学びのGOAL UDLで学びを舵取りできる子どもを育てる

学びのGOAL UDLで学びを舵取りできる子どもを育てる

近日刊行予定

UDLで子どもが自分に合った方法で主体的にGOALを目指す!

学びのユニバーサルデザイン(UDL)で、これまで学ぶことが難しかった子が学べるようになる!一人一人が最適な学び方を主体的に選択し、舵取りができる力をつける環境づくりから教師の考え方、それぞれの学びのGOALまでのサポートについて丁寧に解説しました。


紙版価格: 2,046円(税込)

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ISBN:
978-4-18-217525-1
ジャンル:
特別支援教育
刊行:
対象:
小・中
仕様:
A5判 144頁
状態:
近日刊行
出荷:
2025年6月2日

Contents

もくじの詳細表示

まえがき
本書で参照している「UDLガイドライン」について
1 学びの“GOAL”を軸に授業と環境を変える
1 教室に「やる気のない子」はいるのか?
〜学びのユニバーサルデザイン(UDL)の枠組みで子どもの学びを捉える〜
2 学びの“バリア”を取り除く
3 UDLの3原則とガイドラインをもとにオプションをデザインする
4 オプションは“足場的支援の考え方”で設定する
5 エピソードから見る「バリア」を取り除く授業〜インプット編〜
6 エピソードから見る「バリア」を取り除く授業〜アウトプット編〜
7 “GOAL”は,なぜ大切なのか?〜UDLとGOAL〜
8 GOALってどんなもの?
9 エピソードから見る“学びの舵取り”と“GOAL”
10 実践!〜GOALとWHYを軸にUDLの授業をデザインする〜
2 主体性とやる気を引き出す!学びの“GOAL”づくり
1 GOALづくり「3つの視点」
2 「価値」を見出せるGOAL
3 視点1「興味をもてる」GOALをつくる
〜その1 興味をもてる工夫で価値が高まる〜
4 視点1「興味をもてる」GOALをつくる
〜その2 GOALにオプションを添える〜
5 視点1「興味をもてる」GOALをつくる
〜その3 テーマに選択肢を設ける〜
6 視点2「生活との結びつきを感じられる」GOALをつくる
7 視点3「もっとステップアップしたい」と思えるGOALをつくる
8 「自分の学びの姿をイメージできる」GOALをつくる
9 “I can 〜”でGOALをつくる
10 学習指導要領を読み解き,GOALをつくる
11 教師も子どもも「わかる」ようにGOALをつくる
12 「バリアのない」GOALをつくる
13 GOALに対する仮説をつくる時間を設ける
14 GOALをいつでも「アクセス可能」にする
15 GOALを「リマインド」する
Column1 葛藤をどう受け止めるか
3 自ら“GOAL”に向かう子を育てる!環境づくり
1 環境づくりの重要性
〜もしGOALに興味がもてなかったら??〜
2 「試してみよう」と思った時に「試せる」環境をつくる
3 「自分に合ったインプット」ができる環境をつくる
4 「自分に合ったアウトプット」ができる環境をつくる
5 「ICTを活用できる」環境をつくる
6 「自分で学びをガイドできる」環境をつくる
〜その1〜
7 「自分で学びをガイドできる」環境をつくる
〜その2〜
8 「自分で学びをガイドできる」環境をつくる
〜その3〜
9 「すぐに相談できる」環境をつくる
10 「友達との学びを選択できる」環境をつくる
11 「協働的に学ぶことのよさを体感できる」環境をつくる
12 「自分の立ち位置」をモニタリングできる環境をつくる
13 「学びの舵取りをするのは自分」と感じられる環境をつくる
14 「学び方を試行錯誤できる」環境をつくる
15 「学びやすい空間」をつくる
16 「安心して学べる環境」をつくる
Column2 仲間と一緒なら楽しめる
〜まずはおしゃべりから〜
4 “GOAL”に向かう子どもを支える!教師の“考え方・捉え方”
1 「オプションづくりのスタート地点」を考える
2 「うまくいかない」時は「まだバリアがある」と捉える
3 「教室で変えられるもの・変えられないもの」を考える
4 「よい学び方の答え」は「子どもの中にある」と考える
〜その1〜
5 「よい学び方の答え」は「子どもの中にある」と考える
〜その2〜
6 「子どもからの提案」を歓迎する
7 「安心して学べているか」を気にかける
8 「甘えになってしまっていないか?」と感じる時は
9 「うまくいかないなあ」と感じた時がチャンスと考えてみる
10 「子どもの学習者としての成長」を楽しむ
Column3 私たちにできること
5 “GOAL”への道のりを共にたどる!教師の伴走
1 教師の関わりで学びの舵取りをサポートする
2 「学びの全体像」を見せる声がけをする
3 「GOALまでの道のり」を一緒に歩いてみる
4 「あの時はどうしたんだっけ?」と聞いてみる
5 「どんなものがあれば学べそう?」と聞いてみる
6 「その子の興味のあることとGOAL」を結びつける
7 GOALやルーブリックをもとにフィードバックをする
8 「学びについてのおしゃべり」をする
9 教室全体を「試す場」にしていく
10 教師による伴走から子ども自身の学びの舵取りへ
あとがき
参考文献

