力で向き合っています。私が言うことではないかもしれませんが、いつもありがとうございます。
先生方によっては、家族との時間やプライベートの時間まで削って教育に時間を割いている方も多いのではないでしょうか。傾向として、そのような先生方のライフスタイルは、自宅→学校→自宅でほとんど教育のことばかり考えている平日。土日も学校に行って仕事、または平日の疲れを取るために寝ている人も多いと思います。
私も、20代、30代の頃はそうでした。
40代になってSNSを使い始め、様々な活動をしている先生方の情報を見ることができ、視野が広がりました。自分が仕事をしてきた時間を否定するわけではありませんが、「時間の使い方を疑う」こと。ここが、原点でした。
時代が変われば、時間の使い方も変わる
時代が変われば、テクノロジーの発展に伴い、おのずと子どもも大人も必要とされる能力が変わります。もちろん不変とされる礼儀、規律、コミュニケーションなどを蔑ろにしているわけではありません。必要とされる能力が変われば、それを身につけるための学びが必要になるわけで、それに伴い時間の使い方も変わってきます。
よういドン
先生は、真面目な方が多いので何をするにも用意周到に準備をする方が多いでしょう。もちろんよいことだとは思います。短距離にたとえると、「位置について、ようい…」この時間が長くて、なかなかスタートを切らない。野球にたとえると、バットの素振りばかりしていて、なかなか打席に立たない。準備することは最も大切ですが、失敗を恐れるあまり、準備に時間をかけすぎているように感じます。スタートを切らない限り、可能性は広がりません。
時間の使い方=可能性の広げ方
20代、30代のがむしゃらに走りながらぼんやり見ていた景色を、立ち止まり俯瞰して、何が見えるのか詳しく確認しようとしました。景色と書きましたが、時間の使い方を変えて、出かける場所や読書のジャンルを変えたり、他業種の人と出会ったりすることなどをして自分を高めようとしていたのです(40代になり人生の不安があったことは否めませんが…)。
時間の使い方を変えると、見える景色が変わる→出会いがある→いつもと違う情報をインプットする→思考が変わる→意欲に火がつく→教育の当たり前を疑う→行動が変わる→教育の幅が広がる→教育の質が高まる→子どもの可能性が広がると変化していきます。
ちょっと長くなりましたが、時間の使い方を変えることで私自身の変化が大きかったことは、間違いありません。私自身の思考や行動が変わり、その影響で子どもの可能性を広げることに繋がっています。
20年後の答え合わせ
教育効果は、すぐに目に見える形では表れないことが多いです。特に、初等教育は、高等教育よりも目に見える学力向上というよりも、非認知能力や将来的な成長に影響を与えることが多いと考えます。すぐに教育の効果が表れない、つまり答え合わせができません。
先日、20年前の教え子と会う機会があり、思い出話に花を咲かせました。当時、ちょっぴり大胆だった私をはじめ、学年の先生方が総合的な学習の時間に「歩いて海を見に行こう」という企画を立て、指導したことが話題にあがりました。私の勤務地だった東京都品川区から神奈川県鎌倉市の海まで、約50qを地図片手に歩く企画でした。チェックポイントを設け、そこから電車で学校に戻り、翌日チェックポイントから再スタートをすることで、4日かけてゴールしました。これは、とても画期的な企画でした。なぜなら、グループごとに地図を渡すだけで、歩くルートは自分たちが決め、責任と覚悟をもって参加させたからです。
校外学習は、先頭と最後尾に教員がついて、歩くルートを誘導するもの。これ、当たり前ですか? そうしなければいけないとつい、決めつけているだけかもしれません。
20年後に、様々な業界で活躍している教え子たちを見て感じました。当時は、非認知能力という言葉は耳にしませんでしたが、見えない学力、非認知能力を高めていたのかもしれないと。
読者の皆様に、大胆で風変わりな教育をしてください、とは言いません。日常の教育、人間関係、環境など、「つい…」発動されている日常の慣れや決めつけ思考に気づき、その決めつけ思考を一緒にほぐして、教育をアップデートさせていきましょう。
/茂木 正浩















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@「〇〇な〜」から「〇〇ができる」へ
「〇〇な〜」では、どうしてもマイナスも含まれがち。
「〇〇ができる」に変換するだけで、プラスに転じさせることができる。
リフレーミングの基本とすることで、見方を幅広くもちたい。
A「もしかしたら」と疑うクセを
無意識=思考のクセ
意識的に「もしかしたら…」と考えるだけで、クセが緩和される。
B「ごめんなさい」を未来志向に
反省も、謝罪も未来のためにする。
「ごめんなさい」は目的ではなく、手段。
目的は未来の関係や未来の自分をより良くするため。
カタチではなく、目的を考える。