- はじめに
- 第1章 教師の言葉をしっかり届ける! 話し方の基礎基本
- 1 その話し方で,伝わりますか?
- 2 「正しい発声」を身につけよう
- 3 声の5つの要素@ 声の大きさ
- 4 声の5つの要素A 声の高さ
- 5 声の5つの要素B 話す速さ
- 6 声の5つの要素C 間
- 7 声の5つの要素D 音色
- 8 演劇人スタニスラフスキーの3つの輪とは
- 9 3つの輪をこう使う
- 10 話す時には,STFを意識せよ
- コラム アナウンサーから学ぶ
- 第2章 押さえておきたい! 話し上手な教師になるための極意
- 1 これだけは絶対ダメな話し方
- 2 話し上手は聞き上手@ 笑顔でうなずく
- 3 話し上手は聞き上手A 話を引き出す裏ワザ
- 4 話し上手は聞き上手B ガハハと笑う
- 5 演じることは悪じゃない
- 6 「何を言ったか」ではなく「誰が言ったか」
- コラム 噺家から学ぶ
- 第3章 こういう時はこう話せ! 話し方の極意 授業編
- 1 授業中の話し方3つのツボ
- 2 授業のはじめは「枕」でひきつける
- 3 授業の半ばは「ダレ防止テク」で集中力をキープする
- 4 授業の終わりは話し過ぎない
- 5 説明は短く,間を空ける
- 6 重要なポイントを説明する時は予告する
- 7 机間巡指は声をかけたら立ち去る
- 8 机間巡指は子どもに「聞き耳」を立てさせる
- 9 やる気のある子からはあえて距離を取る
- 10 やる気のない子には毅然と話す
- 11 真面目で目立たない子のがんばりを広める
- 12 さりげない促しで自発的な行動を引き出す
- コラム プロレスラーから学ぶ
- 第4章 こういう時はこう話せ! 話し方の極意 学級活動編
- 1 朝の会は細かいことはスルーする
- 2 意味のない会話で子どもたちとつながる
- 3 ダチョウ倶楽部理論で子どもたちをつなげる
- 4 ワンクッション置いて子どもたちを遊びに誘う
- 5 相談ごとはとにかく話を受け止める
- 6 公平なレフェリーとなりけんかを止める
- 7 道筋を示して仲直りさせる
- 8 子どもの怪我は「共感」で落ち着かせる
- 9 子どもと話せる給食時間を活用する
- 10 掃除の時間―まじめに取り組む子をプロデュース
- 11 掃除の時間―遊んでいる子の前で楽しく掃除
- 12 終わりの会は全力でやる
- コラム アイドルから学ぶ
- 第5章 こういう時はこう話せ! 話し方の極意 保護者・職員室対応編
- 1 保護者へは笑顔・ていねい・自然体で話す
- 2 学級懇談会はMCになって盛り上げる
- 3 個人懇談会は「振り返り」を元に話す
- 4 家庭訪問はインタビュアーになって聞く
- 5 言いづらいことは直接伝える
- 6 管理職への「ほう・れん・そう」は第一報から簡潔にする
- 7 職員室では教師同士の信頼をつくる
- 8 電話では笑顔を声に乗せる
- 9 講師の先生にはお礼の手紙を書く
- おわりに
はじめに
【朝の教室】
始業のチャイムが鳴る。
日直が前に出てきて,朝の会を始めようとするが,子どもたちのおしゃべりはなかなか止まらない。
「静かにしてください。」
「静かにしてください。」
連呼する日直の言葉に耳を傾けないクラスメイト。
そこに,教師が教室に入ってくる。
「はい,静かに…。」
どこの小学校でもありそうなシーンです。
さて,この後,私の考えるシナリオでは,教室は静かになり,朝の会が始まるのですが,実際の場面では,私のシナリオ通り静かになることもあれば,教師が教室に入ってきただけで静かになる場合もあるでしょう。もしかしたら,残念なことにいくら教師が叫んでもなかなか静かにならない場合もあるかもしれません。同じ言葉を発しているのにもかかわらず大きな違いが出てくるのです。
以前,『人は見た目が9割』(竹内一郎,新潮社)というある意味失礼なタイトルの本がベストセラーになりました。
そこには,次のような内容が書かれています。
アメリカの心理学者アルバート・マレービアン博士は人が他人からうけとる情報の割合について次のような研究成果を発表している。
○見た目・身だしなみ,仕草・表情 55%
○声の質(高低),大きさ,テンポ 38%
○話し言葉の内容 7%
この本によると,「静かに…。」という言葉の内容が持つポテンシャルは,7%しかないということになります。いくらなんでも7%ってことはないわな…と思うのですが,それでも,言葉以外の情報,いわゆるノンバーバルな部分が重要な要素だということには,異論ありません。
ところが,今までの教育書はアルバート博士が言う7%に重点が置かれているものがほとんどでした。そりゃそうです。本を構成するのは,あくまでも文字ですから,ノンバーバルな部分を伝えるのにはどうしても限界があります。
実際,本書の内容も,具体的な事例をもとにして「こういう場面ではこのように話すと効果的ですよ」というような「何を話すか」ということがメインになっています。ただ,本書の特徴は,そこにとどまらず,「誰を意識して話すか」や「この時は,低めの声で,ゆっくりと」など,演劇の世界から学んだ「話し方の基礎基本」をベースにした「どう話すか」というノンバーバルな部分も付け加えられているということがあげられます。その部分を意識して読んでいただけると,この本の効果は倍増します。演劇からの学びだけに,「劇的」にあなたの話し方は変わるはずです。
それでは,ただ今より『スペシャリスト直伝! 全員をひきつける「話し方」の極意』,開幕します。
しばらくの間,お付き合いください。
2016年6月 /俵原 正仁
やはり考えておられるなぁという感じでした。実践してみます。
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