- はじめに
- 第1章 多様なニーズのある子どもへの教科指導上の配慮ポイント
- 特別支援教育の知見を生かした指導
- 多様な教育的ニーズのある子の教科指導上の配慮と各教科の「見方・考え方」
- 授業のユニバーサルデザインの視点を生かした指導
- 教科指導の困難さの背景要因を明確にする
- 重層的な視点を踏まえた通常の学級の指導・支援
- 第2章 多様なニーズのある子どもを包摂する学級経営ポイント
- 多様な子どもたちを包摂する学級経営の5つの視点
- 視点1 「多様性」を資源にする
- 視点2 「柔軟性」を調整する
- 視点3 「対等性」を維持する
- 視点4 「協働性」を高める
- 視点5 「共感性」を高める
- 第3章 困難さと背景要因に応じた学習支援
- 国語
- 国語 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 読むことへの支援例@
- 〜登場人物の心情を想像するのが苦手〜
- 読むことへの支援例A
- 〜文章を何度読んでも理解することが苦手〜
- 読むことへの支援例B
- 〜文章を正しく流暢に音読することが苦手〜
- 書くことへの支援例
- 〜文字や文章を書くことが苦手〜
- 話すこと・聞くことへの支援例
- 〜人前で話すことが苦手〜
- 社会
- 社会 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 必要な情報の選択や整理への支援例
- 話合い活動で考えを伝えることへの支援例
- 自らの考えをまとめることへの支援例
- 算数
- 算数 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 数のまとまりや量感を捉えることへの支援例@
- 〜「10より大きい数」の学習で数の構成や意味理解が苦手〜
- 数のまとまりや量感を捉えることへの支援例A
- 〜「分数」の学習で分数の大小や構成理解が苦手〜
- 数のまとまりや量感を捉えることへの支援例B
- 〜単位の関係や換算の仕方を捉えることが苦手〜
- 問題文から数量の関係を読み取ることへの支援例
- 手順と意味を結びつけて理解することへの支援例
- 理科
- 理科 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 実験の意味を理解しながら取り組むことへの支援例
- 予想したり結果から考えたりすることへの支援例
- 単元のまとめをレポート作成することへの支援例
- 生活科
- 生活科 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 活動の見通しを立てることへの支援例
- コミュニケーションが主となる活動への支援例
- 音楽
- 音楽 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 人前で歌うことへの支援例
- 楽器を演奏することへの支援例
- 音楽鑑賞をすることへの支援例
- 図工
- 図工 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 造形遊びをすることへの支援例
- 〜造形遊びで表したいものを見つけることが苦手〜
- 絵や立体,工作に表すことへの支援例
- 〜思ったことを絵や立体,工作に表すことが苦手〜
- 鑑賞することへの支援例
- 〜鑑賞する活動で自分の思いを伝えることが苦手〜
- 家庭科
- 家庭科 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 計画・実践することへの支援例
- 協働・コミュニケーションすることへの支援例
- 体育
- 体育 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 運動のコントロールへの支援例
- 状況の判断への支援例
- 走る・跳ぶことへの支援例
- もぐる・浮くことへの支援例
- 気持ちのコントロールへの支援例
- 外国語・外国語活動
- 外国語・外国語活動 見られがちな苦手さへの支援ポイント
- 話すことへの支援例
- 〜人前でのコミュニケーションが苦手〜
- 書くことへの支援例
- 〜アルファベットを用いて英単語や英文を書くのが苦手〜
- 他者とのコミュニケーションへの支援例
- 〜学習に参加することが苦手〜
- おわりに
はじめに
通常の学級における特別支援教育の重要性が増していることは,言うまでもありません。全ての学校で,そして全ての学級で特別支援教育が必要となっていることは,令和4年12月に発表された文部科学省の調査結果からも明らかです。また,通常の学級において,特別支援教育が培ってきた実践と研究の知見を生かした授業改善が求められています。
その授業改善の一つとして,授業のユニバーサルデザインの実践研究が進められてきました。その実践研究は個人だけでなく,学校単位や自治体単位でも取り組まれ,発達障害の傾向や疑いのある子どもをはじめとして,様々な特性のある子どもが学びやすい環境づくり等の視点が一般化されてきました。しかし,そういう研究成果が,どちらかというと環境設定に傾倒していたと評価せざるを得ません。例えば,「黒板の周りをスッキリさせて余計な刺激をなくす」という支援は,授業内容以外の刺激に反応してしまって授業に集中することに困難さがある子どもにとって,有効な支援の一つです。しかし,「黒板の周りをスッキリさせて余計な刺激をなくしていけば,授業に集中できるようになる」とは限りません。授業に集中することに困難さを示す課題に対して,その背景要因を検討せずに一律な環境設定だけを行っても,個に応じた支援はできません。
つまり,特別な支援が必要な子ども一人一人の実態把握から課題を明確にすることなく,「公式」のように「このように支援すれば,このように課題が解決する」とはならないのです。しかしながら,「授業のユニバーサルデザインの知見を生かして環境設定をしているのに,授業に集中してくれない」という学校現場の声が聞こえてきます。このような状況になっているのは,特別な支援が必要な子どものアセスメントに関する研究が,十分ではなかったという評価になるのではないでしょうか。
また,昨今の学校現場の実情を鑑みると,特別な支援が必要な子どもに対して,個に応じた指導が重要視され,多様な学びの場が整備されてきています。それについては,特別支援教育の推進による個に応じた指導の充実という観点から評価すべきだと考えます。学習指導要領の趣旨を生かすために,個別最適化の学びと協働的な学びの授業研究が進められています。ここで大切にされているのは,学び合いの観点で一人一人の子どもにとって最適な学びがなされるということに他なりません。ところが,一部で「個別最適な学び」が曲解されて学習の個別化が優先され,それが学習の孤立化にもなっている現状が見られます。多様な学びの場が,通常の学級を基盤にして「連続性のある学びの場」として確立しなければなりません。それだけに,通常の学級における各教科の授業改善が重要であるのです。
本書は,通常の学級において,特別な支援が必要な子どもが学び甲斐を感じられる教科の授業づくりを願って編集しました。そのため,特別な支援が必要な子どもの実態把握を多面的に行い,課題の背景要因を具体化して実践することを中心にまとめています。本書では,学校教育の基盤を担う小学校の各教科における授業改善に焦点を当てました。現在,文部科学省中央教育審議会では,学習指導要領改訂に向けた議論が行われています。教育課程特別部会の論点整理では,改訂の柱の一つとして「多様性の包摂」が掲げられています。その改訂の論議に一石を投じる内容であると自負しております。本書が,通常の学級の授業改善の一助となることを願い,学校現場で奮闘する教職員の皆さんに届けたいと思います。
編著者を代表して /長江 清和
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明治図書

















