- はじめに
- Part1 担任になったら押さえたい高学年指導の基礎・基本
- 1 高学年の子どもとのコミュニケーションの基本
- 2 高学年の子どもへのほめ方の基本
- 3 高学年の子どもへの叱り方の基本
- 4 高学年の心をつかむ注目すべき指導場面
- @ 学級活動での指導場面
- A 児童会活動・学校行事での指導場面
- B 生活態度の指導場面
- C 授業態度の指導場面
- D 教師との人間関係に関する指導場面
- E 異性意識に関する指導場面
- F 高学年女子の指導場面
- Part2 学級活動での指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 学級会の話し合いが盛り上がらない
- 2 話し合いで意見が譲れない
- 3 学級の当番活動をやらない
- 4 係活動が活発にならない
- 5 席替えを好きな人同士で座りたいと言う
- 6 朝の会や帰りの会での歌声が小さい
- 7 担任がいない時,落ち着かない
- Part3 児童会活動・学校行事での指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 学校行事に意欲が持てない
- 2 運動会で自分たちから動けない
- 3 委員会の当番活動をやらない
- 4 集会活動が上手に運営できない
- 5 遠足や修学旅行できちんと行動できない
- 6 卒業式の練習中,態度がよくない(5年生)
- 7 卒業式に向けた雰囲気が高まらない(6年生)
- Part4 生活態度の指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 うそや言い訳ばかりする
- 2 男の子同士がとっくみ合いのけんかをした
- 3 朝自習に静かに取り組まない
- 4 落とし物が多い
- 5 机やロッカーの中が散らかっている
- 6 トランプを勝手に持ってくる
- 7 給食がなかなか食べられない
- 8 トイレのスリッパがそろわない
- 9 教室からの移動がうるさい
- 10 保健室によく行く
- 11 校舎内でアメの包み紙が発見された
- 12 壁に落書きがあった
- 13 ゲームセンター・ゲームコーナーによく行っている
- 14 学校に来ない(不登校)
- Part5 授業態度の指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 授業の開始に遅れる
- 2 挙手しない
- 3 話し合いに参加しない
- 4 私語が多い
- 5 宿題をいつもやってこない
- 6 「塾でやった!」「もう知っている!」と言ってしまう
- 7 忘れ物(学習用具)が多い
- 8 トイレにしょっちゅう行く
- 9 男子は男子,女子は女子で固まっている
- Part6 教師との人間関係に関する指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 指示があるまで動かない
- 2 あいさつの声が小さい
- 3 手伝いをお願いすると「え〜」という言葉が返ってくる
- 4 指導しようとすると「だって……」と言い訳ばかりする
- 5 教師を避ける
- 6 「前の先生の方がよかった」と言ってくる
- 7 いつも教師のところにくっついてくる
- Part7 異性意識に関する指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 男女の仲が悪い
- 2 男子と対等に張り合っている
- 3 注意する時の言葉が厳しすぎる
- 4 「好きな子だれ?」としつこく聞いてくる
- 5 好きな子をばらされたと勘違いされた
- 6 バレンタインデーを前に,落ち着かない
- 7 見た目を気にして給食を減らす
- Part8 高学年女子の指導場面
- ―困った時の解決策と予防のポイント
- 1 仲良しグループができてしまう
- 2 交換日記を持ってくる
- 3 「にらんでくる」「笑われる」と訴えてくる
- 4 メール・LINEのトラブルが起こる
- 5 いろんな場所でたむろしている
- 6 こっそり特別教室に入っている
- 7 意見を言わず静かにしている
- 8 陰で悪口を言っている
- 9 一人がグループから外れる
- 10 いじめられて学校へ行きたくないと言い出す
- コラム1 高学年の担任になったら
- コラム2 高学年の心をつかむ指導とその考え方
- コラム3 「ちょっと聞かせてアンケート」
はじめに
「高学年担任は忙しい」「高学年の担任になると大変だ」よくこんな声を聞きます。事実,高学年担任は子どもを通して学校全体を動かす仕事を任されます。また,高学年特有の問題行動も出てきます。発達段階から生じる男子・女子それぞれ特有の問題もあります。様々な局面で,個と集団,心と行為・行動,男子・女子といった複合的な指導が求められます。しかも瞬時に。そのため「高学年の指導は難しい」と考えられがちです。
しかし高学年担任こそ,実はとてもダイナミックな授業や学級づくりができるのです。子どもたちは先生と同じ言葉で話が通じ,友だちや学級,学校を見渡す視野も広くなります。子どもたちだけで主体的に提案し,能動的に行動できるようになります。学級全員が1つの目標に向かって取り組むエネルギーはとても素晴らしい姿です。そして高学年が変われば,学校全体が変わるのです。学校の雰囲気を変えることができる高学年担任は,一番やりがいのある仕事だと言ってもよいでしょう。
本書は,高学年の指導に悩む先生のために書きました。Part1では,高学年の担任として臨むべき心構えを書きました。Part2からは,61の事例を通して高学年特有の具体的な場面と対応についてズバリ3つに絞って書きました。先生が困っている状況に応じて読んでいただき,すぐに対応できるようにしてあります。また,本来なら問題行動は起こらない方がいいのです。ですから問題行動が起こる前の予防として,あらかじめ指導しておくべきことについて書いています。
また,61の事例については高学年を対象にした指導場面を中心に書きました。ただし,内容によっては低学年や中学年であっても通用する指導となっています。高学年の担任になったら「高学年だからもうこんなことはできているはず」と思って指導しがちです。でも実のところ,低学年や中学年で身につけておかなくてはいけない学習の構えや生活面での行為・行動について不十分であることも多いのです。中学年までになかなか身につかない場面については,高学年の早い段階に指導しておく必要があると考え,本書の中で取り上げてあります。
本書の事例は,実際にこれまで悩み,考え,指導してきた内容です(一般化できるように事実とは表現を変えています)。私も若い頃は高学年の担任として子どもとの関係に悩む一教師でした。その頃の思い出を掘り起こすのは私にとってつらいことでもあり,今ならこう指導するはずと後悔の作業でもありました。本書が少しでも高学年の指導に励む先生の手助けになればと願っています。
最後になりましたが,本書を書く機会をいただいた明治図書の坂元菜生子様,木山麻衣子様には感謝申し上げます。ありがとうございました。
2016年11月 /広山 隆行
良い本です。