- まえがき
- 1章 コーチングの基本の「キ」
- 01 ところでコーチングって?(対話形式 引き出す)
- 02 コーチングの基本的な考え方(原因論と目的論 人は変われる)
- 03 叱る目的=よい学級経営(幸福の三条件)
- 04 叱る=チャンス(「Do more」「Do something different」の考え方を理解する)
- 05 叱るまでのステップ(セルフケア→目的を考える→自己開示→叱るかわりに勇気づけ)
- 06 言語と非言語(メラビアンの法則)
- 07 二つの子どもの本音(その子の本音 自分の子どもの頃の本音)
- コラム
- 2章 コーチング理論を生かした叱り方のポイント
- 01 感情的にならない(叱る目的を考える)
- 02 過去と未来にも興味をもつ
- 03 成長のステップを描く(ベイビーステップ 成長曲線)
- 04 事実、感情を聞く(「思考」「感情」「行動」「結果」を分けて)
- 05 スケーリング
- 06 ステイトコントロール(縦軸と横軸)
- 07 大きい質問 小さい質問
- 08 Iメッセージ・YOUメッセージ(正論ではなく意見として言う)
- 09 Yes, and
- 10 フューチャーペーシング
- 11 ストーリーテリング(比喩・メタファー)
- 12 体験談を語る(自己開示)
- コラム
- 3章 叱り方の基本の「キ」
- 01 「叱る」とは
- 02 叱る前に心がけたいこと
- 03 叱っている時に心がけたいこと
- 04 叱った後に心がけたいこと
- 05 叱り方の原則
- 06 低学年と高学年の叱り方の違い
- コラム
- 4章 日常の問題場面での叱らない技術
- 01 あいさつをしない時
- 02 子どもが返事をしない時
- 03 子どもが乱暴な言葉づかいをする時
- 04 子どもが嘘をついた時
- 05 子どもが時間を守らない時
- 06 子どもが当番・係の仕事をしない時
- 07 子どもが学校のものを壊した時
- 08 子どもが忘れ物をした時
- 09 子どもが危険なことをした時
- 10 給食の好き嫌いが多い子
- 11 掃除をさぼった時
- 12 落とし物が多い子
- 13 宿題をやらない子
- 14 服装が乱れている子
- 15 友達の悪口を言う子
- 16 友達をいじめる子
- 17 失敗を人のせいにする子
- 18 学校に禁止の私物を持ち込んだ子
- 19 放課後寄り道をする子
- 20 万引きが発覚した子
- コラム
- 5章 授業中や学校行事での叱らない技術
- 01 授業中の私語がある時
- 02 授業に集中していない(姿勢がよくない)時
- 03 授業中、「わかりません」と言って考えようとしない子
- 04 ふざけた発言や行動をした時
- 05 友達を茶化した発言をした時
- 06 反抗的で何を言っても変わらない子
- 07 テスト勉強をしてこない子
- 08 ノートをとろうとしない子
- 09 毎回、教科書を忘れる子
- 10 授業中に立ち歩く子
- 11 始業式・終業式で話を聞いていない子
- 12 合唱で真面目に取り組まない子
- 13 運動会で手を抜く子
- 14 遠足の電車内で騒ぐ子
- 15 宿泊学習でルールを守らない子
- あとがき
まえがき
この本を手にとっていただき、ありがとうございます!
この本で伝えたいこと。これから読む話はすべてこういう思いで読んでください。
「毎日叱っているあなたは、何も間違っていない」
私たち教師は、正直大なり小なり毎日叱っています。愛情をもって叱っているつもりですが、時には自分がイライラしているから怒ってしまったり、毎回同じ子にあたってしまったりすることもあるでしょう。
でもお願いです。この本を読み進めながら、
「自分が悪かった」
「なんで正しい叱り方ができていなかったのだろう」
と反省しないでください。
私たち二人の思いは、とにかく先生方を元気にすること。
先生が元気になれば、子どもが元気になり、親も元気になり、ゆくゆくは日本全体が元気になると思っているからです。そして、もうそんな現象がどんどん生まれていますよね。
こんな本を書かせてもらっている私は以前、毎日叱っている教師でした。
最初はほめたり、認めたりしながらまとめていて、よくなって卒業することもありましたが、その歯車がかみ合わない時は、私が叱り、叱られた子が反発しての繰り返しの時もありました。
そんな時、コーチングと出会いました。
私は大学のラクロス部の監督をしていて、チームを勝たせたいということから、メンタルコーチを雇ったのがきっかけでした。
部活の監督といえば、どんな印象がありますか?
とにかく怒鳴りつけながら、厳しいことを言っているイメージはないでしょうか?
私はそんなイメージでした。
しかし、当時大学生と年も離れていなかった自分は、厳しく叱ることができず、中途半端な厳しさのせいでその選手の能力を伸ばせていないと感じる毎日でした。
コーチングを用いているメンタルコーチたちに会い、考えは120度くらい変わりました。
「答えは監督が押しつけるものではなく、選手の中から選手自身が引き出すもの」
練習中、意味のない罵声をあびせることもなくなりました。練習間の話し合いでは、監督が一方的にアドバイスするのではなく、選手同士が話し合う時間を多くとるようにしました。
チームはあっという間に強くなり、今では一部リーグで活躍するようになりました。二十人もいなかった部員も、今では百人近くになり、大学の中で一、二を争う部員数になりました。
コーチングで学んだことは、普段の教育活動でも生かすことができました。
毎日宿題を忘れる子。毎日同じ子にいじわるする子。何度言っても変わらない子……。
「何度言ったらわかるんだ!!」
と、怒鳴らず、
「どうしたの?」
と、声をかける回数が増えました。まだまだ怒鳴ってしまうこともありますけれどね。
怒鳴ることがいけないとは思っていないのです。しかし、怒鳴る回数は、減らさなくてはいけません。だから、「どうしたの?」と最初に聞けるゆとりをもっておきたいと常に思っています。
この本には、具体的な叱り方の技術(叱らない技術)が書いてあります。
すべてがこんな風にいくわけではありません。
叱り方で失敗することもあります。うまくいったなと思うこともあります。
しかし、年間200日以上、時間にすると1000時間以上も一緒に過ごしている子どもたちに、少しでも意味のある叱り方ができれば、お互いにとってよい時間を過ごすことができるのではないでしょうか。
毎日忙しいのに、「クラスをよりよくしたい」と思ってこの本を手にとってくださったみなさまのために、少しでもお力になれれば光栄です。
/庄子 寛之
先生と子供は上と下の関係で捉えられがちですが、そうではなく、横から捉えることが大切だと教えてもらいました。
子供といえど1人の人。リスペクトをし大切にして接する。これを大切にしていこう、そう思わされました。
素敵な本に出会わせてもらいました。偉そうにしていることを良しとしている昔の自分に読ませてあげたいです。