- 監修のことば
- /中洌 正堯
- 序章 「主体的・対話的で深い学び」を実現する学習課題と授業づくり
- 1 「深い学び」の実現を志向するアクティブ・ラーニング /三津村 正和
- 2 「演出的読解方法」が導く文学作品のダイナミックな読み /中洌 正堯
- ―「学習課題」開発の新たな視点―
- 1章 「深い学び」を実現する文学教材の学習課題と授業づくり
- 1 文学教材の学習課題とアクティブ・ラーニング /長崎 伸仁
- 2 文学教材の学習課題とアクティブ・ラーニングの授業づくり
- 1年
- @MVPは誰だ?
- 「おおきなかぶ(共通)」
- A一緒に遊びたかったのはくじらぐも?それとも,子どもたち?
- 「くじらぐも(光村)」
- Bエルフへの大好きレベルを考えよう
- 「ずうっと,ずっと,大すきだよ(光村)」
- Cたぬきが糸車で糸をつむいでいたのは,いたずらか?いらずらじゃないか?
- 「たぬきの糸車(光村)」
- 2年
- @この物語で欠かすことができないのは誰?
- 「スイミー(共通)」
- Aきつねは,ひよこ・あひる・うさぎを食べようと思っているかな?
- 「きつねのおきゃくさま(共通)」
- B「お手紙」の主役は,がまくん?それとも,かえるくん?
- 「お手紙(共通)」
- C「かさのじぞうさま」と「手ぬぐいのじぞうさま」の感謝の気持ちは同じ?
- 「かさこじぞう(共通)」
- 3年
- @どちらのかげおくりの方が幸せだったのかな?
- 「ちいちゃんのかげおくり(光村)」
- A昔からの「言い伝え」とおもしろい「歌」,これから,村人が伝えていくのは,どっち?
- 「三年とうげ(光村)」
- B女の子に,おにたの本当の姿を伝えた方がいい?
- 「おにたのぼうし(共通)」
- C最後に,あなぐまにお礼を言ったのは,きつねでもいい? (もぐらでないとダメ?)
- 「わすれられないおくりもの(共通)」
- 4年
- @この物語の題名は,「夏みかん」でもいい?
- 「白いぼうし(共通)」
- Aゆみ子は,お父さんのことを知らないままでいい?知らせてあげたい?
- 「一つの花(共通)」
- Bのぶよにとって,運動会の思い出ベスト3は?
- 「走れ(東書)」
- Cごんは,兵十のおっかあに何を語るのだろうか?
- 「ごんぎつね(共通)」
- 5年
- @大造じいさんと残雪の「ライバル度」はいくつ?
- 「大造じいさんとガン(共通)」
- A紳士たちへのおしおき?それとも…?
- 「注文の多い料理店(共通)」
- B幻灯会に招待したのは誰のため?
- 「雪わたり(共通)」
- C神様はいたのか?いなかったのか?
- 「わらぐつの中の神様(光村)」
- 6年
- @ひろしとお父さん,どっちがどれだけ悪いのだろう?
- 「カレーライス(光村)」
- Aノリオは何も言わなかったのか?何も言えなかったのか?
- 「川とノリオ(共通)」
- B「きつねの窓」に隠された「真実」は何か?
- 「きつねの窓(共通)」
- C太一は,クエから逃げたのだろうか?
- 「海の命(共通)」
- 2章 「深い学び」を実現する説明文教材の学習課題と授業づくり
- 1 説明文教材の学習課題とアクティブ・ラーニング /正木 友則
- 2 説明文教材の学習課題とアクティブ・ラーニングの授業づくり
- 1年
- @どこが似ている?どこが違う?仲間探しをしよう!
- 「歯がぬけたらどうするの(東書)」
- Aどちらの題名の方がいいかな?
- 「みぶりでつたえる(教出)」
- Bどの「つくり」を書いた方がいいかな?
- 「じどう車くらべ(光村)」
- Cライオンの赤ちゃんとしまうまの赤ちゃんが「けんか」をしたら… どちらが強いかな?
- 「どうぶつの赤ちゃん(光村)」
- 2年
- @アニメにするとしたら,主人公は「たんぽぽ」?「わた毛」?「たね」?
- 「たんぽぽのちえ(光村)」
- A獣医さん,その仕事は明日もしますか?1年後もしますか?
- 「どうぶつ園のじゅうい(光村)」
- B「〈すごいvs.賢い〉メーター」をつくろう!
- 「ビーバーの大工事(東書)」
- C「人生って大変だよ!ランキング」をつくろう!
