生きかたが育つ授業
中巻 実践編 下学年

生きかたが育つ授業中巻 実践編 下学年

投票受付中

生きかたが育つ授業を求めて/足場をつくる一年生/めあてをつくりだす二年生/構えをつよめる三年生/対象で結びあう大島級の4章からなる。


復刊時予価: 2,805円(税込)

送料・代引手数料無料

電子書籍版: なし

ISBN:
4-18-211507-4
ジャンル:
授業全般
刊行:
3刷
対象:
小・他
仕様:
A5判 194頁
状態:
絶版
出荷:
復刊次第

目次

もくじの詳細表示

はしがき
学校長 /竹田 正雄
序章 生きかたが育つ授業を求めて
第一章 足場をつくる一年生
第一節 足場を求める子ども ―入門期からの脱皮―
一 入学した子どもとともに
二 「まるいかたち」にスタート(一年 算数)
三 できたことを足場にする ―追究のシステムと進化―
四 承認のひろがりを足場にする ―社会形成へのはたらき―
第二節 自己解放が足場をひろげる ―一年生から二年生への展望―
一 「土の中のできごと」 (一年 体育)
二 自己への集中がイメージをたしかにする ―運動をつくりだす心のはたらき―
三 自己解放がささえあう足場をひろげる ―足場をつくる社会形成―
第二章 めあてをつくりだす二年生
第一節 経験に条件をつけてめあてをみつける子ども ―第一学期の二年生―
一 わたしのしごと ―「はたらく」―(二年 道徳)
二 試みた結果からめあてをつくりだす ―追究のシステムの進化―
三 気になる友にかかわりをもとめる ―社会形成のはたらき―
第二節 対象に心情をもとめて活動する子ども ―第三学期の二年生―
一 心をかよわせて条件をとらえる「あさがおとひまわり」(二年 理科)
二 多様な活動にしくみをもとめる「やじろべえ」 ―Naさんの追究のシステムの進化をとらえる―
三 活動と学習のはざまで学級のめあてをつくりだす ―社会形成のはたらき―
第三章 構えをつよめる三年生
第一節 つながりを求める子ども
◇「絵地図作り」 ―四月当初の歩み―(三年 社会)
一 身近なことによりどころを求めて地固めする「大通り」 ―ひとり学習の過程とシステム―
ニ 身びいきなとらえかたからよりどころの発見 ―集団の過程からの追究―
三 相手に照らして確かめ合う ―社会形成へのはたらき―
第二節 観念と実践のゆれの振幅に見直す ―第三学期の三年生―
一 「朝の活動」(三年 道徳)
二 生きかたの深まり
三 参加の離合集散に見直しを求めて助け合う ―グループのかかわりと社会形成―
第四章 対象で結びあう大嶋級
第一節 遊び活動と欲求「自動車ごっこ」
第二節 動物に感情を高める「動物の世話」
第三節 野菜の生育とともに「野菜作り」
あとがき

はしがき

 ひとりひとりの子どもの考えには、それぞれ根拠がある∞指導は子どもの内なる生きかたの発展・成長を助長し、促進することに他ならない=i『授業の研究』)との教育観に立って、わが校が授業研究にとりくみ出してから、すでに二十九年。その間、時移り、人変わるなかで、わたしたちの先輩が、その時期、その時期において、子どもの生きる姿を描きあげ、問題の究明につとめ、著書も六冊を数えております。

 このような歴史を受けついで、現在、わたしたちが自らのうちに実践的に明らかにしたいと考えていることを中心にして、ここ数年間蓄積した考えかたと実践を上・中・下の三巻として編集してみました。

 冒頭にも述べましたように、人間としての子どもの成長・発展を願って日々の指導および授業の研究につとめておりますが、いったい「子どもの成長はいかにしてとらえるか」ということが第一の課題であります。今日の教育研究の課題として、教育評価のことは各方面でとりあげられておりますが、わたしたちは、子どもの「追究のシステムと進化」という観点でとらえたいと考えております。

 ところで、追究のシステムと進化の過程は、具体的には構想・問題のサイクルだと考えられますが、いったい、子どもは、どのように構想への思考を深め、問題状況をとらえるものであるかということが第二の課題であります。

 第三には、「授業」そのもののはたらきというか、あるいはメカニズムというか、とにかく授業ということそのものをどのように解釈するかということであります。いままでも、このことは『授業の研究』以来の課題ではありますが、授業の記録やテレビによる録画等をもとにして解釈研究をすすめますと、ついつい、ひとりひとりの子どもの追究のシステムと、それにはたらいた条件の分析に立ち至ってしまうのでした。そこで、ちょっと乱暴な手法かもしれないのですが、「授業の意味とねらいはどうあればよいか」という課題をたてて、授業におけるコミュニケーションのありかたから、「社会形成の高まり」に焦点をあてて、授業そのものの解釈と解明に努めてきました。

 次に、わたしたちが日々行っている授業について反省してみますと、子どもの主体性を尊重すると言いながら、教師がでしゃばりすぎていることを、つねに自戒してきました。それでは、教師主導から脱皮した「子どもがつくる授業」は、どのようにしてつくりだされ、実現できるかというのが第四の課題であります。

 これらのことを課題としてとりあげましたのは、現在のわたしたちが、二十九年前からの堀川小学校の授業研究を確かに継承し、将来にむかって発展させ、寄与し、自らの教育観と実践の足もとを確かめたいという心境もはたらいております。まさに、先人、先輩の貴重な考えかたや実践は、授業研究の歴史のなかに、満天の星のように無数に見えております。今、このような課題を立てて自らを顧みますと、無数の満天の星が、僅かながら星座として見えてくるようにも思われます。

 さて、「追究のシステム」といい、「社会形成の高まり」といい、たんに一時間や一単元の授業の分析解釈だけでは、その「進化」の姿を描きだすことは困難であります。同人一同、この二年間、各人が「観察対象児」を中心とし、授業記録を累積してその究明に当たりましたが、いざ執筆ということになりますと、資料不足や観察の浅いことを痛感させられました。

 もとより、道限りない授業研究の歩みの一里塚でございます。きびしい御批判とあたたかい御指導を賜わりますよう、切にお願いするものであります。

 この書物を世に送るに当たり、拙いわたしどもの研究を、理論編と実践編をあわせ上・中・下の三巻として出版することに深い御理解をいただき、快くお引き受けくださった明治図書出版株式会社社長藤原久雄氏、編集部長江部満氏、ならびに嶽崎峻氏に深甚の謝意を表するものであります。


  昭和五十九年一月十五日   富山市立堀川小学校長 /竹田 正雄

著者紹介

富山市立堀川小学校著書を検索»

※この情報は、本書が刊行された当時の奥付の記載内容に基づいて作成されています。
    • この商品は皆様からのご感想・ご意見を募集中です

      明治図書
    • これは良い本である。直感がそう訴えてくる。復刊を望む。
      2024/3/11
    • この本を読みたくてずっと探しています。なかなか手に入らないので、是非復刊させてください。間違いなく、これからの日本の教育に必要です。
      2023/11/13
    • 下学年だからこそ重要なポイントがあります。
      2021/11/9そめ

ページトップへ