- まえがき
- T 討論の授業のための「日常的指導」
- 一 「多数決では決められない」ことを伝える――「ことば」に必ず証拠がある――
- 二 「できる子」が常に正しいのではないこと(逆転現象)を伝える――河上氏の『いちごつみ』実践
- 「いちごつみ」で起きた逆転現象 /河上 仙子
- 三 「討論」の話し方を身につける――『ふきのとう』
- 四 「聴く」方法を教える
- 五 黒板の書き方を指導する――『おへそってなあに』
- 六 書くことが「討論」の基本であることを指導する――『たんぽぽの ちえ』
- 七 討論のためには「ノート」が大切なことを指導する――『えいっ』
- U 「ことば」にこだわる討論の授業
- 一 そこまで討論するの――『スイミー』
- 二 発問の「ことば」にこだわる子ども達――『王さま でかけましょう』
- 三 ことばの再分析を生む「討論の授業」――『お手紙』
- 四 岸氏の「お手紙」実践
- 「主役はがまくんかかえるくんか」 /岸 義文
- 五 主役は、がまくん それとも かえるくん
- V 説明文で「評論文」の練習を
- 一 書いたものを採点すると「書く」ようになる――『かげふみおにをしよう』
- 二 おもいきって結論を書かせる――『おへそってなあに』
- W 「気持ち」だっておろそかにしない討論の授業
- 一 作品のよさに感動する討論の授業――『お手紙』
- 二 討論で主題にせまる――『スーホの白い馬』
- 三 南木氏の『スーホの白い馬』実践
- 「気持ちを問わずに気持ちを出す――『スーホの白い馬』より――」 /南木 雅弘
- 四 小宮氏の『スーホの白い馬』実践
- 「の会レポート『スーホの白い馬』授業記録」 /小宮 孝之
- X ちょっとした討論で子ども達の「研究」が始まる
- 一 討論を入れると、活発な調べ学習が始まる――『生きものをかってみたいね』
- 二 討論を入れると観察・研究が活発になる――『生きものをかってみたいね』
- 三 サイクル図で環境を考える――生活科・まとめの授業
- Y すぐれた児童の作文は、すぐれた「道徳討論授業の『力のある資料』」となる
- 一 「きらら」で授業する
- 二 TOSS道徳の授業
- Z 「討論の授業」Q&A
- Q1――Q
- 附録 「総合的な学習」をスタートさせる
- 「総合的な学習」指導案
- あとがき
まえがき
『教室ツーウェイ』一九九六年七月号の特集は、〈討論の授業の名人技「指名なし討論」はだれでもできる〉だった。
「指名なし討論」が、ついに公の場に姿を現したのである。
『教室ツーウェイ』の副編集長をしている私は、執筆の依頼状に次のように書いた。
討論の授業には、2つのポイントがあります。
1つは、討論になるような発問と子どもの意見のしぼり方です。
もう1つは、子どもの発言の仕方です。
教師がなにもしないでも、子どもが立って発言を続ける「指名なし討論」です。
これまでほとんど注目されませんでしたが、これこそ「討論の授業」の秘訣なのです。
注目してこなかったのは、私の勉強不足による。
『教室ツーウェイ』一九九五年一二月号で、岡山の小林幸雄氏は向山洋一氏の「指名なし討論」のすごさに着目していた。
また向山氏自身も、「向山洋一教え方教室」などで、「指名なし討論」について話していたのである。
「指名なし討論」こそ「討論の授業」の最終目標である。
遅ればせながら気付いた私は、すぐ実践に取り入れてみた。
指名なし朗読、指名なし発表、指名なし討論。二年生でも、討論は活発に行われるようになった。
この本は、「指名なし討論」に近づくためのステップの第一段階「日常的指導」について詳しく紹介してある。
また、二年生に限らず、今まで授業上達セミナーなどのセミナーでうけてきた質問への回答も示している。
究極の討論の授業「指名なし討論」に役立てば幸いである。
なお附録として「ボランティア」学習の実践を入れておいた。これからの総合学習の参考にしてほしい。
2000年7月 著者
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- 明治図書