- まえがき
- 保護者とのコミュニケーションを図るこれからの「おたより・学級通信」
- [1] 低学年・入門期の「学級だより」
- [2] 心を魅きつける「おたより」
- [3] 楽しくてためになる「おたより」
- [4] 子どもたちはすばらしい存在であることを伝える「おたより」
- [5] 子育てに自信や勇気,示唆を与える「おたより」
- [6] 家庭と家庭のパイプ役
- [7] 何といっても学級担任の腕次第
- [8] 何といっても学級経営のあり方次第
- 教師・子ども・保護者の心をかよわす「おたより・学級通信」例と解説
- 1 はじめまして―これからの1年間をよろしく
- 2 2年生になった―うれしい2年生 がんばります
- 3 学級の合言葉―分かりやすく,子どもたちの言葉で
- 4 みんな作ろうクラスの歌―世界でたった一つのクラスの歌
- 5 あいさつは,心をつなぐきっかけに
- 6 遠足あれこれ―行ってきました,けがもなく
- 7 はじめての給食
- 8 家庭訪問―家での子どもの姿を探しに
- 9 家庭とのコミュニケーション―ぼく・わたし,がんばっているよ
- 10 自分の持ち物を自分でそろえよう
- 11 交通事故など―楽しい夏休みに向けて
- 12 子どもと遊び―ファミコンから離れよう
- 13 参観・保護者会―今日の授業を見る前に
- 14 ほめるとき・叱るとき―7つほめて3つ叱り
- 15 係だーいすき―もっとすることないかな?
- 16 友達っていいな
- 17 友達・自分のよいところ―いいこといっぱいうれしいな
- 18 もうすぐ夏休み―夏休みにチャレンジしてみよう
- 19 みんなが気持ちよくなるために―「ちょっとがまんの心」をもとう
- 20 運動会へのご招待―シャッターチャンスをのがさずに
- 21 大人の出番
- 22 冬休みの過ごし方―よりよい冬休みを過ごすために!
- 23 みんながゴッホ―こんな工夫をしました
- 24 本,だーいすき!―お母さんに読んでもらうの楽しいな
- 25 ぼくの夢・わたしの夢
- 26 生活のリズムと学校生活―楽しい学校生活を送るために
- 27 楽しい体育―みんなで学び合う,シュートボール
- 28 こんなに大きくなりました―親子でつづる記念のページ
- 29 お母さんが小学生だったころ―学校の中でいちばん好きな場所は
- 30 上級学年への期待―もうすぐ2年生!
まえがき
「学級だより」は,いったいいつから頻繁に出されるようになったのでしょうか。おそらくそれは,子どもたちが書いた作文や日記などを家庭に知らせることに端を発していたと思います。日本独特のものであることや,どこの学校にも発行している学級担任がいることは確かです。
1 「学級だより」発行のねらい
学校や担任の教育方針や教育活動について知らせて,家庭の理解と協力を得る。児童の学校生活の様子の理解を深め,学校教育に対する関心を高める。また,家庭教育の参考にする。家庭からの考えも寄せてもらうなどして,教師・児童・保護者の連携を密にして,心の交流を図る,などがあげられます。
2 今なぜ「学級だより」なのか
“子どもの本質は変わらない。常に活動的。知的好奇心旺盛で探求心も強い。自分の思いや願いを実現しようと努力している”という認識はどの教師ももっていると思います。
しかし,20世紀末になって,子どもたちの健全育成の在り方が問われる大きな事件が続発し,その元をたどると,大人社会のありさまが浮き彫りになってきました。社会や他人のことを考えず,もっぱら個人の利益損得を優先する。ゆとりの大切さを忘れ,もっぱら利便性や効率性を重視するなどの傾向がみられ,モラルの低下を背景に,子どもに伝えるべき価値に自信がもてない大人,子どもを育てることをわずらわしく感じる大人が増えている,などの指摘がなされました。
そこで中央教育審議会は,家庭教育の在り方にまで踏み込んだ提言をするに至ったのです。そのような背景を考えれば,当然学校は,今まで以上に意図的・計画的に家庭への発信,連携をする必要があります。その重要な手段の一つが「学級だより」の発行です。
3 家庭との連携のための太く,流れのよいパイプ「学級だより」
子どもは本来輝いて生きる宝石の原石であり,そのよさや可能性を発見し,磨き,伸ばすことによって,そのもっている力を10倍にも20倍にも発揮できるようになり,本物の宝石になっていきます。社会の宝であり,21世紀の地球再生を託せる大切な存在でもあります。
多くの家庭の実態を把握している学校が,よりよい子育ての在り方を学級だよりを通して提言,発信していくことで,子どもたちが最大限輝いてくれれば,生きる力をしっかり身に付けてほしい,という熱い強い思いを伝えるものであると考えます。
また,家庭や世の中の流れに敏感で聴く耳がもてる教師であることも重要です。学校と家庭がそれぞれの子どものよりよい成長のために連携を図ることにより,子どもの成長を促すよりよい方向に支援できるのです。
学習指導要領が告示され,学級担任の意識を大きく変革しなければならない状況となってきています。
執筆にあたっては,東京都において特別活動を基盤にして学級経営の実践研究をリードしておられる味村美恵子氏,鶴澤典子氏,斎藤秀樹氏,松井眞澄氏ほか多くの方々にご協力を得ました。刊行に意を尽くしていただいた明治図書出版の仁井田康義氏のご支援と共に,あわせて感謝の念を表し,まえがきと致します。
平成11年3月 編著者 /野村 みや子
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- 明治図書