- はじめに
- 第1章 数学授業で使えるキーフレーズの目的と価値
- 第2章 目的別 数学授業で使えるキーフレーズ100
- 1 問題を把握させるためのキーフレーズ
- 001 この図から,数学の問題をつくってみよう
- (問題づくり)
- 002 矢印は何を表しているのかな?
- (矢印の意味)
- 003 □にはどんな数が入るかな?
- (□による問題提示)
- 004 「あれっ?」と言った気持ちがわかるかな?
- (つぶやきの共有)
- 005 動画は何を伝えようとしているのかな?
- (動画による問題提示)
- 006 この線とこの線はくっつかないの?
- (グラフによる問題提示)
- 007 これって,どういうこと?
- (問題の焦点化)
- 008 次はどんなことを言うと思う?
- (問題の連続化)
- 009 これを考える意味はあるのかな?
- (問題の価値づけ)
- 2 見通しをもたせるためのキーフレーズ
- 010 どんなことが使えそうですか?
- (既習の想起)
- 011 どんなことがわかればいいのかな?
- (問いの焦点化)
- 012 前の問題と何が違うかな?
- (違いからの解決)
- 013 この式を問題の言葉で表すとどうなるかな?
- (言葉の式)
- 014 大きくなるの? 小さくなるの?
- (二択による予想)
- 3 考えをつなぎ広げるためのキーフレーズ
- 015 うなずいたよね。どうして?
- (意図的指名@)
- 016 ○○さんの考えは,あなたと違うの? 同じなの?
- (意図的指名A)
- 017 困っていることを伝え合ってごらん
- (ペア対話)
- 018 この考えは間違っているけど,わかるかな?
- (誤答の活用)
- 019 「なぜ?」と思うことはないかな?
- (問いの引き出し)
- 020 この式を図で表せないかな?
- (式と図の関連づけ)
- 021 この表を式とグラフで表すとどうなるかな?
- (式,表,グラフの関連づけ)
- 4 考えを振り返り整理するためのキーフレーズ
- 022 つまり,何をするということかな?
- (考えの要約)
- 023 2つの考え方につながりはないかな?
- (考え方の統合)
- 024 違いをはっきりさせよう
- (違いの整理)
- 025 ○○するとはどういうことかな?
- (数学用語の意味)
- 026 どう覚えておくとよいかな?
- (解き方の整理)
- 027 どんな数でもよいのかな?
- (数の範囲)
- 028 ここまでの学びの流れをまとめよう
- (数学の拡張)
- 029 S1さんとS2さんの考え方は同じ? 違う?
- (考えの共通性)
- 030 何がポイントだったと思う?
- (考え方の要点@)
- 031 役立つまとめ方を考えよう
- (考え方の要点A)
- 5 きまりに着目させるためのキーフレーズ
- 032 これですべてかな?
- (きまりの説明)
- 033 このきまりはいつでも使えるのかな?
- (きまりの一般化)
- 034 何が決まれば,何が決まりますか?
- (関数関係の把握)
- 035 これらの結果から言えることはないかな?
- (結果からの推測)
- 036 どこに動かしても言えるのかな?
- (条件変え)
- 037 このことを一般式で表すとどうなるかな?
- (一般化)
- 6 これまでの学びを生かすためのキーフレーズ
- 038 こういうことって,今までもなかったかな?
- (学習の振り返り)
- 039 こういうときはどうしてきたかな?
- (考え方の想起)
- 040 ○○さんは,こういうときいつも発言してくれますよね
- (よりよい考え)
- 041 こうした問題で注意していることは?
- (確かめの必要性)
- 042 教科書のどこに書いてあったかな?
- (教科書の活用)
- 7 疑問を生み出し生かすためのキーフレーズ
- 043 「○○」とは,どういう意味かな?
- (数学用語の意味)
- 044 教科書で疑問に思うことはないかな?
- (教科書の記述)
- 045 なぜこの方法が紹介されているのかな?
- (学習の意味)
- 046 こう表したらダメなのかな?
- (簡潔な表現の意識)
- 047 いろいろな解き方は何種類ありましたか?
- (解き方の分類,整理)
- 048 表にもいろいろあるね
- (細部の吟味)
- 049 絶対に○○しないですか?
- (そうならない理由)
- 8 苦手な生徒を支援するためのキーフレーズ
- 050 わからないと言えることがすごいね!
- (発言しやすい雰囲気)
- 051 間違えた後が大切!
- (間違いのリカバリー)
- 052 そこまでわかれば大丈夫!
- (理解のステップ)
- 053 同じような問題が解ければ安心です
- (安心感と自信)
- 054 最初に何をした? 次に何をした?
- (思考順序)
- 055 教科書を写してみよう
- (教科書の活用)
- 056 近くの人と相談しよう
- (対話的な学び)
- 9 全員を授業に参加させるためのキーフレーズ
- 057 そう思った人は〇,そう思わなかった人は×
- (意思決定)
- 058 まず,予想で答えてみよう
- (答えの見通し)
- 059 この問題を見て,どう思ったかな?
- (初発の感想)
- 060 手で表してみよう
- (思考の表現)
- 061 どんな場合があるかを考えて図をかこう
- (場合分け)
- 062 この列の人は立って答えて!
- (列指名)
- 063 ノートを見て回りますね
- (○つけ法)
- 064 エレベータートークをしよう
- (エレベータートーク)
- 065 わからないことを2人の人に伝えよう
- (交流)
- 066 表情発言でも大丈夫!
- (表情発言)
- 10 主体的な学びを生み出すためのキーフレーズ
- 067 どちらを選ぶ?
