考える道徳を創る 中学校 新モラルジレンマ教材と授業展開

考える道徳を創る 中学校 新モラルジレンマ教材と授業展開

総合57位

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新作モラルジレンマ教材で考え、議論する道徳ができる!

教科化で「読む道徳」から「考え、議論する道徳」への転換が求められていますが、なかなか議論する道徳授業をつくるのは難しいものです。しかし、モラルジレンマ教材を用いれば、道徳的判断力を育てる白熱議論の授業ができます。新作教材を指導案付でお届け。


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ISBN:
978-4-18-245114-0
ジャンル:
道徳
刊行:
5刷
対象:
中学校
仕様:
B5判 176頁
状態:
在庫あり
出荷:
2018年9月25日
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目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 モラルジレンマ教材で「考える道徳・議論する道徳」を
1 「道徳教育カリキュラムの改善に関する研究」とモラルジレンマ授業
@ 道徳性の発達という視点
A モラルジレンマ授業の方法
2 「特別の教科 道徳」とモラルジレンマ授業
3 モラルジレンマ教材について
4 モラルジレンマ授業の授業過程
@ モラルジレンマ授業の基本型
A モラルジレンマ授業における発問計画
B 役割取得の機会と動作化
C モラルジレンマ授業とアクティブ・ラーニング
D モラルジレンマ授業における教師の役割
E モラルジレンマ授業の終わり方はオープンエンド方式で価値の一般化を行わない
5 3水準6段階の道徳性の発達段階
@ 3水準6段階の道徳性の発達
A 水平的発達と垂直的発達
B 道徳性の発達段階と教育のまとめ
第2章 新モラルジレンマ教材と授業展開
中学1〜2年
@ 事故の責任は誰に?
(C−(10)遵法精神,D−(19)生命の尊さ)
A 千歳川放水路計画
(D−(19)生命の尊さ,D−(20)自然愛護)
B 家族の絆
(C−(14)家族愛)
C メル友って,本当の友だち?
(B−(8)友情,信頼,C−(15)集団生活の充実)
D 母の信念
(D−(19)生命の尊さ,B−(6)思いやり,C−(14)家族愛)
E 引きこもっちゃダメ!
(C−(15)よりよい学校生活,B−(8)友情,信頼)
F マルクス=レーム 義足のスーパーアスリート
(C−(11)公正,公平,社会正義,B−(9)相互理解,寛容)
G おばあちゃんの黄色い花
(C−(10)遵法精神,C−(14)家族愛)
H 楽してガッテン!
(C−(11)公正,公平,C−(15)よりよい学校生活)
中学2〜3年
@ 文明の消滅〜失われた1万年〜
(C−(18)国際理解,C−(17)伝統と文化の尊重)
A サマナ湖のバス釣り
(D−(20)自然愛護,C−(10)遵法精神,C−(11)社会正義)
B 登録抹消? ドレスデン・エルベ渓谷
(C−(16)郷土を愛する態度)
C 残された水
(D−(19)生命の尊さ,C−(11)社会正義)
D 夢のリンゴ作り
(A−(4)希望と勇気,C−(14)家族生活の充実)
E 私にはできない。いや,きっとできる
(A−(4)克己と強い意志,C−(15)集団生活の充実)
F 正義の黄色
(C−(11)公正・公平,社会正義,C−(12)公共の精神)
G 団長なら団長らしくしろ!
(A−(4)克己と強い意志,C−(15)集団生活の充実)
H 最後の酸素ボンベ
(D−(19)生命の尊さ)
I ショーン・オキーフNASA長官の決断
(D−(19)生命の尊さ,C−(17)国を愛する態度)
中学3年〜高校
@ TMT〜聖地マウナ・ケアをめぐって
(A−(5)真理の探究,創造,C−(16)郷土の伝統と文化の尊重)
A 塾講師の悩み
(C−(11)公正,公平,社会正義,C−(15)よりよい学校生活,集団生活の充実)
B トラジット・ビザ
(C−(14)家族愛,C−(10)遵法精神)
C もうひとつの苦しみ
(C−(13)勤労)
D オザル首相の決断
(C−(18)国際理解,国際貢献,C−(17)国を愛する態度)
E 落語「一文笛」
(D−(19)生命の尊さ,C−(10)遵法精神)

はじめに

 平成27(2015)年3月,学習指導要領の一部改正があり,「特別の教科 道徳」,道徳科の誕生した。これにより,主人公の気持ちを考える道徳,「心情重視」の道徳から,「考える・議論する」道徳への質的な変換,つまり「移行」「改善」が図られることとなった。

 この改正に先立ち,「心のノート」は全面改訂されて,「私たちの道徳」(2014)となり,道徳教育用教材として全国の小学生,中学生に配られた。その中の46の「読み物教材」について,活用の仕方を紹介した文部科学省の「活用のための指導資料」を分析したところ,小学校,中学校いずれも,その授業モデルの「ねらい」はその殆どが「態度の育成」で占められた。「道徳的心情」は10%未満で,「判断」に至っては皆無であった(荒木,2016)。

