- 発刊によせて
- 第1章 学校での今後の教育課題と国語の力
- /佐藤 明宏
- 1 授業の中でのインクルーシブ教育
- (1)中央教育審議会の「審議のまとめ」を踏まえて
- (2)インクルーシブ教育に対応した指導システム
- 2 聞く,読む,書く能力の認知特性及び発達状態を探る
- (1)言葉生成のプロセスとスクリーニングテスト
- (2)学習指導要領との関係
- 第2章 国語科スクリーニングテストの特徴と実施方法
- /武藏 博文・佐藤 宏一・石井 美帆・野瀬 五鈴
- 1 国語科スクリーニングテストの目的と構成
- (1)スクリーニングテストの目的
- (2)スクリーニングテストの種類と問題の構成
- (3)主な認知特性との関係
- 2 スクリーニングテストの実施手続き
- (1)実施前の準備
- (2)実施手続き
- 3 スクリーニングテストの採点と評価
- (1)スクリーニングでの採点と評価
- (2)個別プロフィール表による分析
- 4 スクリーニングテストの活用法
- (1)つまずきの疑いのある児童生徒の判断基準
- (2)スクリーニングテストとして学級での利用
- (3)つまずきの疑いのある児童生徒の指導への活用
- (4)保護者への対応
- 5 スクリーニングテストの作成過程
- (1)問題の適正と検証結果
- (2)問題別の結果検討
- (3)認知特性別の結果検討
- 第3章 国語科スクリーニングテストを活用した指導と評価の実践事例
- 1 小学校2年
- 書字や出来事の想起につまずきがあり,
- 話すこと・書くことを苦手とした児童の指導事例
- 2 小学校3年
- 日常の出来事を文として表現する能力に
- つまずきが見られた児童の指導事例
- 3 小学校6年
- 漢字の細部まで認識することが難しく,
- 漢字を正しく書くことを苦手とした児童の指導事例
- 4 中学校2年
- 平仮名や漢字の読みに問題を抱えているため,
- 読み書きが苦手な生徒の指導事例
- 第4章 実物資料:小・中学校の国語科スクリーニングテスト
- 1 小国A(小学校1・2年生用)のスクリーニングテスト
- (1)小国A(小学校1・2年生用)実施マニュアル
- (2)小国A(小学校1・2年生用)正答及び判断基準
- (3)小国A(小学校1・2年生用)作文の評価基準
- (4)小国A(小学校1・2年生用)つまずき段階換算表
- 国語科スクリーニングテスト評価表 小国A
- 国語科スクリーニングテスト個別プロフィール表 小国A
- 小国Aテスト問題
- 2 小国B(小学校3・4年生用)のスクリーニングテスト
- (1)小国B(小学校3・4年生用)実施マニュアル
- (2)小国B(小学校3・4年生用)正答及び判断基準
- (3)小国B(小学校3・4年生用)語の識別・作文の評価基準
- (4)小国B(小学校3・4年生用)つまずき段階換算表
- 国語科スクリーニングテスト評価表 小国B
- 国語科スクリーニングテスト個別プロフィール表 小国B
- 小国Bテスト問題
- 3 小国C(小学校5・6年生用)のスクリーニングテスト
- (1)小国C(小学校5・6年生用)実施マニュアル
- (2)小国C(小学校5・6年生用)正答及び判断基準
- (3)小国C(小学校5・6年生用)語の識別・作文の評価基準
- (4)小国C(小学校5・6年生用)つまずき段階換算表
- 国語科スクリーニングテスト評価表 小国C
- 国語科スクリーニングテスト個別プロフィール表 小国C
- 小国Cテスト問題
- 4 中国(中学生用)のスクリーニングテスト
- (1)中国(中学生用)実施マニュアル
- (2)中国(中学生用)正答及び判断基準
- (3)中国(中学生用)語の識別・作文の評価基準
- (4)中国(中学生用)つまずき段階換算表
- 国語科スクリーニングテスト評価表 中国
- 国語科スクリーニングテスト個別プロフィール表 中国
- 中国テスト問題
- あとがき
- 参考文献
発刊によせて
国語科スクリーニングテストの開発のスタートは,「国語科が通常の授業で指導すべき『聞くこと,読むこと,書くこと』等の内容について,学級・教科担任が,第一段階として簡単にその学習状況を認知レベルの側面から把握すること」(佐藤・石井・野瀬,2011)にありました。学校で授業を受ける上で必ず必要となる基本的な学習能力について,国語科の指導内容の範囲で評価すること,学級で一斉に実施して,その能力の習得状況を簡便に評価し,授業の内容や進め方の改善に役立てることです。
近年,発達障害等に関する研究が進み,児童生徒の学習の困難さを認知的側面から分析し,的確にその要因を把握した上で,それに見合った指導を試みることが可能となってきました。このスクリーニングテストでは,つまずき段階にある児童生徒について,個別プロフィールによる分析を行い,背景となる認知特性(言葉生成プロセス,情報処理プロセス)からも評価ができるようにしています。
香川大学教育学部では,特別支援教育が実施に移される以前から,いち早く学業不振・学習困難児・学習障害児をはじめとする発達障害への指導支援の方法の開発に取り組んできました。2003(平成15)年度に,香川大学の坂出地区の附属学園の中に,特別支援教室「すばる」を設置し,通級指導のモデル事業として,教育相談,個別学習指導を行い,さらに教員研修,研究開発の事業を展開してきました。2008(平成20)年度からは,現職派遣教員を対象とする大学院教育学研究科の実習施設としての役割も担っています。国語科スクリーニングテストは,本教室の研究プロジェクト(国語基礎力研究グループ)の成果がもととなっています。
教員は,このスクリーニングテストによって,第一に,学級全体の児童生徒の学習レベルを大まかに把握し,授業内容や方法の在り方等を検証及び検討することができます。第二に,個別の配慮を要する児童生徒の実態を,国語科の指導観点と,その背景となる認知特性とから把握して,その後の指導支援に役立てることができます。さらに,詳細の諸検査等が必要な児童生徒を見極めていくことに活用するものです。
2017年7月 著者を代表して /武藏 博文
*佐藤宏一・石井美帆・野瀬五鈴『国語科スクリーニングテストの開発:聞く,読む,書く,推論する能力の認知及び発達の状態を探る』香川大学教育学部・平成18〜22年度文部科学省特別教育研究経費「特別支援教育促進事業」成果報告書,2011年,33−41頁.
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- 明治図書
- 実際の子どもたちへの指導からできた本なので、分かりやすかった。2021/3/550代・中学校教員
- 読み書きに困難のある生徒に対して客観的な分析のできる資料をさがしていたので助かりました。気に入らない点のところに価格と書きましたが、教育書はなかなか学校で購入してもらいにくいことや個人で持っておきたいにしても価格が全体的に高くなりがちなことがやはり購入の時に二の足を踏んでしまいます。2018/5/1840代・中学校教員
- スクリーニングについて悩んでいたので2017/9/24まゆぴ−