- はじめに
- 序章 探究が進む学校・チーム 7つの条件
- 1 生徒に伴走するという教員のマインドセット
- 2 校内の仕組みや組織づくり
- 3 校内で仕事をスムーズに進めるマインドやスキルをもつ
- 4 校内の文化を耕す
- 5 管理職のリーダーシップ
- 6 思いで繋がるネットワークをもつ
- 7 何のために探究をするのかという哲学をもつ
- 第1章 探究活動における教員のマインドセット
- 1 生真面目さを取り払い、「まずやってみる」精神をもつ
- 2 生徒に力を付けるために生徒を主にする
- 3 地域を学ぶのではなく地域はフィールド
- 4 イヤイヤの生徒たちを前にして
- COLUMN1 学校はいかにしてチームとなるか コレクティブ・インパクトの視点
- 第2章 「学習する組織」に学ぶ探究が進む学校
- 1 校内で探究学習を進める組織づくり
- 生徒と教職員がともに進化する「学習する学校」「学習する組織」
- システム思考
- 個人的なマスタリーの向上
- メンタルモデルの開発・修正
- 共同ビジョンとチーム学習
- COLUMN2 学校と学校外を繋ぐ 〜ハブとしての教員〜
- 第3章 校内で仕事をスムーズに進めるマインド&スキル
- 1 チームで仕事を進める上で大切なマインド
- 2 チームで仕事を進める上で大切なスキル
- 3 実は大切な、会議をどう運営するかということ
- 4 みんなが活躍するために大切なこと
- COLUMN3 専門職としての教師の資本への確かな投資
- 第4章 学校文化を耕す
- 1 目に見えない学校文化の影響は大きい
- 2 変化を起こすために大切な安心・安全な場
- 3 越境して外と繋がることで異質なものを受け入れる素地をつくる
- 4 文化を耕して、次の世代に豊かな果実を残す
- COLUMN4 年度はじめの「ビジョン共有ワークショップ」のススメ
- 第5章 教員の主体性を引き出す管理職の在り方
- 1 時代の先を学び続ける
- 2 職員の主体性を引き出す
- 3 新しい管理職のリーダーシップ
- COLUMN5 企業でのチームづくりの重要性
- 第6章 思いで繋がるネットワークをもつ
- 1 ネットワークの力で成長する生徒
- 2 組織としてネットワークを構築する
- 3 個人でネットワークを構築する
- 4 ネットワークは目的ではなく結果
- COLUMN6 なぜ、探究学習では教員コミュニティが重要なのか?
- 第7章 何のために探究をするのかという哲学をもつ
- 1 探究活動は、高校生の将来にどう生きているのか?
- 2 対談から見える探究活動の意義
- 終章 探究が進む全国各地の学校づくり事例
- CASE1 探究学習を学校文化にするためのチームづくり
- 福島県立ふたば未来学園中学校・高等学校
- CASE2 @次世代の教育にチャレンジ 「探究科」と「創造コース」
- 追手門学院中学校・高等学校
- CASE2 A探究科と創造コースが大切にしていること
- 追手門学院中学校・高等学校
- CASE3 @生徒の卒業後に繋がる学びを目指して
- 立命館宇治中学校・高等学校
- CASE3 A0から1を創り出す力を育てる
- 立命館宇治中学校・高等学校
- CASE4 生徒の市民性を育てる探究を目指して ―有志の教員、生徒、保護者で繋がる
- 聖ドミニコ学園中学高等学校
- CASE5 公立中学校でのプロジェクト型の探究への挑戦
- 京都府宇治市立黄檗中学校(宇治黄檗学園)
- CASE6 教科における「探究的な学び」の実装化を目指した授業研究ワークショップ
- 東京学芸大学・高校探究プロジェクト
- 巻末座談会 探究を通じた「変化」を語り合う
- 執筆者一覧
はじめに
約1年前に『探究的な学びデザイン』を出版させていただきました。一人の教員としてのマインドセット、探究学習で押さえたいポイント、探究の実践モデルなど、いわば探究についての教育論ともいえる本でしたが、おかげさまで先生方中心に多くの方に読んでいただき、読者の方とお話をさせていただく機会も数多くありました。様々な取り組みや苦悩を聞く中で、探究が高校現場で進んでいくためには、「探究的な学びはどのように実現するのか」という教育論だけでなく、「学校という組織はどのように探究を受け入れていくのか」という組織論の重要性を感じる場面も増えてきました。本書はこうした思いから生まれました。
何らかの取り組みが組織でうまく進んでいく時、そこには必ず多くの方の活躍があり、それぞれが自分の役割を果たしています。本書では探究が進む学校・チームの条件を7つに絞りました。教員のマインドセット、校内での組織や仕組みづくり、現場リーダーのマインドやスキル、管理職のリーダーシップ、ネットワークなどその内容は多岐にわたっています。これは多くの人の力が合わさることでよりよいチームとなり、いろいろなことがいい循環をするということを示しているのでしょう。各章にはその章の内容に関連するコラムを執筆していただきました。コラムをあわせて読むことで、各章の内容がより深まればと思います。また、終章には6つの事例もあります。おかれた環境はもちろん学校種も異なる事例ですが、その根底にある共通したものに気づいていただければ幸いです。
チャンスはピンチの顔をしてやってきます。コロナ禍での新しい学習指導要領の実施、教員の働き方改革、そして教員不足や、より一層進む少子化など、学校を取り巻く状況は明るくないように思う時があります。しかしコロナ禍はICTを一気に広げてくれました。今はピンチに見えますが、新しい学びが広がり、これからを担う子どもたちが成長するチャンスの時なのかもしれません。ピンチをチャンスにできるかどうかは、マイテーマを教育と定めて生徒たちと接する私たちが、よりよい教育を探究できるかどうかにかかっている、そんなようにも感じます。多くの方に執筆していただいて完成した本書ですが、それぞれの著者の探究の一端が伝われば、そして読者の皆さんと一緒によりよい教育を探究できればと思いますし、本書がそのきっかけになれば幸いです。
2023年12月 /酒井 淳平
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- 明治図書
- 探究について学ぶ入門書にもなる。深める際にも役立つ。2024/3/830代・男性