まえがき

学びたいという子どもたちの願い

 私はある年,小学校5年生のAさんという子どもと出会いました。Aさんは,私と出会ってすぐ,日記に「今年は頑張れそうです。たくさん勉強したいので,これからもよろしくお願いします」と書いてくれました。

 しかし,しばらくするとAさんは,授業の中で学習に取り組むことが難しくなってきました。おしゃべりは止まらず,隣の子にちょっかいをかけたり,友達のノートに落書きをすることもありました。私に注意され,それに対して大声を上げることもありました。

 私は今でも後悔しています。「これからたくさん勉強したい」というAさんの願いを,十分に叶えてあげられなかったと感じてきたからです。「学びに向かいたいと願いながら学べない子どもたち」のために授業をどのように変えていけばよいのか……,これが私にとって,長い間の大きな問いになりました。


UDL(学びのユニバーサルデザイン)との出会い

 大きな転機になったのが,本書のテーマであるUDLとの出会い,そして学習のGOALについての実践研究の機会をいただいたことでした。

 UDLは,アメリカのCAST(The Center for Applied Special Technology)が提唱した,障害の有無にかかわらず,全ての学習者の学びを支えるための枠組みです。UDLでは,学習者が学習につまずいた際,障害は学習者の側ではなく,カリキュラム(教材,教具,GOAL,評価,方法)の側にあると捉え,授業をデザインしていきます。

 UDLを実践するようになってから,「これまで学ぶことが難しかった子が学べるようになった」という経験を数多くしてきました。そして,Aさんのような「学びたいという思いをもつ子どもたち」が学べなかったのは,やはり「こちらが用意する環境」にあったのだと強く感じるようになりました。私の授業観や子どもを捉える目,実践は大きく変わってきました。

 UDLは「学習者の学びの舵取りの力を育てる」という点で,現在求められている,「個別最適な学びと協働的な学びの一体的な充実」「学びの自己調整」などの概念とも親和性の高い考え方です。


本書のテーマ“GOAL”

 そして私は,北海道教育大学教職大学院において,UDLについてさらに実践研究を進めました。実践研究を進める中で,より多くの子が主体的に学ぶためには,学習のGOALが大切だということがより鮮明になってきました。

 そのような中,本書の執筆の機会をいただきました。UDL,そしてGOALを中心のテーマに据え,「主体的な学習者が育つ環境づくり」について,皆さんと一緒に考えていけるよう記しました。


本書をお読みいただく前に

 本書に書かれた内容は,「これをすれば全てがその通りになる」というものではありません。UDLの授業,GOALについて,私も試行錯誤の道半ばです。

 ただ,これまでの「実践」。さまざまな方に伴走していただきながら「試行錯誤してきたこと」。その中で変化してきた「考え方」や,「明らかになってきたこと」などを,「子どものエピソード」を大切にしながら,テーマごとに整理したつもりです。UDLの実践をしていく上で最も重要なのは,「共に実践していく仲間」だと私は思っています。この本を手に取ってくださった皆さんが実践をしていく上で,「あれ? こういう時ってどうすればいいのかな?」「本当にこれで大丈夫かな?」など,疑問や不安を抱えた時にふっと開ける,そんな仲間の一人として,この本を迎えていただければと思います。そして本書が,子どもたちと「学ぶことができた」と共に喜び合える日々を願う皆さんの,少しでもお役に立てたら幸いです。


   /原 隼希

著者紹介

原 隼希(たかはら じゅんき)著書を検索»

1985年北海道函館市生まれ。北海道教育大学函館校卒業。2011年北海道公立小学校教員として採用。2023年度,北海道教育大学高度教職実践専攻(教職大学院)修了(教職修士)。近年は,UDL(学びのユニバーサルデザイン)による学習支援に関心をもち,北海道教育大学教職大学院においてUDLに関する実践研究を実施。現在も実践を積み重ねている。

また,子どもたち一人一人の表現に寄り添った「作文教育」の実践も進めている。

「教員研修サークル北の教育文化フェスティバル」,「北海道作文教育協議会」,「日本学級経営学会」所属。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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