考える道徳を創る 小学校 新モラルジレンマ教材と授業展開

考える道徳を創る 小学校 新モラルジレンマ教材と授業展開

BEST300

好評4刷

インタビュー掲載中

新作モラルジレンマ教材で考え、議論する道徳ができる!

教科化で「読む道徳」から「考え、議論する道徳」への転換が求められていますが、なかなか議論する道徳授業をつくるのは難しいものです。しかし、モラルジレンマ教材を用いれば、道徳的判断力を育てる白熱議論の授業ができます。新作教材を指導案付でお届け。


紙版価格: 2,460円+税

送料・代引手数料無料

翌日発送

電子書籍版: 未販売

電子化リクエスト受付中

電子書籍化リクエスト

ボタンを押すと電子化リクエストが送信できます。リクエストは弊社での電子化検討及び著者交渉の際に活用させていただきます。

ISBN:
978-4-18-245010-5
ジャンル:
道徳
刊行:
4刷
対象:
小学校
仕様:
B5判 152頁
状態:
在庫あり
出荷:
2018年9月25日
テキスト採用品見本お申込みはこちらから

目次

もくじの詳細表示

はじめに
第1章 モラルジレンマ教材で「考える道徳・議論する道徳」を
1 「道徳教育カリキュラムの改善に関する研究」とモラルジレンマ授業
@ 道徳性の発達という視点
A モラルジレンマ授業の方法
2 「特別の教科 道徳」とモラルジレンマ授業
3 モラルジレンマ教材について
4 モラルジレンマ授業の授業過程
@ モラルジレンマ授業の基本型
A モラルジレンマ授業における発問計画
B 役割取得の機会と動作化
C モラルジレンマ授業における教師の役割
D モラルジレンマ授業の終わり方はオープンエンド方式で価値の一般化を行わない
5 3水準6段階の道徳性の発達段階
@ 3水準6段階の道徳性の発達
A 水平的発達と垂直的発達
B 道徳性の発達段階と教育のまとめ
第2章 新モラルジレンマ教材と授業展開
小学1〜2年
@ 生きものをかおう
(D−(17)生命の尊さ,A−(5)努力と強い意志)
A おたんじょうかい,だれをよぼうかな
(C−(13)家族愛,B−(9)友情,C−(11)公正公平)
B とうもろこしができた
(C−(11)公正公平,社会正義)
C どんぐりはだれのもの?
(C−(13)家族愛,B−(6)思いやり)
D ばったとり
(B−(9)友情・信頼,C−(10)規則の尊重)
E 犬とてつぼうと
(D−(18)動物愛護,A−(1)責任感)
F だれとペアに?
(B−(6)親切,思いやり)
小学3〜4年
@ おかあさんとすてねこ
(C−(14)家族愛・家庭生活の充実,D−(18)自然愛護)
A ルールはルールだよ
(C−(12)公正・正義,B−(6)親切・思いやり,C−(11)規則の尊重,B−(9)友情・信頼)
B 決まりはないけれど
(C−(11)規則の尊重,C−(15)よりよい学校生活,集団生活の充実)
C 図書当番の仕事
(B−(6)親切,思いやり,C−(11)規則の尊重)
D ガーベラの折り紙
(A−(2)誠実,正直,B−(6)思いやり,D−よりよく生きる喜び)
E 「継ぎ獅子」とサトシの思い
(C−(16)伝統と文化の尊重,国や郷土を愛する態度,A−(4)個性の伸長)
F ぜったいひみつ
(B−(9)友情・信頼,A−(2)誠実,C−(11)規則の尊重)
小学5〜6年
@ 氷上のFI ボブスレー
(B−(8)感謝,D−よりよく生きる喜び,A−(5)希望と勇気,努力と強い意志)
A メダカとカダヤシ
(C−(12)規則の尊重,D−(19)生命の尊さ)
B 仲直り
(B−(10)友情,信頼)
C どうする?「あかつき」チーム
(A−(6)真理の探究,C−(14)勤労,C−(14)公共の精神)
D ニホンザルを守るということ
(D−(19)生命の尊さ,D−(20)自然愛護)
E ソメイヨシノとむかえる春
(C−(17)伝統と文化の尊重,D−(20)自然愛護)
F ぼくにまかせて
(C−(16)役割の自覚と社会的責任)
G 友香のために
(B−(10)友情,信頼,C−(12)規則の尊重)

はじめに

 平成27(2015)年3月,学習指導要領の一部改正があり,「特別の教科 道徳」,道徳科が誕生した。これにより,主人公の気持ちを考える道徳,「心情重視」の道徳から,「考える・議論する」道徳への質的な変換,つまり「移行」「改善」が図られることとなった。

 「心のノート」は全面改訂され,「私たちの道徳」(2014)として全国の小・中学生に配布。「活用のための指導資料,文科省」に従って,「読み物資料」の「ねらい」を分析したが,小・中学校ともに「態度の育成」に集中し,「道徳的心情」は10%未満,「判断」に至っては皆無。

 私たちは,この「私たちの道徳」を「考える道徳」として活用できるように,明治図書から,『考える道徳を創る−「私たちの道徳」教材別ワークシート集 小学校編,中学校編』を昨年,出版した。私たちが用意した108の授業モデルについて,「ねらい」の構成(「判断」「心情」「意欲」「態度」)比率を調べた(小学校低学年でその構成比は14%対22%対36%対28%,中学年で23%対20%対27%対30%,高学年で,25%対29%対31%対15%,中学校で43%対23%対16%対18%)。道徳性の構成要素の中で「考える道徳」と最も関係の深い「ねらい」は「道徳的判断の育成」である。この調査(2016)から明らかになったことは,ワークシート等の工夫如何で判断重視の授業モデルが作れることである。その特徴は道徳的な価値について多様な視点から批判的,創造的に考え,討論を可能にするもので,主体的「判断」を求めるものである。

