「うまくいかない」が変わる学級経営 子どもを見取り導く「心のてんびん」

「うまくいかない」が変わる学級経営 子どもを見取り導く「心のてんびん」

新刊

総合35位

子どもの状態を読み解き、よりよい未来へ背中を押す!

一生懸命にやっているのに、子どもが言うことを聞かない、問題行動が減らない…そんな状況に悩んでいませんか。本書では、行動分析学の考え方をベースに、子どもたちの行動の奥にある心理の見取り方を紹介。また、見取ったうえで具体的な関わり方を示します!


紙版価格: 2,486円(税込)

送料・代引手数料無料

電子版予価: 2,237円(税込)

3/11刊行予定

ISBN:
978-4-18-214724-1
ジャンル:
学級経営
刊行:
対象:
小学校
仕様:
四六判 192頁
状態:
在庫あり
出荷:
2026年3月9日

Contents

もくじの詳細表示

はじめに
1章 「うまくいかない」を変える、「心のてんびん」とその仕組み
心は「算数」でできている?
心の動きを「てんびん」で見てみよう
心の流れを導く、「坂道」のつくり方
Column 先生だって、「てんびん」に揺れる1人の人間
2章 心を動かす「傾き」をデザインする
なぜ、私たちは「つい、買ってしまう」のか?
その子が動くのは、どの「スイッチ」?
Column 4つの法則、どれから使いますか?
3章 その「困った行動」にも、隠された「理由」がある
その「困った行動」、本当に「マイナス」だけですか?
「困った行動」は心を守る「盾」?
昨日の「ご褒美」が、今日の「罰」になっていませんか?
「今の感情」と「未来の幸せ」、どちらを優先する?
Column その「色メガネ」をそっと外してみませんか?
4章 「成長のてんびん」をデザインする
子どもが育つ「土壌」を耕す
「成長」を軸にした4つの行動指針
Column 「雪の下」で、キャベツは甘くなる
5章 「環境」と「関わり」で、子どもの「やってみたい」を引き出す
叱責が減り、笑顔が増える「教室環境」の工夫
子どもが輝く、「水や光」の上手な与え方
Column 最高の支援とは「補助輪」を外してあげること
6章 「問題行動」を「成長の機会」へと変えていく
「指導」から、温かい「支援」へと変えていくために
「静の指導」:声を出さずに、行動をやめさせる
「動の指導」:言葉で、子どもの選択を促す
「指導」と「承認」は、必ずワンセットで
事例1:ノートがなかなか書けないKくん
事例2:朝の準備ができないYちゃん
事例3:対話をしようとしても、反抗するMくん
事例4:告げ口がやめられないSさん
事例5:思い通りにならないと、物を投げるAくん
Column 「悪い子」ではなく「心のクセ」
7章 チームで「安心のてんびん」を傾ける
「安心」というおもりの存在
安心のてんびんを、「担任」に傾ける
ケーススタディ@:チームで育む、信頼の譲り渡し
ケーススタディA:対話へと導く「待ち」の姿勢
ケーススタディB:保護者との連携
ケーススタディC:「成長の2択」で信頼を手渡す
ケーススタディD:不登校という、複雑なてんびん
おわりに

はじめに

 「どうすれば、この子の心に言葉が届くのだろう?」


 困りを抱えている子どもたちと接する中で、私は何度もこの壁にぶつかってきました。「この子が自信をもって一歩を踏み出せるように」と願って優しく、真剣に語りかけます。しかし、その思いは子どもたちの心に響かず、返事はありません。時には「うるさい!」と拒絶されてしまうこともあります。

 「このまま放っておくことはできない…でも、無理やりその子を変えたくはない…」

 このようなジレンマの中で、どうすればいいか途方に暮れてしまう。そんな経験は皆さんにもありませんか?


 力ずくで変えるのではなく、その子が「やってみたい」「変わりたい」と自然に思えるような温かい支援はできないだろうか?