- 「さけが大きくなるまで(教出)」
- 3年
- @「少しだけ役立っている」でもよいのでは!?
- 「自然のかくし絵(東書)」
- A「まいご」の絵文字から,「親しみ」を感じる…?
- 「くらしと絵文字(教出)」
- B題名は本当に「すがたをかえる大豆」でいい?
- 「すがたをかえる大豆(光村)」
- Cウィルソンさんは,どの実験・研究に興奮した!?
- 「ありの行列(光村)」
- 4年
- @ヤドカリとイソギンチャク,どちらが得をしているのでしょう…?
- 「ヤドカリとイソギンチャク(東書)」
- A実験3以外は必要ない?
- 「花を見つける手がかり(教出)」
- B勉強でも動かなくてはいけないの…?
- 「動いて,考えて,また動く(光村)」
- Cアップとルーズ…?ルーズとアップ…?
- 「アップとルーズで伝える(光村)」
- 5年
- @6段落は必要…?
- 「動物の体と気候(東書)」
- Aもしも一つに絞るとすれば…?
- 「言葉と事実(教出)」
- B筆者と自分が「伝えたかったこと」を比較しよう!
- 「生き物は円柱形(光村)」
- C弟子入りするなら…どちらを選ぶ?
- 「千年の釘にいどむ(光村)」
- 6年
- @イースター島に森林がなくなったのはなぜ…?
- 「イースター島にはなぜ森林がないのか(東書)」
- Aもしも鳥獣戯画の作者が本文を評価するとすれば,どのように評価するのだろう?
- 「『鳥獣戯画』を読む(光村)」
- B新しい暮らし方ランキングを作ろう!
- 「自然に学ぶ暮らし(光村)」
- C「ぼくの世界」と「君の世界」の関係を図で表そう
- 「ぼくの世界,君の世界(教出)」
- あとがき
- /長崎 伸二
- 執筆者一覧
監修のことば
国語教育実践史上に,青木幹勇の『問題をもちながら読む』『書きながら読む』『考えながら読む』(明治図書,1976)の三部作がある。とりわけ『問題をもちながら読む』は,その書名からしても,本書の先行実践研究として,じゅうぶん検討,吟味するに値する。
いま,『問題をもちながら読む』(単行本は1964)の「まえがき」から主要論述(○)を抜き出してみよう。一つ一つが,私たちの実践研究に関わる検討課題(→)であることに気づく。
○国語指導の中で,ほんとうに,自主的,自発的な学習のできる子どもを育ててみたい
→私たちは「主体的」という言葉を採用している。
○自ら学ぶ子,すすんで学習をうちたてていこうとする子ども,それを,「問題をもちながら読む」という指導と学習の上にとらえようとした
→青木幹勇の「問題」と私たちの「学習課題」との共通点,差異点は何か。
○おのずから段階があり……学年により,学習の内容により,適切な指導が必要
→私たちの「学習課題」の系統性,関連性をどう考えるか。
○学級集団での協同学習,つまり子どもたちが,たがいに各自の解釈,各自の思考をもちよって,より高い,よりち密な学習の成果をもとめるという態勢をきずく
→アクティブ・ラーニングでは,「協働性」「対話性」が求められている。
○子どもたちの書くこと,話すこと,解釈することの中から,教材の研究,指導の方法,その他の問題(資料)がほとんど無尽蔵に提示されてくる
青木幹勇は,「子どもの作る問題」を,「問題の段階(質)」として,「第一類 質問や疑問に関する問題」「第二類 確かめ,確認を求める問題」「第三類 感想や,意見としてまとめられた問題(批判を含む―中洌)」「第四類 研究発表に関する問題」に分けている。また,「問題のひろがり(種類)」として,「1 文字,語,語句に関する問題」から,「2 文,文章/3 文法/4 表現/5 事実/6 人物/7 心情/8 意図や主題」,そして「9 読み手の意見や感想に関する問題」までの9類に分けている。今回,私たちが提示した「学習課題」は,青木幹勇のヨコ四類,タテ9類のどこに位置づくものか,それとも新たな座標を必要とするものか,考察してみるとよい。
『問題をもちながら読む』の実践研究は,読書力の育成を視野におく個人の実践体系の一環であった。本書は,「学習課題」の開発について,各学年にわたる多くの実践者,多くの教材による「多様性」「協働性」を特色とする提案の書である。ひるがえってこの書は,実践者各人の「学習課題」の実践体系を創り上げていく際の有益な資料となるものである。
監修者 /中洌 正堯
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