 私たちは,「私たちの道徳」を「考える道徳」として活用できるように,『考える道徳を創る−「私たちの道徳」教材別ワークシート集 小学校編,中学校編』として,明治図書から2015年9月に出版した。私たちが用意した108の授業モデルについて,「ねらい」の構成(「判断」「心情」「意欲」「態度」)比率を調べたところ,小学校低学年では,その構成比が14%対22%対36%対28%,中学年で23%対20%対27%対30%,高学年で,25%対29%対31%対15%,中学校で43%対23%対16%対18%であった。道徳性の構成要素の中で「考える道徳」と最も関係の深い「ねらい」は「道徳的判断の育成」である。この調査結果から,中学生の教材について「判断」重視の授業モデルがワークシート等の工夫によって数多く用意されていたことが明らかにされた。その授業の特徴は,道徳的な価値について多様な視点から批判的,創造的に考え,討論を可能にするもので,主体的な「判断」を求めるものである(荒木,2016)。

 「私たちの道徳」に出てくる「読み物教材」は1つの正しい結末が示されたクローズエンドの物語であり,そこでは多様な思考や批判的思考を行うことが制限される。多様な道徳的価値を扱い,自由で創造的な道徳的思考を可能とする道徳的な教材が必要なのである。佐藤清文(2010,2012)や藤田英典(2014)たちはコールバーグが開発したオープンエンドの討論型授業が盛り込まれていない新しい道徳授業をいち早く批判している。

 私たちはモラルジレンマ授業を,コールバーグ理論に立って「モラルジレンマ(道徳的な価値葛藤)を集団討議によって解決していく過程を通して,児童生徒一人ひとりの道徳的判断力を育成し,道徳性をより高い発達段階に高めることをねらいとした授業」と定義し,実践研究を1983年頃から始め,その成果や効果を報告している(例えば,ブラッド(Blatt)効果,1/3段階の道徳性の発達的上昇,2/5段階の役割取得能力の発達的上昇など。荒木,2015)。また,この授業の「理論と実践」書を各種出版し,普及と啓蒙に努めてきた。その殆どが重版され,多いものに明治図書の『モラルジレンマ資料と授業展開』第2集−中学校編(1990年初版の30版)がある。これまでに開発したモラルジレンマ教材は小学校で124本,中学校で74本(高校5本含む)に達し,今ではモラルジレンマ授業は日本各地で広く実践されている。

 今回の出版は「モラルジレンマ資料と授業展開」の第3集に当たり,中学1〜2年,中学2〜3年,中学3年〜高校生と3区分をつけて編集した。基本は中学生を対象とした教材であり,どの学年でも利用可であるが,高校生はもちろんのこと大学生や大人まで,幅広く使っていただけるものである。また教材においては不易を大切にし,社会の変化や時代の要請に応じる必要がある。子どもたちには新しい時代,道徳の教科化に合わせた新しいモラルジレンマ教材が必要である。今回は,まさにその後押しを受けた出版でもある。

 用意した教材の中で落語「一文笛」はユニークである。2015年に亡くなられた人間国宝,桂米朝師匠の創作で,野本玲子氏によって桂米朝事務所とざこば師匠の許可のもと授業化された。野本氏は噺家の着物姿で扇子,座布団を使って授業を行ったが,米朝師匠のDVD映像を使うやり方もある。挑戦していただきたい。この他にも多種多様なモラルジレンマ教材を用意した。例えば,中学生活で起こりえるモラルジレンマ,執筆者自身が生活の中で苦しみ悩んだ問題,現在社会が決断を迫っている問題,人が人生をかけた仕事や生きがいとは何か,人生の岐路に立たされた時どう人は決断すべきか,アスリートや歴史上の人物を借りて考えさせたいもの等。

 「問題解決を単なる二項対立の図式にして,『あれかこれか』を選ばせるだけだと,モラルジレンマのような授業になってしまい,道徳的価値が混乱して望ましくない」と述べるモラルジレンマ授業批判(柳沼,2015)を目にしたが,モラルジレンマ授業の本質を見ていない極めて残念な発言である。私たちは,モラルジレンマ授業を続けることが,道徳性を発達させるだけでなく,児童生徒の道徳的感受性を高め,民主主義に立って行われる討論授業がお互いの人格を尊重する自尊感情を育て,道徳好きな子どもを生み,学校生活を生き生きと充実させることを数多くの実践的,実証的研究から明らかにしてきた(荒木,1997,荒木他,2011)。

 本書は荒木が編集を行ったが,松尾廣文(東京都中学校道徳教育研究会副会長,大森第六中学校長),荊木聡,堀田泰永各氏には,側面から編集を助けていただいた。記してお礼申し上げる。野口裕展,森川智之両氏は特に大量のモラルジレンマ教材を開発し,3月のはじめには届けて下さった。本当によかった。野口氏の場合,4月14日に熊本大震災で被災され,校長職のため執筆はとても無理な状況にあったし,森川氏も4月の校長昇進と重なり,やはり無理と思われる。一方で荊木氏のグループはこの執筆のために合宿研修まで行われた。今回16人の先生方が執筆に参加されたが,これ以外にも多くの先生方が関わって完成を見ました。お一人お一人名前を上げられないが,皆さまにはいろいろな形でのご苦労をお掛けしました。ここに厚くお礼申し上げる。最後になったが,明治図書編集の茅野現さんには,新しいモラルジレンマ教材の開発が「特別の教科 道徳」では何より必要だと訴えられて,出版を強く後押しして下さった。感謝し,お礼申し上げる。


  2016年9月5日   /荒木 紀幸

著者紹介

荒木 紀幸(あらき のりゆき)著書を検索»

大阪府に生まれる

1968年 同志社大学大学院博士課程心理学専攻中退

現在 日本道徳性発達実践学会理事長,兵庫教育大学名誉教授 博士(心理学)

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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    • 授業のやりかたまで書いていたので、授業で導入しやすかった。
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