21世紀に生きる読者を育てる
第三項理論が拓く文学研究/文学教育 高等学校

21世紀に生きる読者を育てる第三項理論が拓く文学研究/文学教育 高等学校

新刊

総合22位

新学習指導要領で求められる資質・能力を育てる授業づくり

「こころ」「羅生門」「舞姫」「山月記」ほか、高等学校国語における定番教材を、〈主体〉〈主体がとらえた客体〉〈客体そのもの〉の三項で捉え正しく読むとともに、作品研究・教材研究にとどまらず、実際の授業構想にまで落とし込んでその授業化を提案するものである。


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ISBN:
978-4-18-219610-2
ジャンル:
国語
刊行:
対象:
その他
仕様:
A5判 288頁
状態:
在庫あり
出荷:
2018年12月17日
新学習指導要領解説書籍
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目次

もくじの詳細表示

まえがき
本書の使い方
こころ
[作品研究]『こゝろ』の掛け橋/〈読み〉の革命―新しい作品論のために―
[教材研究]「こころ」の教材研究
[授業構想]「こころ」の授業構想
羅生門
[作品研究]『羅生門』の〈読み〉の革命―〈近代小説〉の神髄を求めて―
[教材研究]「羅生門」の教材研究
[授業構想]「羅生門」の授業構想
舞姫
[作品研究]『舞姫』の〈語り手〉「余」を相対化する〈機能としての語り手〉―二人の女性と識閾下の太田豊太郎―
[教材研究]「舞姫」の教材研究
[授業構想]「舞姫」の授業構想
山月記
[作品研究]『山月記』再考―自閉の出口/批評の《入口》―
[教材研究]「山月記」の教材研究
[授業構想]「山月記」の授業構想
神様 2011
[作品研究]川上弘美「神様 2011」が描き出すもの―「《神》の非在」と対峙する「わたし」―
[教材研究]「神様」「神様 2011」の教材研究
[授業構想]「神様 2011」(「神様」「神様 2011」)の授業構想
[作品研究]村上春樹「鏡」における自己と恐怖―その克服への希望と危険性―
[教材研究]「鏡」の教材研究
[授業構想]「鏡」の授業構想
総論 第三項理論が拓く文学研究/文学教育
学問として〈近代小説〉を読むために
〈困った質問〉に向き合って―文学作品の「教材研究」の課題と前提―
第三項理論に基づいた授業の姿―問い続ける学習者を育てる―
あとがきに代えて
―ゼノンの逆説を解放する〈近代小説〉の神髄―

まえがき

 わたくしたちは、文学研究、とりわけ近代文学研究と国語科教育の実践/研究の停滞・混迷を超え、ポスト・ポストモダンの時代を拓いていくために本書を編みました。田中実氏の第三項理論による〈新しい作品論〉の提起を前提にした「教材研究」と「授業構想」によって、〈新しい作品論〉の提起を教育と研究の現場に開いていこうと考えました。第三項理論とは、〈主体〉と〈客体〉の二項による世界観認識ではなく、〈主体〉と〈主体が捉えた客体〉と了解不能の〈客体そのもの〉の三項による世界観認識のことです。この理論は、物語・小説の読書行為(「読むこと」の授業)の根拠と、〈近代小説〉と〈近代の物語文学〉の違い(それぞれの教材価値)についての決定的な提起として、展開していきます。

 周知のように、小学校・中学校の次期学習指導要領が二〇一七年三月に、高等学校のものは二〇一八年三月に告示されました。次期学習指導要領では、各教科の目標の前提として「見方・考え方」が提示されています。「国語科」の「目標」は「言葉による見方・考え方を働かせ」と書き出され、このことは「対象と言葉、言葉と言葉との関係を、言葉の意味、働き、使い方等に着目して捉えたり問い直したりして、言葉への自覚を高めること」(文部科学省『解説』)であるとされています。ここで、まず注視しなければならないことは、「対象」が〈主体が捉えた客体〉であるにもかかわらず、〈客体そのもの〉の如く把握されてしまっていることです。こうした実体主義には初歩的な、そして根源的な誤謬が潜在しています。この事態は、「国語科」の始まりとともに前提とされてきた事態なのですが、今日まで看過され続けてきました。このことが、ときに正解到達主義の現れとなり、ときに正解到達主義批判の現れとなり、両者の混濁、エセ価値相対主義の現れの源泉になってきました。ナンデモアリという事態です。この二項論は「国語科」を停滞させ、腐敗させてきました。高校「国語科」の科目の再編成においても汎用的な「資質・能力」の育成が前面に出されていますが、事態は放置されています。こうした事態は文学研究にも及んでいます。「読むこと」の根拠と方法をめぐる混迷として、です。

 第三項理論は〈客体そのもの〉の〈影〉としての〈本文〉の成立を課題にしています。次期学習指導要領はこれからの時代を「予測困難な時代」であるとし、こうした事態に応える「資質・能力」を「国語科」にも求めているのですが、そうであるならば、第三項理論によって拓かれる世界観認識を等閑視していていいのでしょうか。こう問いかけたいと思います。世界の同時存在(パラレルワールド)という事態にいかに向き合うのかが、今日の激しい《神》と《神》の闘いの時代において問われているからです。〈自己倒壊〉と〈主体〉の再構築が課題とされているからです。

 本書の刊行が、第三項理論によって拓かれる〈読み〉の新たな地平との対話の呼び水となっていくことを願っています。学問としての文学研究/文学教育研究、「国語科」にはこうした問い直しが求められています。なお、本書は科学研究費の助成を得た研究(基盤研究(C)(一般)16K04711)の成果を基にしたものです。この研究は、田中実、難波博孝、齋藤知也、山中正樹、中村龍一、相沢毅彦、そして須貝千里の、七名を中心にして進められてきました。


   /須貝 千里

著者紹介

田中 実(たなか みのる)著書を検索»

都留文科大学名誉教授。1946年福岡県柳川市生まれ。1976年,立教大学大学院博士課程満期退学,同年私立武蔵高等学校教諭,1978年より都留文科大学国文学科に奉職。

須貝 千里(すがい せんり)著書を検索»

山梨大学名誉教授。1950年東京都生まれ。文学研究と国語教育研究の相互乗り入れの立場から,国語教育史,文学教育論の研究に取り組む。

難波 博孝(なんば ひろたか)著書を検索»

広島大学大学院教育学研究科教授,博士(教育学)。1958年兵庫県姫路市生まれ。1981年に京都大学大学院言語学専攻修士課程を修了。私立報徳学園中学校・高等学校を経て,神戸大学大学院教育学研究科修士課程国語教育専攻修了。愛知県立大学を経て,現在に至る。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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