- (二者択一)
- 068 間違えそうな問題から取り組もう
- (問題の自己選択)
- 069 自由に図形をかいてみよう
- (自由な作図@)
- 070 点の位置を自分で決めてみよう
- (自由な作図A)
- 071 図形を自由に動かして考えよう
- (自由な作図B)
- 072 整数以外にしても考えられるかな?
- (数の拡張)
- 073 時間を有効に使おう
- (時間への意識)
- 074 インターネットで調べてみよう
- (インターネットの活用)
- 075 他にどんな図を考えてみたいかな?
- (問題の条件変え)
- 076 いろいろな問題をつくってみよう
- (例題を基にした作問)
- 11 対話的な学びを生み出すためのキーフレーズ
- 077 隣の人と違うことはないか確かめてみよう
- (友だちとのズレ)
- 078 「ここがわからない」とはっきり言おう
- (わからないことの表明)
- 079 ○○さんの発言について隣の人と話し合おう
- (級友の発言を基にした対話)
- 080 教科書のこの言葉の意味を隣の人と話し合おう
- (教科書の記述を基にした対話)
- 081 それぞれの状況を伝え合おう
- (答え合わせを通した対話)
- 082 身の回りから数学を見つけよう
- (数学と生活の関連づけ)
- 083 わからない人から話し始めよう
- (対話の喚起)
- 084 どちらがよいか話し合おう
- (選択を基にした対話)
- 12 深い学びを生み出すためのキーフレーズ
- 085 一生覚えておくとよいと思うことは?
- (見方・考え方の意識づけ@)
- 086 式の展開を図で表そう
- (見方・考え方の表出)
- 087 もっと簡単にできないかな?
- (見方・考え方の視点)
- 088 図からどんなことがわかるかな?
- (見方・考え方の意識づけA)
- 089 今日の学習で一番大切なことは何かな?
- (見方・考え方の意識づけB)
- 090 算数と数学はつながっていると言うけれど…
- (統合的な考え方@)
- 091 この考え方はどこかで使わなかったかな?
- (統合的な考え方A)
- 13 学びを連続させるためのキーフレーズ
- 092 ○○さんの振り返りを基に考えよう
- (振り返りに基づく課題)
- 093 次はどんなことを考えるとよいかな?
- (数学を発展させる態度@)
- 094 この単元は次の学年ではどうなるのかな?
- (数学を発展させる態度A)
- 095 ○○さんの振り返りはいいですね
- (振り返りの価値づけ)
- 096 単元を通しての振り返りを書こう
- (単元を通しての振り返り)
- 14 教師を乗り越えさせるためのキーフレーズ
- 097 この計算問題なら○分で解こう
- (意欲を高める目標提示)
- 098 単元テストを自分でつくってみよう
- (生徒自身によるテストづくり)
- 099 ○○さんに先生をやってもらいます
- (生徒が進める授業)
- 100 わかった人はレポートを出してください
- (意欲を高める課題提示)
はじめに
これまで多くの数学授業を参観させていただき,指導助言をしてきました。
「主体的・対話的で深い学び」を具現化しようとする授業や,1人1台端末を活用した授業など,とても参考になる授業を見ることができています。
そうした中,次のように感じることがあります。
「この場面,『2つの考え方につながりはないかな?』と発問したら,話し合いがさらに活性化して,生徒から数学的な見方・考え方を引き出すことができるのに,とても惜しい」
「あのような生徒の発言があったのなら,『これですべてかな?』と,生徒を揺さぶる言葉かけをするといいのに。きっと,この事例しかないことを論理的に述べる生徒がいるはずだ。あぁ,残念」
「このような場面こそ教師の出番で,『もっと簡単にできないかな?』と言葉かけをして,学級全体の思考を高次に向かうよう仕向けるべきだ」
誤解のないように述べておくと,自分自身が現役の授業者であったとき,上記のような発問・言葉かけがいつもできていたかというと,決してそのようなことはありませんでした。先輩や同僚から指摘を受けたり,自分が意図的に発した言葉への生徒たちの反応から,体験的に様々なことを学んでいました。
授業の指導助言者としてかかわらせていただいている方には,こうした私の知見を直接伝えていますが,皆さんの納得度が高いこともあって,それらを広く伝える機会があればと願っていました。
こうしたとき,明治図書出版の矢口郁雄さんから,「生徒の思考を活性化する問いや価値づけの言葉を場面ごとにまとめた本を出しませんか」と,お声がけいただきました。矢口さんには,『スペシャリスト直伝! 中学校数学授業成功の極意』をはじめ,数学授業に関する教育書を何冊も世に出していただいています。こうしたことを踏まえてのことでしょう。「集大成としての1冊をぜひ!」とのメッセージにも励まされ,皆さんにこうして手に取っていただける素敵な書籍を発刊することができました。
本書の第1章「数学授業で使えるキーフレーズの目的と価値」では,第2章で示した100のキーフレーズ以外にもオリジナリティあふれる,あなただけのキーフレーズを生み出すコツを示しました。
第2章「目的別 数学授業で使えるキーフレーズ100」では,問題を把握させる,考えをつなぎ広げる,きまりに着目させる,全員を授業に参加させる…など,14の目的別に,具体的な発問・言葉かけの事例を集めました。どの事例においても,発問・言葉かけを行う具体的な授業場面を示したうえで,その意図や背景にある考え方などを詳しく解説しています。
本書を読んでいただければ,これまで以上に生徒が課題にのめり込み,熱気あふれる数学の授業となると思います。本書をいつも手元に置いて,活用していただければ幸いです。
2022年9月 /玉置 崇
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