高校国語と探究デザイン
カリキュラムづくりから授業アイデアまで

高校国語と探究デザインカリキュラムづくりから授業アイデアまで

わかる、できる、最前線の学び

言語能力育成の「要」と位置づけられた国語科において、真に求められる探究学習を実現するための手引き。選択科目に応じた実践事例から、カリキュラム・マネジメント、教科間の組織的連携まで、国語科のウチとソトから探究する力を育む刺激的なアイデアを多数掲載。


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PDF
ISBN:
978-4-18-244126-4
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
高校
仕様:
A5判 176頁
状態:
在庫あり
出荷:
2025年9月16日

もくじ

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まえがき
第1部 世界とつながる探究と国語科
T 総論 探究と国語/国語と探究
/幸田 国広
U 座談会 実社会とつながる「探究」
/幸田 国広・廣瀬 志保・吉澤 陽・上月 さやこ
第2部 実践のフロンティア
T 探究学習を進めるカリキュラムづくりガイド
――「要」としての国語科をどうつくるか
1 「情報の扱い方」をどう生かすか
――国語科のウチを豊かに,ソトへと広げる
/後藤 志緒莉
2 「話すこと・聞くこと」と探究学習
――基盤としての「話すこと・聞くこと」
/小川 一美
3 「現代の国語」を基点として探究とつながる
/長澤 元子
U 国語科における探究的な学び
――国語科のウチから
1 「論理国語」における探究的な学び
――ICTを活用したポッドキャストづくり
/笠原 諭
2 「文学国語」における探究的な学び@
――批評と創作を連携させる短歌の学び
/秋吉 和紀
3 「文学国語」における探究的な学びA
――文学は戦争をどのように表象するのか
/高松 美紀
4 「国語表現」における探究的な学び
――進路選択に働く探究的態度の育成
/田中 洋美
5 「古典探究」における探究的な学び@
――時代を貫く物事の本質を探る
/沖 奈保子
6 「古典探究」における探究的な学びA
――知られざる「浦島太郎」の世界
/大元 理絵
V 他教科等における探究学習と言語活動・言語能力
――国語科のソトから
1 地理の探究学習に求められる言語活動・言語能力
――社会課題と向き合う探究的な学び
/河合 豊明
2 「総合的な探究の時間」に求められる言語活動・言語能力
――RESASを用いた地域探究の試み
/上門 大介
3 情報科との連携で進める探究学習
/梅沢 崇
4 学校図書館と探究学習
――探究の場としての学校図書館の役割
/杉山 和芳
あとがき
/幸田 国広
執筆者一覧

まえがき

 「探究」を本丸とする教育課程において,カリキュラム・マネジメントの視点はこれまで以上に重要である。前改訂における「言語活動の充実」の方針によって,国語科だけでなく全ての教科等において言語活動を通して「思考力,判断力,表現力等」を育成することが義務教育を中心に一定程度浸透した。そして,現行学習指導要領においては全ての教科等で言語能力を育成することが目指されることとなった。言語能力育成の「中核的な教科」「要」と位置づけられた国語科の在り方は,現行教育課程の実現を大きく左右することになる。また,カリキュラム・マネジメントが,書面上の絵に描いた餅ではなく,実効性のあるものとして機能するためにも資質・能力の基盤をなす言語能力の育成はきわめて重要になってくる。

 つまり,現行教育課程においては,「国語科における探究学習」だけでなく「探究学習における国語科」の両面を考えなければならない。

 近年,ようやく高校国語科でも「探究」の語が冠せられた実践が目立つようになった。一斉講義型の授業から脱しようとしている機運の高まりと見ることもできるが,その内実は,必ずしも十分なものとも言えない。残念ながら,とりあえず学習者の活動を取り入れたことをもって,「探究」と呼んでいるような事例も少なくない。あるいは,実践に向けて新たな一歩を踏み出す自信が持てないといった声も聞こえてくる。

 そこで,用語の流行だけにとどまらず,真に求められる探究学習を実践し,「社会に開かれた教育課程」を実現するための手引きとして,本書を編んだ。本書は,授業実践事例の紹介のみならず,年間計画づくりやカリキュラム・マネジメント,教科間の組織的連携までを視野に,国語科のウチとソトから探究する力を育むための豊かで刺激的な実践アイデアを提供する。


 本書は四つのパートで構成している。


パート1(第1部T・U)…総論において,教育課程全体の「探究」と国語科における「探究的な学び」について,カリキュラムの視点から理論的に解説している。また,座談会では,国語科のソトだけでなく学校のソトまでを見据えて,探究学習の現在と「これから」について有識者との突っ込んだ議論を掲載した。この座談会からは,高等学校の「探究」をめぐる課題と展望を見通すことができる。

パート2(第2部T)…国語科と探究学習とのつなげ方,他教科等との関連について,「情報の扱い方」の役割,「話すこと・聞くこと」の計画的な指導,「現代の国語」の位置づけ等を,実践例等を踏まえてわかりやすく解説している。

パート3(第2部U)…「論理国語」「文学国語」「国語表現」「古典探究」の全ての選択科目について,国語科における探究的な学びの単元実践事例を紹介している。いずれも魅力的で国語科における「探究」の姿がよくわかる実践事例ばかりで,明日の授業づくりの手がかりが得られるだろう。

パート4(第2部V)…他教科や「総合的な探究の時間」,学校図書館といった,国語科のソトからの提言・実践を掲載している。ソト側からの視点を得ることは,国語科そのものも豊かさを持ち,さらに「要」としての役割も果たせるカリキュラムづくりに役立つ。


 以上のように,本書には,国語科における探究的な学びをどのように考えればよいのか,そして,国語科が「要」として他教科等における探究学習とどのように関われば良いのかについて,多くのヒントが散りばめられている。「これから」の国語教育とカリキュラム・デザインを考えようとする先生方にとっての良きハンドブックとなることを願う。


  2025年4月   /幸田 国広

著者紹介

幸田 国広(こうだ くにひろ)著書を検索»

1967年,東京都生まれ。早稲田大学教育・総合科学学術院教授。博士(教育学)。約20年にわたって高校教諭として勤務の後,東洋大学准教授を経て現職。全国大学国語教育学会理事,日本国語教育学会理事,国語教育史学会運営委員長。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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