- はじめに
- 第1章 これからの教育の方向と国語における「用語」「方法」「原理・原則」
- ―論理的に考えるための国語のツボ―
- 1 今,国語の授業は?
- 2 これからの教育の方向は
- 3 「考える国語」とは?
- (1) 「考える」とはいったい何なのか
- (2) カギは「基礎・基本」の習得と考えるための「術」を与えること
- ―「考える国語」実現に必要なこと―
- (3) 重視されているのは知識理解の質と汎用的な力
- ―次期学習指導要領との比較―
- (4) これからの時代にこそ,「考える国語」が必要
- ―子どもたちが生涯使う力を育てる―
- 4 「考える国語」の問題解決学習
- (1) 国語の問題解決学習
- (2) 「思考のズレ」からの問題解決学習
- (3) 「問い」の条件
- (4) 「問い」をつくるための課題
- (5) 「問い」をつくるための事例
- 第2章 具体例でよく分かる!「考える国語」を実現する指導のワザ
- ―知識・技能にもとづいた国語授業づくり―
- 物語文編
- 内容を一文で書いてみる
- 登場人物をとらえる
- 心が大きく変わる「中心人物」
- 「対人物」は一人だけ?
- 一人称の特徴は?
- 登場人物の心の動きをつかむためには?
- 視点の移動を見逃すな!
- クライマックスを探そう
- 視点の転換からクライマックスをとらえる
- 主題の読み取り方
- 結果と原因のつながりをとらえるには?
- 題名から読み解こう
- 説明文編
- 形式段落・意味段落の違いをおさえよう
- 意味段落は主語に着目して
- 用語をきちんと区別する
- 筆者の主張の探し方
- 3つの文型を意識しよう
- 要点のまとめ方
- 要約文のつくり方
- 要旨を探すためには
- 「問い」と「答え」の探し方
- 意見・理由・事実はどう区別する?
- 接続語に着目すると筆者の主張が分かる
- 詩編
- 音を正しく数える―音数と文字数の違い―
- 詩の仕掛けを知ろう―音数を数えて―
- さまざまな技法@ 技法と効果
- さまざまな技法A 技法と効果を考えて
- さまざまな技法B 技法と効果から読む
- さまざまな技法C リフレイン(繰り返し)の技法
- さまざまな技法D オノマトペ(擬声語・擬態語)のおもしろさ
- きまりを見つける―きまりを見つけて続きを考えよう―
- きまりを使って@ 創作してみよう
- きまりを使ってA 作品を読む
- 俳句・短歌編
- 俳句・短歌のきまり
- 俳句ならではのきまりとは―「季語」と「切れ字」―
- 短歌ならではのきまりとは
- 「枕詞(まくらことば)」を使いこなそう
- 季語の奥深さを知ろう
- 五感を通した感動を込める
- 俳句・短歌をつくってみよう@
- 俳句・短歌をつくってみようA
- 漢字編
- 漢字学習のスタートは部品を分けることから
- 部首の見つけ方は?
- 成り立ちをしっかりおさえる
- 書き順のきまりを知れば迷わない?
- おさえておきたい筆順の原理・原則
- 送りがなの原理・原則
- おわりに
はじめに
「ツボ」には,物事の大切なところ,急所,要所という意味があります。国語の学習にもこのような「国語のツボ」が存在します。それが「用語」「方法」「原理・原則」です。本書は,このような“ツボ”を習得し活用する国語力の育成を目指しています。
本書の「国語のツボ」は,南日本新聞社(鹿児島県)の「オセモコ」紙面で1年3ヶ月(2016年1月〜2017年3月)毎週金曜日に連載してきたものです。「オセモコ」ということばは,鹿児島弁の「オセ」(おとな)と助詞「も」と子どもを意味する「コ」が合わさってできたことばです。よって,国語の内容に「大人も子どもも楽しむ」という意味を持たせ,次のような願いを込めて連載をスタートさせました。
漢字を覚えられない,作文がうまく書けない,いい俳句が思い浮かばない――。国語を難しい,つまらないと感じることはありませんか?「ジョニー」こと筑波大学附属小学校(東京都)の白石範孝先生が例題をもとに,国語をよくわかって,面白くなる“ツボ”を教えます。
「国語は算数のようにはっきりとした答えがなくて,あいまい」。国語を苦手に思っている人は,そう思っているかもしれません。でも,国語にもきまりがあり,上達する方法や技があります。
例えば,漢字の書き順はきまりを覚えれば,まだ習っていない字でも分かります。文章も段落分けなどのきまりを理解すれば読みやすく,俳句も同じ音数の言葉を前後に入れ替えるなどの技で,いくらでもつくれるようになります。
そんな国語のきまりや技といった“ツボ”を紹介します。国語を学ぶ面白さを味わってください。
(南日本新聞2016年1月1日「国語のツボ」第1回から引用)
国語を学ぶことの意義は,子どもたちが生涯にわたって国語を楽しむことができる「生涯国語人」に育っていくことだと思います。そのためには,「国語を楽しむ」姿として次のような姿を目指しています。
◆生涯読書人……生涯にわたって読書を楽しむことができる人
◆生涯記述人……生涯にわたって書くことを楽しむことができる人
◆生涯対話人……生涯にわたってさまざまな対話を楽しむことができる人
人が生きていく中で「読書をすること」「書くこと」「対話すること」は,避けて通ることのできないことです。これらの活動の中で自分が豊かな表現者となるために必要なことは,基盤となる知識,技能を身につけること,さらにこの知識,技能を活用して論理的に思考し表現することだと思います。このような姿で生涯にわたって国語を楽しむことができる人が「生涯国語人」と考えています。
本書では,「生涯国語人」としての国語の基盤となるいくつかの知識,技能を“国語のツボ”として,第1章では“ツボ”を活用した「考える国語」の授業づくりについて,そして,第2章では,「国語のツボ」としての「用語」「方法」「原理・原則」を具体的に説明しています。
ここで取り上げた「国語のツボ」は,ほんの一部です。本書を機会に国語の「国語のツボ」としての「知識・技能」について興味を持っていただけましたらうれしいです。そして,皆様が国語の楽しさを味わい,豊かな表現者となられることを願っております。
本書を出版するにあたり,連載という場をいただき,長い間ご助言をいただきました南日本新聞社の岩松マミ読者センター長さんを始め,連載を直接担当してくださいました中原勝巳様,平川順一朗様に感謝申し上げます。
以上のように本書の出版にあたり,多くの方にお世話になりました。感謝申し上げます。本当にありがとうございました。
2018年8月 明星大学常勤教授 /白石 範孝
それまで,詩の授業ではどのように指導したらよいかいまひとつ分かりませんでしたが,本書を読んでイメージをふくらませることができました。
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