 この問いに対する答えを、私はずっと探し続けていました。その暗闇に一筋の光を投げかけてくれたのが、臨床心理士である奥田健次氏の名著、『メリットの法則 行動分析学・実践編』(集英社新書)との出会いでした。その中でも特に私に衝撃を与えたのが、人の心を「てんびん」の傾きで表現した、1枚のイラストだったのです。

(図省略)

 このイラストを見た瞬間、これまでバラバラだった知識や経験が、1本の線でつながる感覚を覚えたのです。


 ああ、そうか。

 子どもたちは皆、心の中に自分だけのてんびんを持っているんだ。そして、そのてんびんが自分にとって少しでも「良い方」に傾くように行動をしていたんだ。

 これまで「なぜ?」としか思えなかった子どもたちの不可解な行動が、全て意味のある、その子なりに合理的な選択に見えてきました。この「てんびん」という視点は、複雑な子どもたちの心を理解するための、確かな「道しるべ」になると直感したのです。


 その直感をもとに、日々の実践の中で試行錯誤を重ねながら、私なりに「てんびん」の見方を整理し、体系化したものが、本書でご紹介する3つの視点(てんびん)です。


 まず1つ目は、子どもの日々の行動を理解するための、最も基本的な「感情のてんびん」です。この視点をもつことで、これまでただ「困った子」に見えていた行動の裏側にある、その子なりの切実な理由が見えてくるはずです。


 しかし、私たちの支援は、ただ子どもの心を「分析」するだけでは終わりません。その子が自ら「やってみたい」と歩み出せるような心の環境を「整える(デザインする)」ための支援をしていく必要があります。そのための視点が、2つ目の「成長のてんびん」なのです。

 これは、その子を成長へと導いていけるように、私たちが環境を整えるための大切な視点となります。


 そして、時には、損得だけでは説明できない、より複雑な問題に直面します。困り感を抱えている子の心の奥底には「ここは、安心できる場所?」「この人は、本当に私の味方?」という不安が渦巻いていることがあるのです。この、心の土台となる部分に向き合う際に大切になってくるのが、3つ目の「安心のてんびん」という視点です。


 もちろん、この本に書かれていることが、全ての子どもに当てはまるわけではありません。しかし、子どもとの関わりの中で「なぜだろう?」と壁にぶつかった時、その子の心をもう一度理解してみようと立ち返るための、1つの「きっかけ」にはなるはずです。

 この本でお渡しするのは、子どもの心を見るための、新しい「てんびん」という名のメガネです。このメガネをかけることで、これまで見えなかったものが見えてきます。

 なぜ、やらないのか?

 なぜ、騒ぐのか?

 なぜ、動けないのか…?

 それらの行動の裏に隠された、その子なりの切実な理由が、少しずつ、しかしはっきりと、浮かび上がってくるはずです。そして、不思議なことに、子どもの行動の「理由」がわかると、私たち自身の心も、ふっと軽くなるのです。これまで「どうしてわかってくれないの?」と感じていた焦りや不安が、「そうか、そんな気持ちだったのか」という、温かい眼差しへと変わっていく。その、私たち自身の心の変化こそが、何よりも大切なのかもしれません。その変化が、子どもたちとの関係を、より豊かで、穏やかなものにしてくれる、何よりの力となるはずです。


 この本を読み終えた後、皆さんの子どもたちを見つめる目が、ほんの少しでも温かいものになるのなら、著者として、これ以上の喜びはありません。この本が、かつての私のように、子どもとの関わり方に悩み、試行錯誤している先生方や保護者の皆さんにとって、確かな「道しるべ」となることを願っています。

 さあ、一緒に「てんびん」を巡る、心の探求の旅に出かけましょう。


   /古田 直之

著者紹介

古田 直之(ふるた なおゆき)著書を検索»

1981年福島県会津若松市生まれ。福島県公立中学校教諭・同県小学校教諭を経て現在は札幌市小学校教諭。教育研究サークル「FURU ☆ LABO(ふるらぼ)」代表。「学び続ける子どもの育成」をテーマに掲げ、子どもたちが安心して学び続けていける環境づくりを目指して日々実践を重ねている。令和5年度から児童生徒支援担当・生徒指導主任として、困り感を抱える子どもたちの援助を行っている。第35回東書教育賞優秀賞・第17回ちゅうでん教育大賞教育奨励賞など受賞歴多数。

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
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