- はじめに
- 序章 令和型不登校とは
- 問題は子ども?学校?
- 令和型不登校の出現
- コロナ禍で何が変わったのか
- 予防には何が必要か
- どう対応すればよいか
- 子どもと大人の思いを分けて考える
- 第1章 不登校対応マップ
- 先が見えない苦しみ
- 不登校回復マップ子どもバージョン
- 不登校対応マップ大人バージョン
- もし地図がなければ
- 第2章 予防と前兆期の対応
- ラストストロー現象
- 孤立の中で消耗する前兆期
- 孤立の中で起きる消耗スパイラル
- 孤立をキャッチする
- 孤立による消耗スパイラルを防ぐ
- 前兆期に次の一手を打っておく
- 孤立を緩和する言葉かけ(会話例)
- 家庭での接し方
- 家庭での休ませ方
- 第3章 第1ステージへの対応
- 第1ステージの子どもの悪循環
- 第1ステージの大人の悪循環
- スタートAの子ども
- スタートAの大人
- 人の目が気になって行けない子どもたち(会話例)
- 人が普通に出来ることが難しくて行けない子どもたち(会話例)
- あきらめではなく受容へ
- 子どもを傷つけ関係がこじれたときは
- プレイフルに自分自身を語らせる(妖精カード)
- 第4章 第2ステージの支援
- 第2ステージの子どもの好循環
- 第2ステージの大人の好循環
- スタートBの子ども
- スタートBの大人
- 心の充電を促す(会話例)
- スモールステップで挑戦を促す(会話例)
- 第5章 学校に行けない理由
- 気持ちと身体の関係
- エスケイプモード
- 戦闘モード
- フリーズモード
- 不登校は身体の誤作動
- 第6章 不安と負担を減らす学級づくり
- 居心地とは
- プレイフル,ハートフルな学校に
- 人間関係の不安を緩和するために
- 個人によって違いがある不安と負担(会話例)
- より所となるきまり
- 安心―不安のグラデーション
- スルーする力を高める
- 負担を緩和するために
- 第7章 家庭で育む自信と柔軟さ
- 湧き上がる心配をぶつけない
- 少しだけ楽観主義者になる
- 不安で一杯の子どもに
- 子どもの自信を育むために
- 子どもを操作しない
- 子どものテリトリーを侵害しない
- 子どもの柔軟さを育むために
- 第8章 やり方よりもあり方
- 真面目過ぎる大人は子どもを苦しめる
- 欲求は伝染する
- 不登校の子どもと相性の悪い大人のタイプ
- あれもこれも本当の自分
- 子どもの願いと大人の願いを分けて考える
- 世界の美しさと自分自身の価値を教える
- おわりに
はじめに
令和になり,不登校の子どもは爆発的に増えています。しかし子どもを支える専門的な知識や技能を持っている大人が,急速に増えているわけではありません。
日本全国,あちこちで多くの子どもが,「なんで行かないんだ」と責められたり,「怠けているだけなんだ」と自分を責めたり……。そんな様子が目に浮かびます。
「なんとしてでも学校に行かせよう。」
そう大人が考えるのは,心の中に不安があるからです。しかし,
「どうしても学校に行けない。」
そう考える子どももまた心の中に不安を抱えています。
そして両者の不安は相まって,より増大します。不安は怒りや落ち込みへと変化し,余計に子どもはすくんでしまいます。
本書では先の見えない状態に光が差し込むように,「不登校対応マップ」という地図を考案しました。その地図は大人用と子ども用があり,重なり合うように出来ています。子どもだけを変えようとするのではなく,大人が先に変わる。そのことによって,両者がこの地図を頼りに先に進んでいくことができます。
不登校は
つまずいた子どもと
困っている保護者と
未熟な教師がいるだけ
ただそれだけ
そう思ってこれまで不登校の子どもにかかわり続けてきました。もちろん未熟な教師というのは私自身を指す言葉です。
30年あまりの教師生活の中で,たくさんの不登校生徒に接し,対応のコツのようなものが見えてきました。
それは誰も責めないということです。
教師が子どもを責めたり,保護者が教師を責めたりといった中で,子どもがポジティブに動き出すのは難しいものです。かけがえのない子どもの人生の一時期を笑顔で一緒に歩んでいくことが大切です。その中で子どもの自信は育まれていきます。
不登校は「今日の自信」と「明日の不安」が天秤のようにゆれ,不安が大きく重くなった状態です。大人が暗く,つらそうな表情でいると,子どもは学校に行っていないせいだと自分を責めることでしょう。それは子どもの自信やエネルギーを奪います。
原因を取り除くという引き算の発想ではなく,一時的に枯渇してしまったものを加えていくという足し算の発想が必要です。
本書は「不登校対応マップ ゼロからわかる予防と支援ガイド」というタイトルをつけさせていただきました。
時には考えを白紙に戻し,時には180度転換させ,ゼロから柔軟に本書を読み進めていただけると幸いです。
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- 明治図書
- 今の自分の問題意識と重なりました。2024/8/530代・小学校教員
- 不登校の親としてももっとも同僚と一緒に考えたいテーマが「不登校」です。でも、この本をベースにして、不登校で苦しむ子ども、保護者、同僚の力になりたいです。2024/6/1130代・小学校生徒指導主任