- はじめに
- T 子どもの表情の読み取り方
- 一 変わりつつある子どもたち
- 1 向山洋一氏の指摘
- 2 築地久子氏の指摘
- 3 理解しにくい子どもたち
- 4 子ども研究のポイント
- 【調査による子ども理解】
- 【対話による子ども理解】
- 【観察による子ども理解】
- 【日記による子ども理解】
- 二 子どもウォッチングのポイント
- 1 子ども理解を生かした学級づくりのスタート
- 【出会いの教育の重要性】
- 【まずは基本的なことを知る】
- 【子どもの長所・特技を取り上げる】
- 【ありのままを受け入れる】
- 【子どもから子どもを知る楽しい授業】
- 2 子どもウォッチングの技術
- 【行動観察法】
- 【ソシオメトリックテスト】
- 【文章完成法】
- 【ひとりぼっちの子調査】
- 【第二通知表】
- 三 子どもの良さに共感する
- 1 逆転発想を用いる
- 2 友達の良さに共感し合うときに生まれる学級集団四つの機能
- 【波及機能】
- 【連帯機能】
- 【温室化機能】
- 【序列化機能】
- 四 子どもの中に入る
- 1 徹底的に楽しい活動を仕組む
- 【縄文シチューを作ろう!】―授業の中で―
- 【ジャガイモフェスティバル】―保護者と―
- 【ラーメンを盛大に食べよう会】―古川学級伝説的行事―
- 2 笑顔を引き出す指導の技術
- 五 学級通信を綴る
- U 子どもの悩みと対話する
- 一 自分の思いを表出させる
- 1 目標を持ち徹底的に書く
- 【チャレンジ3・1・1】
- 【ロング作文で鍛える】
- 2 日記…子ども、その心模様
- 【家族編】
- 【自然編】
- 【生活編】
- 【学習編】
- 【学級編】
- 【その他】
- 二 授業を通して
- 1 どの子も自分の考えが言える学級へ
- 【気がついたこと発言】
- 【思いつき発言】
- 【イメージ発言】
- 【センテンス発言】
- 2 逆転現象のある授業を導入する
- 三 学級づくりを通して
- 1 登校拒否への対応
- 【待つことの大切さ】
- 【子どもに共感する】
- 【発想を転換する】
- 【訪問によるアプローチ法】
- 【姫路児童相談所からの報告】
- 【新しい時代の指導法を】
- 2 いじめと対決する
- 【力のある教材】
- 【『わたしのいもうと』の授業】
- 四 学校としての対応
- V すぐれた授業を支える学級経営
- 一 個を育てる指導―築地久子氏の授業及び学級経営―
- 1 築地久子氏の授業
- 2 子どもたちへのメッセージ
- 3 築地氏の段階指導
- 4 月別・自立へのポイント
- 二 感動ある学習の創造―鈴木恵子氏の授業及び学級経営―
- 1 有田和正氏の評価
- 2 鈴木恵子氏の授業
- 【並みはずれた二つの学習機能】
- 【求める授業像】
- 【表現する喜び】
- 【個が存在感を持つ指導】
- 3 鈴木学級のドラマ
- おわりに
はじめに
『戦後の子ども観を見直す』(明治図書)の中で、明石要一氏は次のように言われる。
戦後五〇年の間、子どもたちは大きく変わってきている。その変わりようはこれまで私たちが持っていた範躊を越えるものである。(P.1)
子どもが変わってきているという。
私自身、そう感じることがある。ストレートに感じる場合もあるが、何となく感じることも多い。
サークルでも、ここ二、三年、そのことに関する話題が多くなってきた。
雑誌などでも、学級の荒れを取り上げるケースが多々見られる。
授業中なんとなく落ち着きがない。私語が多い。すぐに手を出しけんかになる。欠席が多い。叱ると学校を休むので叱れない。すぐに文句を言い反抗する……。
挙げ句の果てには学級が成立しなくなり、授業ができないという。
以前、『授業研究21』の原稿を送稿したとき、江部満編集長に次のようなことを書いて同封した。
これからの授業研究は、まず子ども理解だと思うのです。学級経営がうまくいかなくて、いい授業ができるはずはないのです。
そういった意味も込めて、『子ども研究』とか『児童理解』とかいうような雑誌、創刊できないでしょうか。
折しも十年目、二度目の卒業生を送り出す前日、江部編集長から次のような内容の返信をいただいた。
・確かにこれからは子ども研究の時代である。
・「子ども研究」の雑誌は、執筆者やテーマとの関係で難しい。
・この件に関して、単行本の新しいシリーズを考えているので一冊書いてほしい。
とにかく驚いた。
私には、まだまだ一冊書く力などないからである。
ただ、逃げたくはなかった。これまでの十年間でやってきたことをまとめるチャンスでもあった。
「子どもの心をどうつかむか」という視点で、考えたり実践してきたことを精選し、まとめたのが本書である。変わる子どもたちの心をどうつかむか、いささかのお役に立てれば幸いである。
一九九七年一月一日 /古川 光弘
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