 しかしながら,「私たちの道徳」を教材として「考える・議論する道徳」を実践することは難しいと言わざるを得ない。「私たちの道徳」に出てくる「読み物教材」は1つの正しい結末が示されたクローズエンドの物語であり,そこでは多様な思考や批判的思考を行うことが制限される。多様な道徳的価値を扱い,自由で創造的な道徳的思考を可能とする道徳的な教材が必要なのである。佐藤清文(2010,2012)や藤田英典(2014)たちはコールバーグの開発したオープンエンドの討論型授業が盛り込まれていない新しい道徳授業をいち早く批判している。

 私たちはモラルジレンマ授業を,コールバーグ理論に立って「モラルジレンマ(道徳的な価値葛藤)を集団討議によって解決していく過程を通して,児童生徒一人ひとりの道徳的判断力を育成し,道徳性をより高い発達段階に高めることをねらいとした授業」と定義して実践研究を1983年頃から始め,その成果と効果を報告した(例えば,ブラッド(Blatt)効果,1/3段階の道徳性の発達的上昇,2/5段階の役割取得能力の発達的上昇など。荒木,2015)。また,この授業の「理論と実践」書を各種出版し,普及と啓蒙に努めてきた。殆どが重版されているが,多いものに明治図書の『モラルジレンマ資料と授業展開』小学校編(1990年初版の27版)がある。これまで開発したモラルジレンマ教材は小学校で124本,中学校で74本に上る。

 今回の『新モラルジレンマ教材と授業展開』は『モラルジレンマ資料と授業展開』の第3集に当たる。この小学校編は小学1〜2年,小学3〜4年,小学5〜6年と3区分をつけて編集した。小学生を対象としたモラルジレンマ教材であるが,高学年対象の教材の多くは中学生や高校生まで幅広く活用でき,また中学年教材で3〜6年生と区分したものは3・4年生と5・6年生で道徳的な見方が違うことを実感できる教材でもある。いずれもこのような学年上の区分は道徳性の発達を基本軸に教材が構成されていることによる。教材作成においては道徳的価値における不易を大切にしなければならない。今回,時を経ても色あせないモラルジレンマ教材,「お母さんとすてねこ」や「ぜったいひみつ」等を取り入れた。また教材は社会の変化や時代の流行に応じなければならない。子どもたちには新しい時代,道徳の教科化に合わせた新しいモラルジレンマ教材が必要である。今回の出版はまさにそのことを反映している。

 今回の企画について日本道徳性発達実践学会や道徳性発達研究会の仲間に呼びかけたところ,教職科目「道徳教育の指導法」などを担当されている多くの先生方のご協力を得ることができた。このため,これまでとは一味違うおもしろい発想の中で創作されたモラルジレンマ物語がいくつも誕生した。社会科や理科など他教科との連携を意識した教材もある。一方で,子どもたちが学校で遭遇する問題の解決を目指したものやこの時期だからこそ必要な経験だとの教育意図で開発したものがある。それらの中にあって異色なのが「氷上のF1 ボブスレー」である。この主人公,桧野真奈美さんは中学時代はスピードスケート,高校では陸上競技で活躍されたが,右膝靱帯を断裂し選手生命を断たれた。短大でボブスレー選手発掘テストに合格,パイロットの訓練を受け,日本女子初の五輪代表となる。その後再び右膝靱帯を断裂し,数度の手術と長期リハビリを経て復帰,現在も活躍中である。この女性アスリートの生き様に感動した執筆者楜澤氏が,人生の岐路に立たされた桧野さんがどのように決断したかを,直接本人に取材し,また,授業にも立ち会ってもらいながら,実践を繰り返して教材として完成させた。

 「問題解決を単なる二項対立の図式にして,『あれかこれか』を選ばせるだけだと,モラルジレンマのような授業になってしまい,道徳的価値が混乱して望ましくない」と述べるモラルジレンマ授業批判(柳沼,2015)を目にしたが,モラルジレンマ授業の本質を見ていない極めて残念な発言である。私たちは,モラルジレンマ授業を続けることが,道徳性を発達させるだけでなく,児童生徒の道徳的感受性を高め,民主主義に立って行われる討論授業がお互いの人格を尊重する自尊感情を育て,道徳好きな子どもを生み,学校生活を生き生きと充実させることを実践的に,実証的に明らかにしてきた(荒木,1997,荒木他,2011)。

 本書の編集に当たって堀田泰永氏に助けていただいた。また執筆者の先生とは何度も連絡を取り合いながら教材の完成となった。執筆いただいた16名の先生方にはいろいろな形でご苦労をお掛けしました。皆さまにここに厚くお礼申し上げる。最後になったが,明治図書編集の茅野現さんには,新しいモラルジレンマ教材の開発が「特別の教科 道徳」では何より必要だと訴えられて,出版を強く後押しして下さった。感謝し,お礼申し上げる。


  2016年9月10日   /荒木 紀幸

著者紹介

荒木 紀幸(あらき のりゆき)著書を検索»

大阪府に生まれる

1968年 同志社大学大学院博士課程心理学専攻中退

現在 日本道徳性発達実践学会理事長,兵庫教育大学名誉教授 博士(心理学)

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • モラルジレンマの授業をしたいと思い、とても参考になりました。
      2018/8/29アツシ
    • 中学校版を既に持っていたので、小学校版が欲しかった。両方ともすぐ授業で使えるようになっていて、良い。
      2017/6/330代・中学校教員
    • 資料が充実していてよかったです。
      2017/3/1430代・小学校教員
読者アンケート回答でもれなく300円分のクーポンプレゼント!

ページトップへ